日本の金融政策は異常 [ビル・トッテン氏／温故知新] なるほど

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日本の金融政策は異常 [ビル・トッテン氏／温故知新]
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投稿者なるほど日時 2004 年 5 月 27 日 23:21:38:dfhdU2/i2Qkk2

H16/05/27

　二〇〇三年度、約三十三兆円にものぼるドル買いを行い、また昨年十二月二十七日から今年三月末の三カ月間には十五兆円を超えるドル買い介入を行った政府日銀は、四月のドル為替介入実績はゼロだったと発表した。ある経済紙はアメリカ経済が回復し利上げ観測が台頭しているために介入の必要性が薄れていることが背景にあると報じた。

最高のドル保有国
　四月にワシントンで開かれたＧ７財務相・中央銀行総裁会議ではグリーンスパン米連邦準備制度理事会議長が米経済の好調ぶりを説明し、谷垣財務相はスノー米財務長官に「米経済のすべてを理解できる話だった」と持ち上げたというが、谷垣財務相はいったい何を理解したというのだろう。

　私は以前から日本の金融政策が異常な事態になっていることに警鐘を鳴らしてきた。これは私一人の考えというよりは、少なからぬ数のエコノミストたちも同じ意見である。アジア諸国の外貨準備高は近年増え続け、日本を含むアジア諸国の外貨準備高は二〇〇四年三月時点で約二兆一千億ドルにも達している。これは世界全体の外貨準備高の80％を占め、その七割以上がドル建てである。つまりアジア諸国の中央銀行がアメリカの財政赤字と貿易赤字を支え、中でもどこよりも多くドルを保有しているのが日本なのだ。

　日本政府がドル買いを行う理由は円高を抑制することで、輸出企業が海外市場で製品を売りやすくするためだというが、その結果、輸出総額約五十兆円のために三十三兆円ものドルを借金をして買っている。これは、輸出企業に対する政府の過剰な保護としかいいようがない。

　中国も同じ状況で、輸出産業のために中央銀行がドル買いをしてその価値を高めることで自国の通貨の価値を下げ、それによって輸出競争力を得ている。こうして中国や日本では、工業製品を作る一部の企業だけが政府のドル買いによる恩恵を受けてアメリカ市場で商売を行い、国の外貨準備高はますます増えていく。しかし、問題はこれがアメリカの貿易赤字をさらに拡大させるということだ。

借金してまで貸す
　いまアメリカ経済が回復し、利上げ観測が台頭しているというが、アメリカの金利、特に短期金利が低いのは高金利を提供しなくても喜んで購入する客がいるからである。史上最大の債務国であるアメリカに対して、現在合計で約六百九十八兆円の国と地方の長期債務残高を抱えている日本が、借金をしてまでさらにお金を貸し付けることが正気のさたではないことが谷垣財務相にはなぜ分からないのか。それとも、分かっていて国民を欺いているのだろうか。

　日本がアメリカの国債を買うのを止めればどうなるかといえば、借金なしにはやっていけないアメリカはおそらくより高い金利を提示する。それに合わせてアメリカの住宅ローンの金利や企業への貸付金利その他も押し上げられる。つまり景気回復ではなく、日本がアメリカにお金を貸すのをやめることがアメリカの金利を押し上げる要因となる。

　それによってアメリカ経済は冷え込み、経済が冷え込めばドル安となり、その結果日本が購入したドルの価値は激減する。一人の借り手に担保をとらずに預金の大部分を貸し付けるというリスクを犯す銀行があるはずはないが、日本政府はまさにそれをしている。

　アメリカで二番目の金持ちである投資家のウォーレン・バフェット氏は、バークシャハサウェイ社の株主総会でアメリカで起こり得るインフレを警告し、デリバティブの危険性とアメリカの記録的な貿易赤字への懸念からドル投資をしないようにしていると語ったという。日本政府はアメリカ政府の言いなりになるのではなく、投資家としてのバフェット氏の言葉に注意を払うべきである。

　現在日本でも年金問題が大きな話題となっているが、アメリカでもベビーブーマーが引退し始めれば、メディケアや社会保障プログラムがかさむため、アメリカ政府はさらに大きな赤字を抱えることになるのは目に見えている。

有益な要求は可能
　政府自民党は日本が軍事的にアメリカに保護してもらっていることを理由に、アメリカの要求のままドルを買い続けているが、これはアメリカは刀を握っているが、財布は日本が握っていることに等しい。そうであれば、現状を打破するために日本政府はその財布を使って、アメリカに日本国民に有益になる要求をつきつけることも可能なのである。

　しかしそのために必要なのは国民のための誠実で正直な政治家だ。アメリカ市場から利益を得る輸出大企業に迎合し、日本を再軍備するために憲法を変えようとしているファシスト政権ではそれは難しい。

　日本がいくら軍事力をつけたところで防衛できない。食料もエネルギーもその大部分を海外に依存する日本は、経済制裁や封鎖でたちまち無力となる。そして日本のように狭いところにひしめき合う国は大量破壊兵器の攻撃にきわめて弱い。そして私がもっとも重要だと思う近隣諸国との協力についても、アメリカへの隷属をやめない限り攻撃を受けた場合に助けてくれる友人はできないだろう。（アシスト代表取締役）

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