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2004.5.20
私が『公共事業必要論』を出版する理由
http://www.pluto.dti.ne.jp/~mor97512/TEST03.HTML
『公共事業必要論』(6月中旬、日本評論社刊)の執筆が終わった。あとは印刷・製本の工程を経て、全国書店に並ぶのを待つばかりである。6月17日に全国の主要書店の棚に並ぶことになる。
ここで、この『公共事業必要論』を執筆する気になった時代観というべきものを述べてみたい。
2004年夏、世界は歴史的な転換点に直面している、との判断に私は立っている。
第一に、米国ブッシュ政権が推進してきた新保守主義(ネオコン)が壁にぶつかっている。アフガンもイラクも泥沼状況だ。ネオコンの信用は失墜した。ネオコンの衰退は不可避である。世界はこれから混乱期に入るだろうと思う。
第二に、大欧州の誕生と中国の躍進でユーラシア大陸が活性化し、アメリカ大陸に対抗する世界のもう一つの巨大な地域に成長しつつある。
この新たな流れにどう対応すべきかは、とりわけ日本にとって重要である。日米同盟一本槍の小泉政権の基本路線は転換を迫られている。米国とユーラシア大陸の架け橋となるか、それとも米国の従属国として生きるか、日本は重大な岐路に立たされている。小泉政権は米国一辺倒だが、次の政権はもう少しユーラシア大陸の方向へ重点を移すことになるだろう。
第三に、世界経済が曲がり角に直面している。中国、米国、欧州が金融引き締め政策に転換し始めた。世界的超低金利の時期が終わりつつある。ゼロ金利が定着した日本経済にとってきわめて危険な事態が近づいている。小泉政権が進めるデフレ促進政策のもとで金利引き上げが行われれば、借金返済に追われている企業と家計は地獄に突き落とされるだろう。
経済政策の問題は日本にとって最も重要な問題である。これへの対応を誤ったら悔いを千載に残すことになろう。いつまでも構造改革だけをやっていたら日本は滅びてしまうだろう。
日本の政治と経済が世界的変化のなかで生き残るためには、政策の大転換が必要になっている、と私は考えている。だが、小泉政権は景気回復ムードに浮かれて、不良債権のさらなる加速化という誤った路線に一層深入りしようとしている。財政当局は緊縮財政に自信を持ち、さらなる緊縮に向かう構えだ。「過ちて改めざる是を過ちと謂う」(孔子)。
しかし、最近の景気回復が「財政支出なき回復」というのは真っ赤な偽りである。為替安定を名目とした政府・日銀によるドル買いは2003年1月から15カ月の間に34兆5000億円にも上っている。
この大部分が米国債の購入に当てられ、回り回って米国経済の成長に貢献している。世界に向けての日本の超金融緩和政策が米国経済、中国経済の好調を支え、日本の輸出産業の利益を生み出している。あえて言えば、日本政府と日銀による巨大な補助金が世界景気を押し上げ、結果として日本の輸出大企業の利潤を生み出した。
「財政支出なき景気回復」ではなく、国際社会に対する莫大な政府の補助金によって生み出された景気回復なのである。これを下支えしたのが日銀の超金融緩和政策である。しかし日本国民一般に向かっては逆のことが行われている。
「光が強ければ影もまた濃い」(ゲーテ)。この輸出産業の成長が「光」だとすれば、地方、中小零細企業、家計は「暗い影」のもとにある。日本政府と日銀に米国経済のために使う巨額の資金があるならば、政府は、せめてその一部でも、地方、中小零細企業、家計のために使うべきではないか。「米国第一、国民第二」の小泉政権のやり方はただちに改めるべきである。日本政府が第一に重視すべきは日本の国益でなければならない。小泉政権は日本国民の生活は顧みず、ただただ米国ブッシュ政権への奉仕をつづけている。
では、いま日本政治は何をなすべきなのか。政府の経済政策の大転換が急がれなければならない。地方経済を底上げするための景気対策を講ずるべきである。とくに即効性のある公共事業の追加が必要である。2004年秋の臨時国会で補正予算を組むべきである。最近は与野党とも景気対策のための補正予算など口にできないような空気だが、これでいいのかと言いたい。
公共事業のなかでまず着手すべきは防災対策である。日本は災害大国である。日本にはまだ危ないところが数多くある。公共事業なくして安全・安心の生活はないのである。
もう一つは水対策だ。世界的な水不足のなかで、水の確保はわが国にとってとくに緊急性をもつ。近い将来、世界的規模で深刻な水不足の時代がくる。食糧難の時代がくる。これに備えなければならない。
さらにいえば、道路交通網の整備も緊急課題である。小泉構造改革のために工事途中で中断されているところは少なくない。ただちに工事を再開すべきである。公共事業を途中で止めてしまうほど無駄遣いはない。道や港やダムは完成して初めて生きるものである。
失業対策にも注意を喚起しておきたい。地方に仕事をつくり出す必要がある。仕事がなければ地方は活性化しない。国民社会に元気が蘇らなければ日本再生は不可能だ。
これらの対策によって地方の草の根から景気回復の芽を育てたい。地方、中小零細企業、家計の所得を上げることが必要である。もしも所得の減少がつづく状況のなかで金利上昇の波が日本を襲えば、大変な危機が起こる。この危険を回避し、日本経済を成長軌道に乗せるには、政府の政策を公共事業拡大政策の方へ転換することが必要である。
今、全国の建設業者に訴えたいことは、日本政府の政策を米国重視から日本国民重視の方向に変えさせるため“政治力”を行使することを考えてほしい、ということである。政治を正しい方向へ動かすための政治運動を起こすことを強く要請したい。絶望してはならない。業界の共通意思を政治に反映させるために政治行動を起こすのは、国民の当然の権利である。