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http://www.jnews.jetro.go.jp/cgi-bin/newsb/wlnews.cgi?id=iraq&no=519
Date： 04/17(Thu)
イラク復興事業についてフランスビジネス界は，今のところ表立った動きを
見せていない。リスクを抱える復興事業に慎重な構えを示す企業が少なくない
上，イラクでの利権争奪戦が表面化することで，仏米間の亀裂が深まること
を恐れる政府の意向もありそうだ。
＜リスク大きいイラク復興事業＞
フランス企業はイラクにおいて，通信インフラでは通信機器大手のアルカテ
ル，住宅建設や水道事業では建設・通信サービスのブイグ，建設大手のバンシ
（Vinci）などインフラ整備に深くかかわってきた。
こうした実績があるだけに，国際入札なしで米国企業に復興事業を発注した米
国政府に対し「フランス企業にも関与する権利があるはずだ」（セリエールME
DEF会長）と不快感を示す一方で，リスクを抱える復興事業に慎重な態度を示す
企業も少なくない。
バクダッド市内の住宅建設および水道事業を手がけたバンシのザカリアス会長
はル・フィガロ紙とのインタビューで「我々はイラクをよく知っている。これ
までに培ったノウハウを活かし，イラクでまたビジネスをするつもりだ」とし
ながらも，イラク復興事業については「十分な貿易保険や契約の保証が得られ
る国際入札の枠内でのみ，事業を請け負うだろう。治安が安定するまでは，イ
ラクでのビジネスを控えるつもりだ」とし，まずはビジネス環境の改善が先決
との見方を示している。
＜復興事業に関する会議を取り止め＞
もっとも，ビジネス界がイラク復興事業の行方を静観する背景には，イラクで
の利権争奪戦が表面化することで仏米間の亀裂が深まると懸念する政府の意向
もありそうだ。
91年の湾岸戦争後，米国企業がクウェートの復興事業を独占したことについて
「当時，復興事業受注に対するフランス企業同士の協力が欠けていたせいだ」
としていたMEDEFは，4月3日，フランス企業の復興事業参加をテーマにイラク情
勢専門家を集めたセミナーの開催を予定していたが，同会議は直前で取り止め
となった。
MEDEFは会議中止の理由を公表していないが，ル・ヌーベル・エコノミスト誌は
，米国議会の反仏感情悪化を懸念するフランス外交筋がMEDEFに圧力をかけたた
めだ，と伝えている。
AP通信によると，同会議の開催については「米国企業とイラク復興事業の分け
前を交渉することしか頭にないフランス企業の行動はモラルに反する」（フラ
ンス―イラク交流協会）という強い批判が出ていたほか，シラク大統領もイラ
ク復興事業について「時期尚早」との認識を明らかにしていた。
＜米国企業との共同事業も視野＞
ただ，水面下では，米国企業との共同事業をさぐる動きも出始めているもよう
だ。
米国石油メジャーによる利権独占が囁かれているイラクの油田開発について，
マジュヌーンとベンウマール油田の権益交渉を他企業に先行して行っていたフ
ランス石油大手トタルフィナエルフは「既に油田開発に関する技術調査報
告書を作成しており，競合企業とは1年以上の差がある」（デマレ会長）とし
ている。これに関し，ル・モンド紙は「米国企業はコンソーシアム（企業連合
体）を組んで油田開発事業にあたるだろう」と予想した上で，「トタルは
油田開発に関する技術情報を利用してコンソーシアムへの参加を米国企業と交
渉するつもりだ」と指摘している。
題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。