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自動車産業100年新世紀の世界市場(上)日米、燃料電池車で攻防 【日本経済新聞】 
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投稿者 hou 日時 2004 年 5 月 12 日 20:10:49:HWYlsG4gs5FRk
 

(回答先: 横浜工場内に「水素製造設備」を開設−関連法規見直しに備えた安全検証が目的− 投稿者 hou 日時 2004 年 5 月 12 日 20:03:51)

――技術競争。2003/06/14,
技術競争、絡む「政治」
 大量生産方式の確立で自動車を二十世紀最大の産業に育てた米フォード・モーターが十六日、創業百周年を迎える。百歳を数える今も各国の雇用や貿易収支に大きな影響を与える自動車産業だが、その足元には環境問題や先進国市場の成熟化、中国など新興市場の台頭といった巨大な変化のうねりが押し寄せる。新世紀に突入する同産業の行方を追う。
■GMが攻勢
 五月七日、米ワシントンの連邦議会前に六台の燃料電池車が横づけされた。水素を空気中の酸素と反応させて発生する電気で走るこの車は排ガスのない究極の低公害車とされる。「実際にその静かさと乗り心地を体験してください」。米ゼネラル・モーターズ(GM)のリチャード・ワゴナー会長は議員たちを前に笑顔で語りかけた。
 GMは今後二年間で最大一万台の試乗車をワシントンに送り込む。燃料電池車を首都中に走らせ政府や議会に普及を後押しさせる作戦。総勢六百人の技術者を配し、「利益の出る燃料電池車を年百万台生産する最初の企業になる」と宣言した。
 トヨタ自動車、ホンダが昨年末に世界で初めて日米で同時発売、燃料電池車の市場競争が火ぶたを切った。ダイムラークライスラー、日産自動車も年内に販売を始める。
 蒸気機関がガソリン機関に動力源の地位を譲ったのは一八九五年。以来、今日まで自動車の心臓部を占めてきた。環境問題の高まりで浮上した燃料電池は実に百年ぶりの技術転換。その開発競争の行方は自動車産業の勢力図を大きく塗り替える可能性を持つ。政府も黙ってはいられない。
■にじむ「覇権」
 五月末、テキサス州で開かれた日米首脳会談。北朝鮮問題が最大の焦点だったこの会談でもう一つの重要な合意がなされた。燃料電池開発での両国の協力。「クリーンエネルギーは利用者がすべて勝者」とブッシュ米大統領は強調するが、ことはそう単純でもない。
 日本の経済産業省は今年度三百七億円の燃料電池関連予算を確保し、官民共同実験を開始。米政府も二月、今後五年間で十二億ドルを投じる計画を発表した。欧州連合(EU)も二〇〇六年までに二十一億ユーロ(約二千九百億円)の予算で水素インフラの研究を進める。
 建前は外国勢にもオープンな姿勢をとるものの、米側には「覇権主義」の色もにじむ。
 五月六日、米エネルギー省は燃料電池車関連の実証実験に参加する企業・研究機関に補助金を支給するプログラムを打ち出した。国籍を問わず参加できる前提だが、「米企業偏重」という声が現地で上がっている。
 例えば日本車メーカーが参加した場合、一律一万ドルが支給されるだけ。これに対しGMなどの米ビッグスリーには開発にかかった半額を負担する。水素充てんスタンドでも同様。参加企業はデータの提出を求められるので、海外勢には「米企業においしいところだけ持っていかれるのでは」との不信感も出ている。
■レース佳境
 米政府が躍起になるのも無理はない。米エネルギー省によると、米国の石油製品の全消費量のうち、自動車のガソリンとして消費されるのは四四%(二〇〇一年)。これが水素に置き換われば、中東産油国を主役にした「石油の世紀」は終わりを告げ、国際政治の構図もがらりと変わる。
 今は一台一億円以上と高額で、技術的課題も多いが、米自動車コンサルティング会社、CSMワールドワイドは二〇二〇年までに燃料電池車の生産規模が世界で百二十万台になると予測する。
 「GMがやや優位だが、実際にはフォード、ダイムラー、トヨタ、ホンダを含む五社の団子状態」(CSMのリンゼー・ブルック氏)という二十一世紀のレースはこれから佳境を迎える。
(ミシガン州ディアボーン=田中昭彦)
【表】燃料電池車の開発を巡る動き    
1996年  ○  トヨタ自動車が燃料電池車を展示発表
97年  ○  バラード・パワーシステムズにフォードが資本参加、現ダイムラークライスラーとの3社共同開発体制
99年  ○  トヨタとGM、燃料電池を含む環境技術の共同開発で合意
2000年  ○  米カリフォルニア州で官民合同の実証実験開始
  ○  ダイムラークライスラー、三菱自動車、三菱重工、燃料電池車で提携
02年  ○  経済産業省、水素・燃料電池の実証実験に着手
  ○  トヨタとホンダ、リース方式により日米で燃料電池車の市販を世界に先駆け開始
03年  ○  米政府が「水素エネルギー社会」の実現を国家戦略に掲げ、5年間で12億ドルを投じる方針を発表
  ○  GMとBMW、オペルが燃料電池車用の水素貯蔵部品の共同開発で合意
  ○  GMとダウ・ケミカル、燃料電池発電で提携を発表
  ○  ダイムラークライスラー、米国でUPS車両向けに燃料電池車提供(予定)
  ○  米エネルギー省、燃料電池車実証デモ開始(予定)
【図・写真】ブッシュ米大統領(右)は燃料電池車開発に強い意欲を示す(今年2月、ワシントンで展示されたGMの燃料電池車を見学して)=AP

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