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http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20040504ig91.htm
企業会計の二〇〇五年問題が欧州での企業活動を縛りかねない、との懸念が日本企業の間に広がっている。
欧州連合(EU)が、域内で上場したり、社債を発行する企業に対し、欧州主導で作成している国際会計基準(IAS)の採用を来年から義務付けたことが発端だ。
ロンドンなど欧州の市場で日本企業は欧州の会計基準ではなく、日本の基準による株式上場や債券発行が認められてきた。ところが、来年からは日本基準が認められない可能性が高まっている。
欧州の株式市場に上場している日本企業は七十五社に上り、米国市場を大きく上回っている。日本企業による外債の発行額でも、世界の約九割を占める最大の資金調達の場だ。
国際基準に切り替えるには、コンピューターのシステム変更などに一社当たり最大10億円の費用がかかる、という試算もある。負担増を嫌って、欧州市場から撤退する日本企業も出かねない。
日本経団連は欧州産業連盟と共同声明を発表し、自国の会計基準が相手国で使えるよう相互承認を求めた。政府も、日本企業が不利益を受けないように、日本基準の適用継続へ、欧州に働きかけを強める必要がある。
欧州には域外国へのIAS適用を二年先延ばしする案も浮上しているが、実現するかどうかは、日本の対応次第だ。
欧州が国際基準への統一を急ぐ背景には、これまで世界の主流だった米国基準に対抗し、会計のルール作りで主導権を握る狙いがある。
企業活動のグローバル化が進む中で会計ルールの統一化は時代の要請でもあるが、税制、会社法制の違いを無視しての性急な統一は難しいだろう。欧州は統一化に時間がかかることを理解すべきだ。
欧州が“日本基準はずし”に傾くのは会計制度などが世界水準よりも遅れている、との考えに基づいている。だが、日本でもビッグバン(金融制度の抜本改革)以降、会計制度の整備が進み、現在は欧米の基準とほぼ同水準だ。こうした現状が欧州に十分理解されていない。
IASを作成している国際会計基準審議会(本部ロンドン)には、各国から代表者が派遣されている。だが理事会は米欧が過半数を占め、アジアからは日本が一人だけだ。日本公認会計士協会はアジアからの代表者の増員を求めている。
世界の経済ルール作りに、日本が積極的に関与していかなければ、日本に不利なルールが押し付けられてしまう。政府と経済界には、ルール作りの主導権を握るくらいの攻めの戦略が求められる。
(2004/5/5/01:31 読売新聞 無断転載禁止)