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http://www.triltd.co.jp/japanese/iima_topics/topics_kiji/01_topics_no66.htm
No66 2004年1月13日 東アジアのリテール決済サービスのレベルアップが必要
東アジアの域内経済統合を進めるためには、域内での貿易・サービス取引が一層盛んになることが必要である。そのためには、資金決済がより低コストで早く確実に行われる必要がある。証券取引や外国為替取引については、決済リスクも大きいことから比較的早い段階から域内の決済サービスに目が向けられてきている。特にAsiaclearのように、アジアに本格的な証券決済システムを設けようという議論が近年見られる。大口資金決済についても外国為替取引の決済に伴うヘルシュタットリスクをどのように削減するかという観点から議論がされている。しかし、リテールの小口取引の決済については、これまで必ずしも関心が高くなかった。
欧州では、内外格差のない同一料金での小口支払いが行える地域としてのEUをSingle Euro Payment Area(SEPA)と呼び、昨年7月よりSEPAがスタートした。ユーロ導入までは、欧州域内で国境を越える送金は外国送金として処理され、その取扱手数料は国内送金に比べ非常に高かった。これに対して、欧州閣僚理事会と欧州議会が国内送金と国外送金を同一料金で行うように求め続けて、SEPAの実現に至った。各国の決済システムの整備、金融機関それぞれの一貫処理の構築、法的問題の解決等、まだまだ課題は少なくないものの、リテール送金サービスの充実に向けた歩みが本格化している。
この点、アジアでのリテール送金についての取り組みはほとんど民間に任されたままである。NETS (Network for Electronic Transfers (Singapore) Pte Ltd.)は、在シンガポールの民間企業で、ASEAN諸国等の近隣諸国にリテールの電子決済システムのネットワークを拡大し、域内のリテール支払いシステムのキャッシュレス化を目指し、リテール電子決済システムを運営している。NETSは、オンラインバンクPOSデビットカードネットワ−クの統括会社として設立され、シンガポール国内ではICカードの電子財布/電子マネー「キャッシュカード」サービスの他、株主各行のATMで利用可能なカード/デビットカード、VISA、MASTERカードに「キャッシュカード」機能を搭載したカード等の発行、運営を行っている。シンガポール国外では、フィリピン、韓国、タイ、及びマレーシアでサービスを行っている他、インドネシアとも相互のPOSシステムの利用について合意している。このようにNETSはASEANを中心に国境を越えた決済サービスに乗り出している。
また、シンガポールのDBS銀行はインドのICICI銀行との間で相互間の送金システムを連携させており、DBSの顧客はICICI銀行の本支店向けに複数通貨をインターネットで送金手配を行うことが出来る。
欧州で本当の意味でSEPAが成立するためには、第一に域内での法的な枠組みが整備されること、第二に、実際の送金の処理、決済にあたってSTP (Straight through processing)を可能とするシステムを構築することと、域内での標準化が必要と言われている1)。
東アジアでも、リテールの送金サービスについてはNETS等の試みを見守るだけでなく、共通インフラの整備に向けた具体的な手だてが必要な時期に来ていると考えられる。
注1) 森純一「欧州の金融統合の進展-SEPA (単一ユーロ支払地域)の実現と今後の課題-」外国為替貿易研究会 国際金融第1113号 (2003.10.1)掲載