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[株式]ドイツ型資本主義と日本型資本主義  【反資本主義活動等非常取締委員会】
http://www.asyura2.com/0403/hasan35/msg/113.html
投稿者 hou 日時 2004 年 4 月 30 日 07:13:23:HWYlsG4gs5FRk
 

●四季報にはダイムラークライスラーの出資者に、クウェート投資庁とあるんですけどね?

http://d.hatena.ne.jp/von_yosukeyan/

久々に極東ブログの記事から、三菱自動車を潰してはいけないのかというストーリー。ちょっと気になった部分を引用してみる

話が違うのかもしれないし、実際は海外でも同じなのかもしれないが、日本では株式の配当というのは実質上、ない。資本主義の根幹が資本ということで、この資本が利潤を生み出すというなら、株の配当のない制度は資本主義とは言えないように思う

まぁこの日記の読者なら知っていると思うが、配当のない株式というのは海外にもたくさんある。というか、漏れの保有している外国株は、金融株や防衛産業系、ヘルスケア産業の株を除いてほとんど配当がないものばかりだ。NASDAQ上場株のほとんどが該当するのではないか、と思うのだが、そういえばMSFTは株主の圧力で最近配当を始めた

さて、どうでもいいツッコミは置いておいて、本論。「株の配当のない制度は資本主義とは言えないように思う」というのは奇妙な対比のように思える。というのは、当のドイツの資本構造も、日本と同様に金融機関による株の持ち合い構造を形成しており、間接金融市場が未発達である点である

ダイムラー(DCX)の場合には、議決権株式の13%を筆頭株主のドイツ銀行が保有している。第二位はBrandes Investment Partnersというパートナーシップだが、保有率はがくっと落ちて0.9%くらいになる。以下、旧クライスラーとの関係でJPMやシティーが続く

一方、三菱自動車は株主資本はたったの10%程度で、あとは他人資本である。最大の借入先は、もちろんBTMである。DCXもメーン行はドイツ銀行なので、資本構造という点ではMMCと大差がない

実は、昨年の今頃までドイツでは日本と同じような金融不況が吹き荒れていた。主に不動産を中心とした不良債権問題で、ドイツ銀行を筆頭とするドイツ三大銀行は、合計で2万人近い従業員を削減し、猛烈な貸し剥がしと貸し渋りを行なった。結果、わずか1年足らずでドイツ経済は最悪期を脱することになり、DAX指数も他のヨーロッパ市場よりも急回復した

一方で、貸し剥がしや低採算融資のために切り離された企業はどうなったのかというと、実のところ公的金融機関の融資に切り替えただけ、という実態がある。ドイツには、ランゲスバンクと呼ばれる州立銀行やドイツ復興銀行を筆頭とする公的金融機関も発達しており、これらが受け皿融資を行なっているに過ぎなかったりする。何しろ、昨年の春先の最悪期には、三大銀行の不良債権をB/Sから切り離す為に、三大銀行とドイツ復興銀行が共同出資で債権回収銀行を設立する案が大真面目に検討されていたくらいだ

一方で、日本の銀行はいわゆる5%ルールと言われる資本規制が敷かれており、金融機関は事業会社の株式を5%以上保有することができない*1。しかし、銀行は融資や人事面で融資先と強力なパイプを形成し、事実上の支配力を行使してる。これが、銀行ごとに系列化した擬似的な財閥を形成してるのが旧六大企業集団*2である。従って、日本もドイツも株主の代わりに銀行が企業の経営を監視しているという構造には変わりはない

三菱グループにおけるMMCの位置づけというのは、戦後の企業集団的な資本構造と若干異なる。旧財閥には、それぞれゴットファーザー的な創業事業というのがあり、例えば三井は呉服屋(百貨店・流通)、住友は別子銅山(金属)、芙蓉は安田銀行(金融)といった感じである。三菱の場合には、三菱造船(三菱重工業)がそれにあたる*3

大半の旧財閥では、ゴットファーザー的な創業事業というのはかなりの意味で分解している。戦後の企業集団化によって、十五大財閥は六大銀行を中核とした企業集団内部に組み込まれていった。かつて野村財閥の一員だった野村證券が、同じ大和銀行や東京生命の経営危機にもそれほど動じなかったように、旧財閥の枠組みなんてものは現在では象徴的なものでしかない

その意味で言えば、MMCの経営危機は前世紀的な財閥の危機なのだ。三菱グループは財閥的な結束力の強さで知られてるが、近年ではその結束力に綻びが生じている。例えば、三菱系だった日興證券のシティーグループ入りと、野村證券から国際証券を買収し三菱の名を冠した(三菱証券)*4。MTFGの傘下のBTMとMTBCは相変わらず仲が悪く、MTBCは事もあろうにMHCBやSTBにまで秋風を送る始末。MMCの経営危機にしても、メーン行であるBTMはMHIとの利害関係のもつれから、DCXのMMC出資においてもDCXのカウンターとなり得なかった

DCXにしても、対アジア戦略の一環としてMMCや現代自動車などと資本提携をしてみたものの、利益率の低く自社と競合する大型乗用車の整理も行なえなかった。競争力のある小型車の相互供給や、大型商用車部門を三菱ふそうバストラックとして分社化し買収したものの、コストの安いアジア諸国への生産移転もままならなかった。結果だけを見れば、三菱ふそうだけ三菱グループから剥ぎ取った、とも言えなくもない

MMCはバブル崩壊後からDCXとの提携までと、DCX提携からこれまでと、何度か変革のチャンスがあったにもかかわらず、収益構造も企業体質も換えることができなかった。工場ごとの独立性が高いMHIの企業体質を引きずり、全体的に見れば社内の風通しの悪さも変わることはなかった。どちらにしても、MMCは戦略パートナーも、稼ぎ頭の商用車部門も失い、残ったのはダーティーなイメージと多額の有利子負債を抱えて漂流している

それは、MMC自体の問題であるのと同時に、邦銀の中では勝ち組とみなされてきたBTMの抱える問題でもある。97年の危機以降、邦銀は不良債権処理と収益構造の転換という後ろ向きの仕事ばかりしてきたが、BTMはどちらかというと不良債権の少なさにあぐらをかき、収益の改善とリテール基盤の拡充を怠ってきた。それが、一昨年、昨年、今年と続いた基幹系システムのトラブルにもあるし、株価の回復もSMBCやUFJに比べればイマイチであったり、資本不足を補う為の猛烈な貸し剥がしであったりと、見えにくい形ではあるが存在はしていた。その見えない膿がMMC問題として表面化したような感すらある

■ [株式]日本の株式配当率は低いのか?
ところで、この表題だがどうかなぁと思うことがある

金融機関で見てみると、JPMの場合には1株辺り1.36ドル(3.55%)、大手リージョナルバンクのバンク・ワンは1.795ドル(3.57%)。これに対して、MTF(ADR)は0.001株辺り0.1082ドル(1.20%) まぁ低いかなぁ?

事業会社の場合も似たり寄ったりだが、事業会社の場合には株主優待というのがある。これは、個人株主を対象としたもので、商品券やら割引サービスやら、無料航空券と会社ごとに様々な特典が用意されている

実は、株主優待制度というのは海外にはなく日本独自の制度である。そもそも、海外の株主や法人株主は株主優待の恩恵を受けることはほとんどない。せいぜい無料航空券を経費として流用して、商品券を換金するくらいだ

それを考えると、日本の株式収益率というのはそこそこ高いのではないか、と思える場合もある。まぁ企業によるし、データ的根拠があって言っているわけではないのでアレなのだが

*1:優先株などには例外がある

*2:三井、三菱、住友、芙蓉、第一勧銀、三和。興銀グループを含めれば七大企業集団

*3:創業事業は海運業で、日本郵船がそれにあたる。旧三菱造船は海運事業の一部門として長崎に設立された

*4:鳴り物入りで誕生した割には、鳴かず飛ばずであるが

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