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ぬぐえぬ「違和感」と火ダネ(YomiuriWeekly2003年9月7日号より)【はや暗雲が・・・】
http://www.asyura2.com/0403/hasan34/msg/860.html
投稿者 まさちゃん 日時 2004 年 4 月 13 日 19:46:53:Sn9PPGX/.xYlo
 

(回答先: 「日本振興銀行」に免許交付(読売新聞)[4月13日14時40分更新]【お手並み拝見】 投稿者 まさちゃん 日時 2004 年 4 月 13 日 19:42:22)

ぬぐえぬ「違和感」と火ダネ


竹中経済財政・金融相のブレーンとして知られる金融コンサルタント、木村剛氏(41)が、自ら新たな銀行を設立する。金融行政で強硬路線を主導してメガバンクを震え上がらせた剛腕・木村氏が、無名の若手金融業者らと共に、中小企業専門に融資しようというのだ。貸し渋りに悩む中小企業にとっては朗報なのだが、多くの金融関係者は、どことなく違和感をぬぐえない。 (本誌 浜中昭彦 吉田清久)

 「前々から中小企業のための銀行をつくってみたいと思っていました。既存の銀行は不良債権問題に忙殺されて、中小企業融資の機能を果たしていません。日本経済の復活のため、借り手本位の金融マーケットの開拓が不可欠だと思う」

 新銀行「日本振興銀行」の社長に就任する落合伸治氏は8月20日、設立予備免許を金融庁へ申請した後に開いた記者会見で、自信みなぎる口調でそう語った。

 1か月前の7月末、本誌の取材にうろたえを隠さず、

 「(新銀行は)赤ちゃんに例えたら、生まれるかどうか、妊娠したのかも分からない状態なんです」

 と答えていたのに、ずいぶんと“早産”だったようだ。

金利15%で無担保融資

 この「日本振興銀行」構想は、銀行や信用金庫など既存の金融機関から貸し渋りに遭っている中小・ベンチャー企業を対象に、無担保で融資するのが特徴だという。その代わり、貸出金利は3―15%。商工ローンや消費者金融よりは低いが、銀行より高く設定される。

 設立メンバーに名を連ねる、東京青年会議所の平将明理事長は、新銀行の意義をこう説明する。

 「事業資金を確保する選択肢が増えるのは歓迎すべきこと。銀行より金利が高くても、無担保で融資が受けられるのならば、利用する中小企業経営者は多いはずです」

 本店は東京駅周辺に置き、初年度の貸出残高は140億円規模を目指している。

 一方、預金業務の取り扱いは、定期預金に限定。都市銀行よりも高めの金利を設定することで、180億円の預金を集める。今秋に予備免許の認可を得て、来年4月の営業開始を目指す。銀行設立に最低限必要な20億円の資本金のメドは立っているという。

 確かに、こうした銀行こそ、中小・ベンチャー企業が望んでいた銀行だ。

「本業」は外資から借り入れ

 さて、資金集めに奔走した落合氏とは何者か。1967年生まれの35歳。東京・日本橋にある金融サービス会社「オレガ」の創業社長だ。

 同社ホームページや民間信用調査機関によると、駒沢大法学部在籍中の20歳の時、「オレガ」の前身のイベント企画会社「落合総合企画」を設立。その後、消費者金融や一般中小企業に融資を行う貸金業に転じた。従業員数は現在でも、わずか十数人。2003年3月期決算は営業収益は6億6000万円、経常利益が6700万円と、金融業としては小規模だ。落合氏自身、金融界ではほとんど無名に近い。

 ある金融関係者が指摘する。

 「落合総合企画は東京相和銀行(現・東京スター銀行)がメーンバンクで、落合氏は、見せ金増資事件で有罪判決を受けた長田庄一元会長の薫陶を受けたようです。東京相和銀の破たん後は、同行を買収した米投資ファンドのローンスターが資金を出している」

 実際、登記簿謄本などによると、東京スター銀行からの借り入れは、債権譲渡により、02年秋に親会社のローンスターへ移っている。落合氏は消費者金融などへ融資する元手として、ローンスターなどから150億円程度を借り入れているようだ。

 外資ファンドと関係の深い落合氏が、新銀行構想の実現を目指すのにあたって指南役に請うたのが、金融コンサルタントの木村氏だった。

 世界最大級の会計事務所KPMGの日本法人との位置づけで、金融コンサルティング会社「KFi」を98年に設立(現在は100%日本資本に変更)し、代表を務めている。内部資料によると、落合氏と木村氏は4月、それぞれ経営する会社から合計2億円を出資し、「中小新興企業融資企画」という新銀行の準備会社をすでに設立。新銀行では、木村氏は非常勤の取締役として参画する意向だ。

 木村氏といえば、竹中経済財政・金融相が昨年設けた金融庁の金融分野緊急対応戦略プロジェクトチーム(PT)に加わり、経営不振の大企業の整理を進めることで、不良債権問題の早期解決を訴え、その過程で過小資本に陥った銀行は「市場から退場すべし」と主張。歯切れのいい論客ぶりは、経済界で注目された。

 だが、その強硬な不良債権処理は、結果的に世の中のデフレを加速させ、価格が下がった土地などの資産を外資ファンドが買いあさるケースが多いことから、「まるで外資ファンドの手先」(都市銀行幹部)といった批判も付きまとっている。

銀行認可迅速化が政策に

 そもそも、信用第一であるはずの銀行の設立など、簡単にできるものではないはずだ。

 最近では、イトーヨーカドーグループの「アイワイ(IY)バンク銀行」やソニーの「ソニー銀行」が01年に開業している。だが、優良企業の両社でさえ、金融庁から、銀行免許取得の際に業務内容の見直しを求められ、開業がずれ込んだほどだ。

 ところが、昨年9月末の内閣改造による竹中経済財政相の金融相兼務で、状況は一変。竹中・木村路線で昨年10月にまとめられた「金融再生プログラム」に、「銀行免許認可の迅速化」なる一文が盛り込まれ、金融庁の方針は大転換していたのだ。

 「竹中プラン」として知られる「金融再生プログラム」は、銀行に厳しい資産査定と引き当ての強化を求めたものだった。このため、銀行界は「自己資本の充実」を迫られ、4大メガバンクは相次いで増資に踏み切った。繰り延べ税金資産の全額計上が認められなかった、りそな銀行の場合は、公的資金が投入され、実質国有化したのはご承知の通り。

 その一方で、「竹中プラン」には、中小企業の貸し渋りが進む恐れがあるとして、セーフティーネット(安全網)の拡充が盛り込まれ、具体策として、中小企業向け新銀行を設立しやすくしたのである。

 そして、この「竹中プラン」の取りまとめを主導したのが、新銀行を立ち上げる木村氏。つまり、自分が作成にかかわった政策を次の稼ぎのネタにしたようなものだ。これを世間一般は、「我田引水」と呼ぶのだが。

 「木村銀行」は、木村氏が反小泉陣営のターゲットとなっている竹中氏の側近ゆえに、政局にも影響を与えかねない。

 反小泉の急先ぽう、野中広務・元幹事長はかつて、

 「小泉さんの周りで、民間から政府や審議会に入り、規制緩和だの旗振りをしている人の中に、その分野でしっかり自分の商売をしている人がいる。国民からすれば道義的に許されない話だ」

 と、ある経営者を暗に批判したことがある。したがって、「竹中プラン」の作成に関与し、新銀行設立に動いた木村氏の行動は、反小泉陣営にとって格好の攻撃対象になる。

 内閣改造をめぐり、反小泉陣営は竹中氏の交代を強く求めているが、「木村銀行」はその竹中交代論をボリュームアップさせるかもしれない。総裁再選を目指す小泉首相にとっても、思わぬアキレスけんにもなりかねないのだ。

(YomiuriWeekly2003年9月7日号より)

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