現在地 HOME > 掲示板 > 国家破産34 > 801.html ★阿修羅♪ |
|
Tweet |
【記者:日高正裕】 4月9日(ブルームバーグ):日本銀行の福井俊彦総裁は9日午後、定例記者会見を行い、デフレ脱却の時期について「気持ちとしてはできるだけ早くと思っているが、そんなに至近距離にあると考える状況ではない。デフレ脱却までの残り1マイルは非常に厳しい」と述べた。
景気については「基盤をみると、回復の動きに広がりが出てきている。前向きの循環が次第に強まる方向にある。金融緩和が効果を挙げつつある」と述べた。
物価に関しては「実勢は若干のマイナスで動いている」としながらも、「物価のベースのところでは少しずつ改善が進みつつあるのではないか」と指摘した。
市場動向については「金利、株、為替の動きが相互に連関性を持ちつつ動いており、お互いにけん制し合っているのは望ましいし、われわれとしてもやりやすい」と指摘。さらにイラク情勢など地政学的リスクについても「市場は相応の吸収力を備えて対応できていると思っている」と述べた。
日銀はこの日の金融政策決定会合で、金融政策調節の主たる操作目標である当座預金残高を「30−35兆円程度」に据え置くことを全員一致で決定した。
主な一問一答は次の通り。
――金融政策の現状維持の背景は。
「恐らく物価の基調そのものは恐らく、緩やかに改善していくだろうと思われるが、一時的な要因のはく落で、消費者物価指数(CPI)の前年比変化率は再び若干のマイナスに陥って推移する可能性が当面ある」
「経済全般を見て、次第に前向きの循環が強まりつつあることを基本判断にして、かつ、これまでの市場への流動性供給量が非常に厚めになっている。金融市場は非常に平穏に推移しているし、企業金融面で(企業を)支援していく環境も十分整っている。時間軸効果を今後ともしっかり生かしながら、金融緩和効果の浸透をさらに図っていくことができる。こういう判断に基づいて現状維持にした」
――イラク情勢など地政学的リスクをどうみるか。
「世界経済は次第に順調な拡大過程に入っている。世界経済と密接な連関を持ちながら日本経済も次第に自律的な拡大メカニズムに移行しようとしている。そして、恐らく物価の状況も、一番ベースのところで少しずつ改善の状況が進みつつあるのではないか、という状況だ」
「現在、金融面では33兆円と非常に多額の流動性供給を続けているし、CPI上昇率が安定的にゼロ%以上になるまでは断固、今の枠組みを続けるという時間軸効果に対する信認も、しっかりちょうだいしている。地政学的リスクについても、今後の出方次第だが、相応の吸収力を備えて対応できていると考えている」
――景気回復の基盤をどう見るか。
「景気回復のスピードという点では当然、昨年10−12月の非常に早いスピードから見て今はややスピード調整、反動調整の局面に入っているが、景気回復の基盤という点からこの動きを見ると、景気に広がりが出てきている。前向きの循環メカニズムが次第に強まる方向にある」
「今の金融緩和政策の目的である、景気回復の基盤を次第に強固にしていく、そのための民間の努力を後押ししていくという点では、効果を上げつつあると考えている」
――市場の動きをどうみるか。
「特定の水準について、これが景気にプラスかマイナスかの判断はなかなか難しいが、1つだけ感想を言えば、一頃のように長期金利だけが飛び出して行動する、あるいは、ある時のように為替相場だけが飛び離れた動きをする、そういうことからすると、最近は金利の動き、株価の動き、そして為替相場の動きは相互に連関性を保ちながら動くようになってきていると思っている」
「市場相互間の動きが相互に良いけん制しながら動いているとすれば、経済実勢に沿った市場の条件を作っていくうえで、われわれとしては相対的に望ましいというか、やりやすいという状況になってきていると思っている。市場全体の動きが相互にチェックをかけながら、経済の実勢に沿った動きを市場自身が探りながら動いているということが、われわれから見えるよう形で動いていると思っている」
――量的緩和の出口政策について。
「日銀の金融政策の目標で言えば、CPIが安定的にゼロ%以上になるという状況をなるべく早く実現するために、最大限努力しているし、今後とも努力していく。そういう意味では、なるべく早く、ということだが、実際の見通しは、これだけ経済の方向性が良くなってきても、なお、その時間的距離を非常に至近に置いて考えるという状況にはなっていない。(デフレ脱却を)早く実現したいが、残りの1マイルはなかなかなお厳しい、こういう相対的な時間感覚を持っている」
――物価情勢の実勢は。
「今、CPI変化率は表面上ゼロになっている。しかし、多分、いろいろな要因を除いて考えると、実勢はまだ若干のマイナスのゾーンで動いている。今の回復パスが続く、あるいは自律的な回復メカニズムがさらに強まっていくとすれば、実勢としての基調はさらに改善していく。つまり、デフレの度合いが縮まるという方向で行くと思うが、昨年以来のコメなどの特殊な要因がこれからはく落することを考えると、表面的なCPI変化率はもう1度若干マイナスになる可能性がある」
――これから、もし33兆円規模の当座預金残高を30兆円や25兆円に引き下げていく場合、これ自体は実体経済に対してデフレ効果を持つのか。
「流動性のレベルを下げることはまったく頭の中にない。そういうことは近い将来、まったく念頭にない。従って、日銀が突如、流動性の供給レベルを下げて、何と言うか、デフレ圧力を突然加えるという心配はまったくご無用だ」
更新日時 : 2004/04/09 17:39 JST
http://quote.bloomberg.com/apps/news?pid=90003017&sid=aAOAdTf11gVQ&refer=jp_news_index