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【コラムニスト:Chet Currier】 4月6日(ブルームバーグ):倫理を重視して銘柄を選ぶ社会的責任投資のメリット――わたしの手元に見慣れたテーマの報道発表文が飛び込んできた。
発信元はボストンの資産運用会社ウィンスロー・マネジメント。内容は「環境に配慮する銘柄」を組み入れたウィンスロー・グリーン指数が過去4年間の上昇率で主要株価指数を大きく上回ったというものだ。
発表文は、過去の例も引き合いに出しながら「われわれの調査結果は、環境がカネを生むことを示す新たな証拠になった」と宣言した。
わたしは細かい反論をするつもりはない。調査結果の解釈は千差万別だ。さらに言えば、われわれには異なる価値観に基づいたさまざまな投信を自由に設定したり、投資対象にしたりする権利がある。
それでも、わたしは、社会的責任のある企業は高い投資収益率をもたらすというお決まりの見方にどうしても同調することができない。たとえそれが正しい見方だったとしても、株価にはすぐに織り込まれてしまい、将来的な投資妙味に問題を投げ掛けるということにはならないだろうか。
不道徳な投信
投信の世界では、銘柄の選別に絡んでコストが発生する。このため銘柄選びを伴う「社会的責任投信」は、銘柄選びを伴わない投信に比べ初めからハンデを背負っていることになる。平均的な投信を対象に先月末までの5年間の平均収益率を計算すると、「社会的責任投信」は年率1.6%と、全株式投信の同 3.7%を半分以上下回った。
こんな比較もある。例えば、ミューチュアルズ・ドット・コムが設定した投信「バイス・ファンド」(不道徳な投信)。この投信は銘柄選びの発想を 180度転換し、たばこ、ギャンブル、アルコール飲料、国防に関連した銘柄を中心に組み込んだ投信だ。ブルームバーグの集計データによると、1年7カ月前に設定されたバイス・ファンドの年間投資収益率は、S&P500種の騰落率を3ポイント余り上回った。だまされやすい投資家は、こうした結果をみて、投資の世界では道徳にも不道徳にも利があるという結論に陥る恐れがありそうだ。
メディアの注目度
バイス・ファンドのウェブサイトによると、この投信は過去2年間で120 以上の出版、放送メディアに取り上げられた。ミューチュアルズもまた企業として、一連の投信不正取引問題でメディアの関心を集めた。
しかしブルームバーグの集計データによると、バイス・ファンドの預かり資産はわずか1030万ドル。つまりメディアの露出1回ごとに集めた資金は10万ドルにも満たなかったことになる。社会的責任投信にしても、メディアが取り上げるほど、その規模は大きくない。
ギャップ
合計運用資産7億ドル以上を誇る有力投信会社のバンガード・グループもしかり。社会的責任投信の1つであるバンガード・カルバート・ソーシャル・インデックス・ファンドは、鳴り物入りで設定されて以降ほぼ4年間で集めた資金はわずか2億4600万ドルだ。
これは、われわれ一般投資家が無関心な怠け者であることを意味するのだろうか?もちろん違う。人々は確かに宗教や政治に強い関心を持っている。ただその関心が非常に個人的かつ多岐にわたっているということだ。信心深いか世俗的か、リベラルか保守的か――。さまざな価値観を持つ人々にとって、一元的な価値に基づく銘柄選びはなじまない。
将来的には、個人個人の価値や信仰を正確に反映した投信をいつでも組むことができる技術が誕生するかもしれない。少なくともそれまでは、社会的責任投資は理想と現実のギャップに苦しむことになる。(チェット・カリアー)
(チェット・カリアー氏は、ブルームバーグ・ニュースのコラムニストです。このコラムの内容は同氏自身の見解です)
原題:Hype Springs Eternal for Ethically Screened Funds: Chet Currier
更新日時 : 2004/04/06 15:24 JST
http://quote.bloomberg.com/apps/news?pid=90003009&sid=adbYzLOF968E&refer=jp_home