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【コラムニスト:Willie Pesek 】
4月2日(ブルームバーグ):雑誌の表紙を飾った人がその後どんな運命をたどったかを追跡するのは、多くの市場アナリストが好む暇つぶしだ。面白いことに、雑誌の表紙を飾るほど有名になった人は、それ以降は落ち目となるケースが多い。
日本政府が為替トレーダーと戦う「円売り」も、そうなるかもしれない。ただ、「円売り」が取り上げられたのは雑誌の表紙ではなく、漫画だ。東京の地下鉄に乗っているサラリーマンの多くが読んでいるのは、日本の円売り介入についての「漫画」だ。人気劇画「ゴルゴ13」シリーズの最新作で、米当局が米国経済の崩壊を食い止めるために日銀にドル買いを迫るというちょっと不吉な話だ。
欧州最大の銀行、スイスのUBSの主任債券ストラテジスト、イアン・ダグラス氏(ロンドン在勤)は「金融界の流れが時代の文化の一部になったときには、その流れは終わりに近いという仮定に基づいて考えると、日銀の為替介入が日本の漫画になったことは興味深い」と話す。
偶然かもしれないが、まさにその仮定通りのことが起こっている。日本の財務省が円売りを減らしているとの報道が真実であったらしいことは、その後の円の上昇によって裏付けられつつある。
日本は、過去1年3カ月に数千億ドルを費やして円相場押し下げを図ってきた。それが現在は、円が3月8日以来7%余りも上昇して4年ぶりの高水準になっているのに、驚異的な寛容さを示している。日本の当局者は、輸出業者を助けるための円押し下げの必要はもうないことに気付きつつあるようだ。
日本経済は依然として、政府債務の削減や銀行の不良債権の処理、競争力強化などの課題を抱えている。しかし、輸出主導の回復は経済の他の分野へと広がり、家計や企業の支出を押し上げ、企業や銀行の収益を拡大させつつある。
円の上昇は、日本経済にとってプラスに働くかもしれない。海外投資家が円は下がらないと思えば、日本株への資金流入が増えるだろう。今こそ、現代の為替市場において例のない積極果敢な介入をやめるときだ。
もちろん、米国が本当にそれを望んでいるのだろうかという問題は残る。ブッシュ政権は、望みがかない過ぎて困るという皮肉な状況に直面するかもしれない。米国は、米製品の競争力を弱めるうえに他のアジア諸国の介入も助長する円売りをやめるよう、日本に迫ってきた。問題は、政府・日銀によるドル買いが減ると、米国の債券利回りが上昇しかねないことだ。
ここで再び、先ほどの漫画の話になる。「ゴルゴ13」は30年以上前からあるサスペンス・シリーズで、しばしば、その時々の現実の出来事を作品のなかに取り入れてきた。今回のエピソードもその1つだ。
円、セックス、暴力
円安が日本にとって有利なのは明らかだが、実は米国にとっても利益になる。米国が過去最悪規模に上る経常赤字の穴埋めのために日本を大量の米国債買いに誘導しているという「陰謀」説は、ずいぶん前からささやかれている。
日銀のありふれた日常では、劇画のネタにはなりにくい。そこで、ゴルゴ 13には、お堅い経済ばかりでなく、お決まりのセックスや暴力も盛り込まれている。コンドリーザ・ライス米大統領補佐官(国家安保問題担当)やカール・ローブ大統領上級顧問をモデルにしたと明らかに分かる人物も登場する。
それにしても、為替市場の出来事が大衆文化に入り込んでくるとは、近年の日本における経済問題への関心の高さが分かるというものだ。これは、日本の景気回復に円相場が演じる役割の重大さも物語っている。ともあれ、日本の為替操作が漫画になるほど有名になった今、恐らくその終えんは近いのだろう。
(ウィリアム・ペセック・ジュニア氏は、ブルームバーグ・ニュースのコラムニストです。このコラムの内容は同氏自身の見解です)
原題:A `Comic-Book Curse' Hits the Japanese Yen: William Pesek Jr.(抜粋)
更新日時 : 2004/04/02 18:07 JST
http://quote.bloomberg.com/apps/news?pid=90003009&sid=apk4rPgzsjB4&refer=jp_home