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【記者：白木真紀】
４月２日（ブルームバーグ）：「企業再生」を模索している三菱自動車工業が、筆頭株主である独ダイムラークライスラーと三菱重工業、三菱商事、東京三菱銀行など三菱グループに求めている包括的な金融支援策の概要が２日、明らかになった。3000億円規模とみられる増資のうち、三菱グループだけで半額の1500億円程度を引き受けることなどが柱となっている。増資は優先株が中心となる見込み。複数の関係者が明らかにした。
また、ダイムラー本社のマンフレート・ゲンツ最高財務責任者（ＣＦＯ）が今週末に来日。再建計画を策定するプロジェクトチームの中心であるダイムラーの子会社、スマート社長のアンドレアス・レンシュラー氏、三菱グループ首脳らと会談し、最終調整をする。一連の会談でダイムラーの負担も決定される見通しだが、三菱グループと同額の1500億円となる可能性が高い。４月半ばをめどに最終案をまとめる方向だ。
三菱重など主要３社、最大で400億円負担
ただ、三菱自のリストラ規模がさらに拡大し、それに応じて増資額も膨らむ可能性が強い。このため、三菱自はこれ以上のグループ各社の負担は重いとして、政府系金融機関である日本政策投資銀行にも出資を打診した。出資額は数百億円規模となる見通し。実現すれば、官民挙げて、三菱自の「企業再生」を支援することになる。
関係筋によると、ダイムラーと折半で出資するため、三菱グループの負担は総額で 1500億円程度となる。そのうち、三菱重工業、三菱商事、東京三菱銀行の主要３社が、現在の出資比率にかかわらず、300億円―400億円をそれぞれ引き受ける。残りは東京海上火災保険、三菱信託銀行など、グループ各社に出資を要請する方針という。
ルーミス・セイレス運用会社（米カリフォルニア州サンフランシスコ市）のファンド・マネジャー、ジョン・リッチケ氏は「三菱自には明らかにキャッシュが必要だが、キャッシュだけでは、ブランド力の弱さ、競争優位のある商品、ぜい弱な販売ネットワークを克服することはできない」と指摘している。
イメージダウンで国内販売も低迷
三菱自は、北米でローン販売の貸し倒れ増加が響き、業績が急速に悪化。昨年は前年比26％減に落ち込んだ。今年３月期はこれまで、３度に渡る業績下方修正を余儀なくされており、連結純損益は720億円の赤字に膨らむ見込み。
国内では、他社メーカーと比べ新車投入が少ないうえ、2000年にリコール隠し問題が発覚して以来、品質面でのイメージの悪さも払しょくされていないことから、現在でも国内販売低迷の一因になっている。昨年の新車販売実績（軽自動車除く）は新型ミニバン「グランディス」が寄与したものの、今年に入り、１月が前年同月比33％減、２月が同27％減、３月は18％減と２ケタ減が続いている。
さらに、３月には同社から分社化した三菱ふそうトラック・バスでもリコール隠しが発覚。イメージのさらなる悪化は必至で、販売への打撃も避けられない。状況は深刻化しており、増資による資金は新車開発や生産拠点の統廃合に伴う費用に充て、抜本的な企業再生を図るための原動力にする考え。
三菱自広報部の西崎文雄氏は「新中期経営計画を30日に発表する予定。われわれは憶測に対してコメントできない」としている。
同社は２日午前、北米を含む海外事業を統括するスティーブン・エー・トーロック執行副社長が退任すると発表した。これを受けて、三菱自の株価は一時前日比で15％まで上昇。午前の取引は前日比26円（10％）高の285円で終えた。
更新日時 : 2004/04/02 12:46 JST
http://quote.bloomberg.com/apps/news?pid=90003009&sid=avSGNhaM0dq4&refer=jp_home
題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。