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【企業研究】厳しい現実、理想実現に挑むホンダ−国内強化で原点回帰 [ブルームバーグ]
http://www.asyura2.com/0403/hasan34/msg/532.html
投稿者 あっしら 日時 2004 年 3 月 26 日 18:33:32:Mo7ApAlflbQ6s
 


【記者:白木真紀】

3月26日(ブルームバーグ):「考え方が本筋からズレている」――。トヨタ自動車や日産自動車に比べて低迷する国内販売を拡大するため「顧客満足度」の向上を強く訴えるホンダ。だが、値引き販売などの施策が「一番、効果的だ」と実感している現場からはこんな懐疑的な声が聞こえてくる。顧客満足度の向上は当たり前、デフレ経済の下で値下げもしないで、販売台数のアップにつながるのか、というわけだ。

だが、その旗振り役である国内営業担当の西前学取締役は「様々な施策とのバランスが大切」としたうえで、台数を多く売ろうとるするあまり、値引き販売に傾きがちな現場のディーラーを前に、あくまでも「顧客満足度」にこだわる。販売台数のアップと顧客満足度の向上――。新車販売の低迷という厳しい現実を前に、その高邁な理想をいかに実現していくか。ホンダはいま、果敢に挑戦をしている。

愛情の“I”

では、ホンダ本社がこだわる「顧客満足度」とはいったい、何なのだろうか。この思想、実はその歴史はかなり深い。そして営業戦略のほぼ「原点」に位置づけられる。というのは、今から遡ること20年前、1984年に米国ホンダから戻ってきた宗国旨英会長が持ち帰ったといわれているからだ。

最後発メーカー。この吹けば飛ぶような立場のぜい弱さを補うため、ライバルに先駆けホンダは国内でもこの思想を導入した。宗国会長は当時、「顧客満足度の指数を意味する『CSI(=Customer Satisfaction Index)』のIは「インデックスのIではなく(顧客に対する)“愛情”のIだ」と説いて回った。

ただ、ここ最近のホンダは、商品力に頼った急速な販売拡大のあまり、急激に増えた新規ユーザー、そして、これまで買い続けてくれていた既存ユーザーに対して、愛情の“I”が手薄になっていたことに気付き始めた。国内販売不振という苦境に立たされたホンダが選んだのはまさに、ホンダイズムへの「原点回帰」だった。

ホンダは1994年の「オデッセイ」発売以来、「ステップワゴン」、「ストリーム」を投入し、ミニバンの一大旋風を巻き起こした。小型車でも「フィット」が爆発的なヒットを記録。他社にはない魅力的な商品に支えられ、これまでは「黙っていても売れた」(西前氏)時代だった。その結果、10年前に500万人だったホンダのユーザー数は850万人にまで増加した。

ただ、その後は、フィットの反動減などが響き、ホンダの2月の新車販売台数は14カ月連続で減少している。

顧客満足度に関する調査会社、JDパワー・アジア・パシフィックによると、ホンダの新車を買った100人のうち、購入する前もホンダ車だった人の割合は昨年実績で4割弱。一方、トヨタ、日産自は約6割。「囲い込み」が必ずしもうまくいっていないことを冷厳に示している。

「奇策はない」

850万人に膨らんだホンダユーザーの間で、一定の代替需要を確保できれば、成熟した国内市場での販売は揺らがないだろう。そのためには「顧客満足度」の向上を最優先させる。これまでやってきたことをあらためて見直し、営業活動を推進すれば、自然と販売台数はついていく、という戦略に行き着いた。魅力的な商品を出し続け、顧客を満足させ続けることに尽きる。「そこに奇策はない」(西前氏)。

西前取締役にゴールデンウィークまで土日はない。4月に国内営業担当に就任して以来、毎週末に全国主要ディーラーを訪問。販売現場との懇談会で週末のスケジュールは埋まっている。来店時から、商談、契約、購入後、定期点検に至るすべてのプロセスで、高い顧客満足が得られているかどうかを徹底的にチェックするよう、西前氏はディーラーに求めてきた。

西前氏は1日2時間かけてディーラーの話に耳を傾け、足元の課題を洗い出す。あらゆる場面でお客様の視点に立ち、どう行動すべきかを見極め、来期の営業戦略を練り直す作業に明け暮れる。かつて担当していた米国市場で、値引きをせずにホンダブランドを築き上げた西前氏。顧客は新車の値段が少々高くてもホンダを一生涯、買い替え続ける。中古車価格が高値で安定しているためだ。この米国での好循環が日本でも実現する日がいつか来ると西前氏は信じる。

確かに、昨年10月に発売した新型「オデッセイ」の効果も大きく、販売台数(軽自動車を除く)は徐々に回復してきている。昨年4−6月の前年同期比 28%減を底に、7−9月は同17%減、10−12月が12%減とマイナス幅が縮小、1−2月はようやく5%増とプラスに転じた。

防衛率が語るもの

西前氏が「顧客満足度の向上」と説き続けた効果は少しずつ現場にも浸透し始めているのも事実だ。首都圏にあるディーラーの営業スタッフからは「“説得”して買っていただくのではなく、“納得”して買っていただくという、これまでも徹底してきた販売面でのスタンスをあらためて見直している」との声が聞かれた。

自動車メーカーが見込んでいる代替需要のうち実際にそのメーカー車を続けて買ってくれた実績値の比率である“防衛率”は、トヨタが7割以上という。西前氏は「ホンダの防衛率は現在6割程度まできており、できれば7割くらいまで高めたい」と意気込む。だが、競争環境は厳しい。

ホンダに対する顧客満足度は現在、業界平均より高い水準だが、ライバルも負けておらず、業界全体のレベルもアップしている。JDパワーが昨年行ったセールス満足度調査では、顧客満足度に最も大きな影響を与える「セールス担当者」の項目では、メーカー間の格差が縮小している。

アフターサービス満足度調査でも、首位の独メルセデスベンツに続き、2位にはホンダ、独BMW、日産自、独フォルクスワーゲンの4社が並んだ。3位のトヨタは業界平均値と同じで、各社とも大差がない。

まずは“ひと”づくり

トヨタの営業スタッフは、ディーラーに出向いた顧客にまず住所・名前を記入させ、その日のうちに自宅まで出向く。家族全員の誕生日当日、花束を贈り届ける。今のご時世、あまりしつこいと逆効果だが、顧客の目には「トヨタの営業スタッフは他社の方に比べて熱心」(横浜市在住の主婦、西井真美子さん)と映り、つい買ってしまうという。

日産自でも、これまでは国内事業の陣頭指揮をカルロス・ゴーン社長自らが取ってきたほどの力の入れようだ。マツダは新規と既存の顧客バランスの点などで「ホンダに似てきている」(JDパワー・小川雅久オートモーティブ事業グループ事業部長)といい、油断できない。

そしてホンダは、この春から人材育成の強化に取り掛かる。これまでは新人向けの基礎研修とディーラー店長の研修だけだったが、新年度からは営業スタッフを実力別に峻別して、それぞれに応じたスキルアップを狙った研修を初めて実施する。まずは“人づくり”に励もうとしている。

今春には高級ミニバン、今秋には、全面改良した高級車「レジェンド」の発売が控えている。高価格商品を売るためには、それなりの汗をかく必要があり、商談の時間も長くかかる。西前氏も「目の肥えた厳しいお客様が相手になる。未参入のマーケットと考え、チャレンジのつもりでやる」と気を引き締める。

理想と現実

ホンダは1月に今期の国内販売計画を前期比13%減と下方修正した。だが、その目標達成も「ちょっと難しいかもしれない」(西前氏)。それでも「内容のいい売り方をする」ことにこだわりつづけたいという。

福井威夫社長も、昨年6月に就任して以来、“ホンダらしさの強化”、“原点回帰”を強調してきた。「販売台数は1つの目標ではあるが、それよりも優先されるのが顧客満足。ひとり一人の満足度をどう高めていくかがより重要だ」と語る。

競争が一段と激化し、成熟しきった国内市場での営業戦略で、“ホンダらしさ”を追求するスタイルがどこまで通用するのか。値引き販売も、なかなか許されないのに「それでもやっぱり販売台数のノルマはある」と悩む現場。デフレ下での競争激化。価格と品質を見極めようとする顧客。ブームにのって新車を買う顧客ばかりではない。こうした現実を前に、ホンダはその高邁な哲学を貫き通そうとしている。ホンダイズムの力が今、試されている。

ホンダの株価は前日比160円(3.4%)高の4880円(午後1時23分現在)。

更新日時 : 2004/03/26 13:37 JST

http://quote.bloomberg.com/apps/news?pid=90003017&sid=aIEg2zl6ZXfY&refer=jp_news_index

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