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【記者:Caroline Baum】 3月23日(ブルームバーグ):インフレが問題視されなくなってから長い年月が流れた。今ではインフレの加速が始まる可能性について触れることすらはばかられる。
約1年前には、米国の金融当局者、民間エコノミスト、そして多くのトレーダーや投資家がインフレと正反対のデフレ(物価の持続的な下落)を懸念していたほどだ。
金融当局者の間には、インフレ率が依然として低いことに不安を感じる向きもあるようだが、連邦公開市場委員会(FOMC)の声明からはこうした不安が弱まっている様子が読み取れる。
投資家も不安を感じている。ただ不安の対象はインフレ減速の可能性ではなく、インフレ加速の可能性だ。国債とインフレ連動債(TIPS)のスプレッド(利回り格差)を基準にすると、投資家が予想する10年後のインフレ率は 2.35%。現在のインフレ率を大幅に上回る水準だ。2月の消費者物価指数(CPI)の伸び率は前年同月比1.7%。食品とエネルギーを除くコアCPIは同 1.2%だった。
指標の信頼
米調査会社エコノミクス・フロム・ワシントンのダグラス・リー社長によると、問題はインフレ率の上昇だけではなく、インフレ指標そのものが信頼を失っていることにもある。
CPIの項目から変動の激しい食品とエネルギーを外してコアCPIを計算する際、この変動が両方向である場合と一方向である場合とでは意味合いが大きく異なる。リー氏によると、食品価格は少なくとも過去40年間、毎年上昇。エネルギー価格も2002年が11%上昇、2003年が7%上昇だった。ことし初めはもっと速いペースで上昇したという。
大手英銀バークレイズ・キャピタル・グループの米国担当チーフエコノミスト、ヘンリー・ウィルモア氏は「時間のずれがあることを考えると、最近の商品相場の上昇の影響がコアCPIにはっきりと表れるのはことし遅くか来年になるはずだ」と語る。
同氏によると、今起きているのは「2002年遅くに始まった商品相場の上昇が、インフレ圧力になってさまざまな段階の生産者価格を次々に上昇させる現象」。ことし1、2月のコアCPIの上昇率はともに0.2%と、昨年の平均(0.1%)を上回った。コアCPIの28%を占めるコア商品価格の下落にも4年ぶりに歯止めがかかったようだ。
インフレの裏付け要因
1月の原材料の生産者価格(食品・エネルギーを除く)は前年同月比24%上昇と、25年ぶりの高水準を記録。また、全米自営業連盟(NFIB)によると、2月に値上げを実施した自営業者は全体の13%と、約3年ぶりの高水準だったという。
フィラデルフィア連銀が発表した3月の仕入れ価格指数も9年ぶりの高水準に上昇した。需要は十分に強い。一部原材料の供給は非常に不足している。こうした状況下では仕入れ値の上昇分を売り値に転嫁する企業が増える。
ウィルモア氏は「自動車や衣料品の価格は、強いドルと中国からの輸入品のおかげでここ数年は低下が続いていた。しかし今、こうした状況に変化が出ている」と言う。
だれも語ることのないインフレの急激な加速。しかし、インフレ指標が現実を反映していないとしたら、債券利回りにはどのような影響が出るだろう。(キャロリン・ボーム)
(キャロリン・ボーム氏は、ブルームバーグ・ニュースのコラムニストです。このコラムの内容は同氏自身の見解です)
原題:Inflation Is Only as Tame as Your Price Index: Caroline Baum
更新日時 : 2004/03/24 15:30 JST
http://www.bloomberg.co.jp/news/commentary.html