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【記者：伊藤 小巻、 平野 和】
３月23日（ブルームバーグ）：三菱東京フィナンシャル・グループと消費者金融２位のアコムは23日、リテール分野での戦略的業務・資本提携で合意したと発表した。東京三菱銀行とアコムが消費者金融分野で業務提携を行うほか、三菱東京ＦＧが約1379億円を投入してアコムの議決権株式の15％相当を保有し、アコムは三菱東京ＦＧの関連会社になる予定という。
三菱東京ＦＧの三木繁光社長は同日午後、都内での発表会見で「東京三菱銀はカードローンなどで個人向けローンを伸ばす計画で、その際、アコムの高い審査・保証能力に期待できる」と提携の主な狙いを説明。一方、アコムの木下盛好社長は「保証ビジネスの拡大のほか、アジアでの個人向け業務などで、ブランドイメージや信用力の向上につながる」と述べた。
資本提携では、三菱東京ＦＧが、アコムの第三者割当増資1400万株（議決権総数の8.79％）を４月19日に引き受けるほか、アコムの既存株主や自己株式から673万2340株（同4.23％）を４月20日に譲り受ける。これにより、木下社長ら創業者一族の保有比率は、47％から40％に低下する。ただ、アコムの経営の独自性を保つため、三菱東京ＦＧの保有比率は将来的にも15％を大きく上回らないようにする方針だ。
また、業務提携は2004年度以降、順次、実施していく。具体的には、１）東京三菱銀が消費者金融業務を大幅に強化する際に、アコムに債務保証業務を委託する、２）東京三菱銀は小規模業務の決済資金に関する債務保証業務を、アコムに委託する、３）アコムの保証業務や回収業務などで、他社との業務提携を拡大できるように協力する――などの事項を盛り込んでいる。提携業務のさらなる拡大も検討していく。
東京三菱銀とアコムの合弁会社で、消費者金融と銀行ローンとの中間的な金利で融資を行なっている「東京三菱キャッシュワン」について、三木、木下の両社長は、債務超過を解消して財務基盤を強化するため、170億円を減資のうえ、 100億円を増資する計画を表明した。増資には三菱東京銀、三菱信託銀行、アコムの３社が応じる。
アコムは第三者割当増資で1000億円弱を調達
アコムの第三者割当増資では、新株発行価格が１株につき6650円。アコムの調達概算額は926億7000万円で、運転資金に充当する予定。アコムの発行済み株式の総数は１億5962万8280株なる。資本組入額は１株につき3325円で、増資後の資本金は465億5000万円増加し、638億3252万円になる。
野村証券・金融研究所アナリストの溝渕明氏は、「（三菱東京ＦＧが）保証、審査のようなリスクテイクの部分で消極的だったが、アコムとの提携という形で、それにもっと携わるというメッセージがある」と述べ、「東京三菱の消費者ローンの位置付けが、より強いものになったということが伝わる」と語った。
また、溝渕氏は、東京三菱銀がアコムなどと共同出資で設立した消費者金融子会社の東京三菱キャッシュワン（東京都中央区）に関して「キャッシュワンという合弁よりも、より東京三菱のネットワークが活用されることが大きい」と指摘した。さらに、「（アコムが）子会社化されてないという点で、東京三菱への利益への貢献度はごく限定的だ」という。
岡三証券の服部実アナリストは、この提携について「アコムの信用力やブランド力が上昇することっから、同社にとってプラスの影響の方が大きい」と評価した。
三菱東京ＦＧに「攻めの姿勢」
シグナ・インターナショナル・インベストメント・アドバイザーズの投資運用部シニアポートフォリオマネジャーである高松一郎氏は、三菱東京ＦＧの決定について「いい買い物であり、かつポジティブな話。この提携によって、弱かったリテールが強化され、また、自己資本に余裕があるにも関わらずそういった動きがみられなかったが、アコムという大手を組むということで、他行との競争力を強化するという攻めの姿勢がみられる」と評価している。
米格付け会社のスタンダード・アンド・プアーズ（Ｓ＆Ｐ）は23日、アコムについて、１）傘下入りで三菱東京ＦＧとの連携が強まれば、資金調達源の拡大につながる可能性がある、２）アコムの大株主は創業者やその関連会社が占めており、銀行などの第３者が大株主となれば、コーポレート・ガバナンス（企業統治）がより改善する可能性がある――との見解を発表した。
株価終値は、三菱東京ＦＧが前日比8000円（0.8％）高の97万3000円、アコムは同80円（1.0％）安の7630円。
更新日時 : 2004/03/23 19:03 JST
http://quote.bloomberg.com/apps/news?pid=90003009&sid=aYaBQfEHNB1g&refer=jp_home
題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。