現在地 HOME > 掲示板 > 国家破産34 > 477.html ★阿修羅♪ |
|
Tweet |
富士通、松下電器産業、ソニーが相次いでデジタル関連分野で大型の国内投資に踏み切るなど、日本の製造業が元気を取り戻してきた。低価格の「中国製」は依然脅威だが、ブラウン管テレビなど価格競争の激しい商品は中国、薄型テレビなど高付加価値品は日本という住み分けも一段と明確になってきた。生産現場で共通するのは、自社工場で生産する「内製」、製造ノウハウを外部に公開しない「ブラックボックス化」へのこだわりで、モノづくり大国、日本の復活をかけた模索が続いている。(松崎 恵三)
◆国内回帰
大型国内投資のけん引役は、デジタル家電だ。19日に約1600億円の投資を発表した富士通の小野敏彦・経営執行役常務は「大きな市場が立ち上がろうとしている。顧客の要望に応じ投資を決めた」と語った。
生産拠点の国内回帰には理由がある。2月19日、大分市の東芝大分工場のシステムLSI(大規模集積回路)生産棟の完工式で岡村正社長は、「国内にはデジタル家電を製造する多くのメーカーがあり、開発段階から連携を取って開発できる」とメリットを強調した。
熟練工の存在も大きい。
NECの国内唯一のパソコン生産拠点、NECパーソナルプロダクツ米沢事業所(山形県米沢市)は、2000年からトヨタ生産方式を導入、1人あたり生産台数は1日50台以上と、アジア平均の約3倍の生産効率を上げている。
同社の高須英世常務は「中国は人件費は安いが、従業員の定着率が悪い。熟練工がいる国内工場の方が仕事がしやすい」と語る。
◆こだわり
キヤノンのデジタルカメラの2004年度販売計画は、前年度比75%増の約1500万台。デジカメで勝ち組といわれる同社の強みは、自社技術へのこだわりだ。例えば、アナログカメラで培ったレンズは、微妙な凹凸により光の屈折率を調整し、美しい色を再現する。金型も含めて自社で作る「内製」化で、高機能なのに生産コストを抑えた。
もうひとつの特徴が「ブラックボックス化」だ。約1000億円を投資したシャープの亀山工場(三重県亀山市)は、第6世代といわれる大型の液晶パネルと薄型テレビを一貫生産している。
液晶は、先行する日本を韓国、台湾が激しく追い上げる。「製造装置メーカーと改良を進めるうちに、生産ノウハウが流出し、うちのノウハウを取り込んだ装置が、韓国、台湾メーカーに販売されるケースもあった」(シャープ広報室)という。その反省から、一部の主力製造装置は自社で開発・生産、技術者が毎日データを入力して製造装置を動かし、外部にノウハウが流出しない工夫を凝らす。
◆繊維業界でも◆
デジタル関連だけではなく、中国に押され続けた繊維でも、編み機メーカー、島精機製作所(本社・和歌山市)が、縫い目のないニット製品を編める自動編み機を開発したことで、国内回帰が動き始めた。
オンワード樫山は今春夏物から、中国で生産していたニット製品の一部を、国内工場への発注に切り替えた。自動編み機で国内生産すれば、人件費や輸送費が減るうえ、機械だけで編む分、中国製品と比べ、品質のバラツキがなくなった。初期投資が数千万円かかるため、中国企業はまだ様子見の状況で、今後ニットの国内生産は増えそうだ。
(2004/3/22/22:48 読売新聞 無断転載禁止)
http://www.yomiuri.co.jp/business/news/20040322ib23.htm