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【記者:藤田 淳子】
3月22日(ブルームバーグ):この3月末に転換社債が満期を迎えるのはNEC、日興コーディアルグループなど67社で、総額約1兆2000億円に達する。その大半の約1兆1000億円は株に転換されず、現金で投資家へ償還されることになる。このうち56社の株価(22日午前終値)が、それぞれの転換価格に達していないためだ。ブルームバーグ・データによる分析で判明した。
償還原資に現金を充てる企業が多く、転換社債の新たな発行はないもようだ。一方、4月以降の転換社債の償還額は総額約4兆6000億円になり、これと比べても3月の償還額はかなりの規模となる。大型償還を迎えて、投資家には新たな投資先に頭を悩ます人もいるようだ。
大和住銀投信投資顧問株式運用部の森克彦氏は「マーケットがシュリンク(縮小)してしまうことはどうしようもない。代替の商品を買うという選択もあるが、転換社債の商品性を評価しているお客さんもいるので困っている」という。
株価は転換価格の半値以下の水準に
NECは3月末に転換社債1200億円の償還を迎える。この1988年に発行された社債の転換価格は1893円であり、現在の株価が半値に満たないことから、投資家はキャッシュでの転換を望むだろう。NECコーポレート・コミュニケーション部の宮川誠氏は、この償還に現金を充てると説明している。
日興コーディアルグループ広報IR部の下山佳人氏も、転換社債240億円を償還するためのファイナンスは実施しないと述べている。日興コーディアル転換価格は1843円で、現在の株価はその3分の1程度の水準となっている。また、松下電器産業も転換社債980億円の償還は現金で行うという。
アイシン精機の場合は、現在の株価が3月末に満期を迎える転換社債300億円の転換価格を上回っているが、142億円分がまだ転換されていない。仮に、この部分が転換されないままであったとしても、償還には現金を充てるという。
アイシン精機・経理部財務グループの大西淳氏は「転換社債をチープデットとして提案する証券会社もあるが、転換社債により利益を得ているヘッジファンドがあること、発行により株価が下がることを考慮すると資本の安売りということにもなり、既存株主に対して配慮に欠けるということにもなる」と語る。
既存投資家には知らぬ間に株式希薄化の不安
国内転換社債の償還がピークを迎えようとするなかで、転換社債の発行先にユーロ市場を選ぶ傾向が続いている。昨年9月以降の転換社債の発行は、国内が8社で計644億円、ユーロ市場が51社で計1兆2400億円となっている。ユーロ市場の投資家は、より高いプレミアムを受け入れることが背景にあるのだろう。
1月以降に日本市場で発行された転換社債のなかで、転換プレミアムは、北洋精工の転換社債100億円の30.07%のアップ率が最高なのに対し、ユーロ市場では神戸製鋼所の60.3%が最高となっている。
企業にとって、転換社債は株式の希薄化を遅らせながら資金調達が可能になり、投資家にとっては元本が保証されているうえに、株価が転換価格を超えて上昇した場合にはその値上がり益も享受できる投資商品となる。しかし、株の投資家にとっては、知らないうちに株式へと転換される転換社債の発行よりも、新株発行の方が分かりやすいという指摘もある。
明治ドレスナー・アセットマネジメントの栗本英昭シニア・ポートフォリオ・マネジャーは「隠れた株がいつ顕在化するか分からないなかで株を持ち続けているのは、投資家にとってはかなわないことだ」と語った。
更新日時 : 2004/03/22 15:05 JST
http://www.bloomberg.co.jp/news/commentary.html