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散々怪しいと言われている日本の国内GDP統計ですが、興味深い記事がありましたので紹介します。
2004年3月18日
普通、住宅は購入するものだと思っていたけど、GDP統計では投資とのこと。投資ならば儲けが発生しているはずだけど財布の中身は増えていないのはナゼなのかな?
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我々は通常、住宅を「購入する」と表現するが、GDP統計では住宅を「住宅投資」と表現しており、消費ではなく投資の一つとして計上している。一般に投資といえば、設備投資をイメージするが、これは企業がおこなうもの。住宅投資は、企業ではなく家計がおこなう投資である。
投資と消費の違いは、基本的には利潤を作り出すかどうかによる。投資は後で何らかの利潤を生み出すのに対し、消費は文字通り「費やして消えてしまう」ものである。消費をいくらしたところで消費をした人に利潤は発生しない。
異論はあるだろうが、GDP統計では、住宅を所有し、その住宅に住んでいれば、誰であろうと利潤を得ていることになる。ここでいう利潤とは、簡単に書けば家賃である。野宿を続けている方を除けば、人は何らかの形で住宅に住んでいる。住んでいる住宅が自分の住宅であれば、家賃を支払う必要はないが、賃貸住宅に住んでいれば大家さんに家賃を支払う必要がある。言い換えれば、自分の住宅に住んでいる方々は、家賃を支払う必要がないので、家賃分だけ得(トク)していることになる。この得した分をGDP統計では帰属家賃と称し、利潤の一つとしてカウントする。よって住宅は消費ではなく投資となる。「そんなの屁理屈だ」と思われる読者も多いだろう。しかしこれはGDP統計における決め事であり、どうしようもない。
「利潤を得ているといっても、私の財布の中身は増えていないぞ」と思われる読者もいるだろう。それもそのはず。先に述べたように帰属家賃は、あくまでGDP統計で想定した「決め事の利潤」である。現実として利潤が発生しているわけではないので、住宅を所有する方の財布や預金口座の中身が増えることはない。やや言い過ぎかもしれないが、帰属家賃はGDP統計の中でしか発生しない想像上の利潤といえる。
ただ、いくら想像上の利潤とはいえ、利潤は利潤(儲け)だ。儲けが発生しているのであれば、何らかの形で儲けを計上しなければならない。そこでGDP統計では、帰属家賃は瞬時に発生し、瞬時に消費したことにする。住宅を所有している場合、家賃を支払う人も家賃を受け取る人(つまり大家)も同一人物である。よって、GDP統計では、自分の財布からお金を抜き取り、大家である自分自身にお金を支払うと考える。つまり帰属家賃は、発生した瞬間に消費されることとする。
「そんなのアリかよ〜」と呆れる方もいるだろうが、これも決め事だから受け入れるしかない。しかも注意すべきは、この帰属家賃が最近のGDPを押し上げていることだ。実際にデータをみると、
GDP 帰属家賃 GDPに対する
割合(%)
1991年 476.4 38.3 8.0
1993年 482.2 41.8 8.7
1995年 496.9 43.8 8.8
1997年 523.4 45.5 8.7
1999年 517.8 47.3 9.1
2001年 534.9 48.9 9.1
2003年 547.1 50.5 9.2
(注)GDPと帰属家賃の単位は兆円(実質値)
となっており、帰属家賃はGDP全体の9%(約50兆円)まで拡大している。
最近、日本の実質GDP成長率が予想以上に高いことを根拠に、景気に対して楽観的な姿勢を示す報道が増えている。しかしGDP統計には、帰属家賃のように日常生活とはややかけ離れた決め事があるのも事実。GDP統計だけで景気を考える危険性を忘れないでおきたい。
マーケットエコノミスト 秋新作
提供:株式会社FP総研
http://money.msn.co.jp/investor/column/columncon.asp?nt=8&ac=fp2004031817&cc=21