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【記者:鷺池秀樹】
3月19日(ブルームバーグ):新年度以降の金融相場の需給動向を占う上で、大きな影響力を持つ公的年金のニューマネー(新規投入資金)。2004年度のニューマネーの総額は7兆円前後と、前年度(当初計画12兆1000億円)の半分強にとどまる、との見方が市場関係者の間で、有力になってきた。
特に、株式にいたってはこのところの株価上昇で、目標の配分比率を上回っているとみられるため、新年度のニューマネーは「1兆2000億円程度」(大和総研投資戦略部の壁谷洋和マーケットアナリスト)になるとの声も出ている。株式市場では、期待していたよりも買い余力が小さいとの見方が広がっており、失望を招きそうだ。
(17.1+1.1)?(7.5+3.4)
ニューマネーが半減する背景は、財投債の引き受けが大幅に増えることが主因。郵貯に対する財政融資資金(旧資金運用部)預託金の払い戻しが増えることを背景に、 2004年度の財投債の発行総額は前年度当初比38%増の41兆3000億円に増加する見通し。これに合わせて、公的年金も財投債引き受け額を7兆5000億円に増やす方針だ。このほか借入金の返済などで3兆4000億円の支出もあり、合計10兆9000億円の支出がある。
加えて、財政融資資金の預託金の償還額が前年度の21兆円から17兆1000億円に減少したことも、ニューマネーの減額要因になる。満期を迎えた財投債の償還などで1兆 1000億円の収入があるが、支出額が増えていることを考慮すると、預託金の償還が減った影響は大きい。
預託金の償還額が17.1億円、その利子が1.1億円、財投債の引き受け額が7.5兆円、借入金などの返済が3.4兆円。かくして、(17.1+1.1)?(7.5+3.4)=7兆3000億円という数式が導かれ、ニューマネー推計上のたたき台となる。
ここからさらに厚生保険特別会計の年金勘定が赤字基調で推移していることを勘案しなければいけないため、ニューマネーの総額は7兆円を挟んでプラス・マイナス数千億円の間で決まる見通しだ。厚生労働省年金局は22日、ニューマネーの配分や04年度の運用方針を決めるための部会(年金資金運用分科会)を開催する。
「歴史的な転換」
「2004年度の株式需給は歴史的な転換を図る」??。それでも大和総研の壁谷氏は言う。年金資金運用基金の買い圧力が1兆円前後にとどまったとしても、2004年度の売り圧力が直近3年間より大きく低減するため、株式需給が堅調になると。
壁谷氏は、持ち合い解消が一巡したことや、企業年金の代行返上売りが減少し始めたことをみて、「株価バリエーションを度外視した機械的な売りは減るだろう。売りが減れば、買いが減るのは当たり前で、公的年金の相対的な買い余力は03年度とあまり変わりがない」と分析している。
大和総研がこのほどまとめた04年度の株式需給見通しによると、銀行と事業会社間の持ち合い解消で約2兆3000億円、生保の保有株圧縮で5000億円、企業年金の代行返上などで5000億円、政府保有株の売り出しなどで7500億円、新規公開で8000億円、既公開企業の増資などで5000億円の売り圧力を想定。計5兆3500億円の売りを予想する。
一方、買い越しが見込める投資主体としては、外国人投資家が3兆円、公的年金が1兆2000億円、企業の自社株買いが1兆円、個人が5000億円、投資信託が5000億円、株式買取機構が5000億円になると想定。計6兆7000億円の買いと予想した。
公的年金については、総資産に対する株式資産の比率を04年3月末の6%から、05 年3月末に「7%にすることを目指す」(壁谷氏)と予想。05年3月末の株式資産は12 兆円前後になるとみている。
空白の8年
財投預託金の償還が済み、全額自主運用が始まるのは2008年度から。2009年3月末の公的年金の運用総額、約150兆円は「基本ポートフォリオ」にのっとって資産配分されるべきだと提言されている。
このため、年金問題を管轄する厚生労働省自らが、目標収益率4.5%を達成するための理想的な配分額について、1)国内債券が102兆円(配分比率68%)、2)国内株式が18兆円(同12%)、3)外国債券が10兆5000億円(同7%)、4)外国株式が 12兆円(同8%)、5)短期資産が7兆5000億円(同5%)??と推計。市場関係者に対して公表している。
だが、野村証券投資技術研究部資産運用研究グループの荻島誠治シニアコンサルタントは「厚生労働省が基本ポートフォリオを効率的な配分比率だとしている以上、明日にでも株式を12%まで引き上げるのが筋だ。買うぞ、買うぞと事前に言ってしまうから株が暴騰してしまうのであって、黙って買えばいい」。
財投預託金の償還問題は国家財政上の積年の課題。一朝一夕には解決できない複雑な制約を受けている。しかし、国民の生活に直結する年金問題の解決を国が最優先に考え、本気で取り組むのだとすれば、8年近くにわたって、自らの手の内を明かし、反対売買で儲けて下さい、とばかりに売り買いを行うのはあまりに不用意で非効率な運用だと言わざるを得ない。まさに空白の8年といえる。
5年前に策定した「基本ポートフォリオ」がこの金融市場下でも妥当性を持つならば、今すぐにでも、それに合わせた資産配分比率に変更すべきだ。
誰のための年金運用か
また、こうした意見とは別に、債券と株式を合わせた日本国内の証券資産が「基本ポートフォリオ」の8割以上を占めるというプランが果たして妥当かどうかという議論も出ている。これは根源的な問い掛けである。年金運用関連のコンサルタント業務を手がけるIICパートナーズで顧問を務める内田博史氏もそのひとりで、「公的年金が国民の期待に応えるために、もっとドライな運用を行うのならば、投資対象の分散を推し進めるべきだ」と語る。
内田氏は、粉飾決算で株価を支え、破たんに追い込まれた米エネルギー大手、エンロンを引き合いに、日本の公的年金の資産配分状況を危険視、警鐘を鳴らしている。
エンロンは、ストックオプション(自社株購入の権利)や年金の運用対象として自社株の組み入れを行い、その組み入れ比率が8割以上になっていた。このため、会社の業績が伸び、株価も上昇していく過程では、社員が等しくメリットを享受できたが、一度、逆回転を始めると、株価一辺倒の経営は、会社も破たん、給料も年金もない、というような憂き目をみた。
自国の国債に投資するということは、将来の税収を担保にした借金とも言える。日本の国家財政が危機に瀕した時、公的年金の被保険者である国民は、年金を受け取るために増税を受け入れるか、年金の受け取りをあきらめるか、厳しい選択を迫られるだろう。自国の証券資産に集中投資する姿は、まさにタコが自らの足を食べながら生き長らえようとする姿に重なる。
内田氏は「国粋主義のメンタリティーは投資理論の世界では必ず敗北する」と指摘。リスクを回避するために投資対象をもっと分散すべきだと提言する。
世界経済の成長率を勘案するならば、中国を含むアジア株や東欧などへの投資も検討すべきだ。投資家の間では「アメリカの公的年金がプライベート・エクイティー(非公開株)や不動産に投資していることも参考にしていくべき」(野村証券の荻島氏)だとの意見も根強い。
「思想の整理」
米国の公務員年金や公的年金の実際の投資行動パターンをみると、運用利回り目標を名目8%に設定しているケースが多いという。野村証の荻島氏によると、米国の年金ファンドは「株のリターンを9%、短期金利を3%。実質6%の運用利回りを目指している」と言い、リスクをとって、積極的な運用を行っているという。
一方、国際的な会計基準の統一に向けて、金融商品の時価評価や、減損会計の導入が確実視されるなかで、日本もグローバル・スタンダードに準拠するつもりなら、「公的年金もALM(資産と負債の総合管理)の概念を取り入れざるを得ない」(IICパートナーズの内田氏)。
日本銀行総裁に就任する直前まで、年金資金運用分科会の委員を務めていた福井俊彦氏は、2002年11月の会合で、「ALMの観点を入れるかどうかきちんと整理したほうがいい」と発言。年金制度そのものが積立金方式なのか、賦課方式なのかをはっきりさせたうえで、年金運用をどう位置付けるのか「思想の整理」が必要だと語った。
公的年金のALMを考える以上、「財政投融資を通じて、地方のハコモノ(建築物)や、貸し付けにまわったお金のことをみていかなければいけない」(内田氏)というのも、確かだ。
復興型の図式?ALMで矛盾を照らせ
運用差損ばかりが国会論戦の溯上(そじょう)にのぼる。しかし、公的年金の問題はつまるところ財政投融資の問題であるとも言えるし、戦後一貫して、国が400?500兆円ものお金を一カ所に集めて、地方に流し込むという「復興型」の図式がいまも本当に妥当かどうか。この点において、郵貯・簡保や道路公団の問題とまさに表裏一体だと言うこともできる。
現在、市場で運用している44兆円は確かに手元にあると考えられるが、「残りの 110兆円の時価は本当にいくらなのか。減損会計を適用した場合、いくら残るのか」? ?。内田氏はALM管理への移行が公的年金の本質的な矛盾を照らし出すと強調する。
野村証券の荻島氏は「これだけ国民が真剣に年金のことを考えたのはおそらくこれが初めてだろう。法案成立をタイムリミットと捉えるのではなく、むしろ、これから2年、3年かけて、年金問題を国民みんなで話し合っていこうという流れになればいい」と語る。新しい年金運用をデザインするためにも具体的で専門的な議論の場が必要だ。
-- Editor:Kaimai
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