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【コラムニスト: John M. Berry 】 3月17日(ブルームバーグ):グリーンスパン米連邦準備制度理事会(FRB)議長は新規雇用の増加に楽観的な見通しを示していたが、16日の連邦公開市場委員会(FOMC)の声明は、より冷徹な現実を反映した内容だった。
最近の軟調な雇用統計結果を受けて、FOMCは1月の声明の「新規雇用は依然として低迷しているが、その他の指標は労働市場の改善を示唆している」というやや楽観的な調子に代わって、16日の声明では単に、「雇用喪失のペースは緩慢になってきたが、雇用の新規創出は遅れている」と述べた。雇用と景気拡大の持続性への懸念の高まりを受けて、利上げの時期をめぐる議論が遠い将来へと押しやられたことは明らかだ。
新規雇用とそれに伴う所得は、2003年に導入された所得減税の効果が薄れることし後半以降の個人消費拡大を支える鍵だ。ここまでの拡大を支えてきた税引き後家計所得の伸びは主として、2001年からの減税によるものだ。実は、インフレ調整済みの賃金と給与は過去3年間、全く増えていない。米平均時間給も2月までの1年間に、1.7%しか伸びていない。
カーター元米大統領の大統領経済諮問委員会(CEA)委員長を務めたチャールズ・L・シュルツ氏は、米金融当局の懸念を共有する。同氏は、問題は雇用が増えないばかりでなく、労働賃金が増えていないことだと指摘する。
「予想外の低さ」
金融当局は、2月に米議会に提出された半年に1度の金融政策報告書でも、 2003年「12月の雇用者数の予想外の低さが示すように雇用が引き続き伸び悩んでいることから、一部のリスクは残る」と雇用に関する懸念を表明している。その後、さらに2カ月の「予想外に低い」雇用者数データが発表され、今回の景気拡大が本質的に従来のものとは異なることが示された。大きく異なるのは、生産性の伸びが信じられないほど高いことだ。
企業は1990年代に手付かずのまま放置されていた生産性向上の手段を使い果たしつつあるとのグリーンスパン議長の議論は正しいかもしれない。一方で、多くの企業が直面しているし烈な競争や、製品・サービス価格の引き上げが困難な状況を考えると、議長は間違っているかもしれない。
米景気がことし下期に失速することはないだろう。失速するには、経済に勢いがあり過ぎる。成長は単に鈍化するだけかもしれない。しかし、米証券大手ゴールドマン・サックスは、「雇用の伸びが引き続き期待外れに終わる場合は、下期の成長見通しに陰りが生じる」とのシナリオも示している。
米金融当局にとって、そのような結末は望ましくないどころか、絶対に避けたいところだろう。しかし現時点で、向こう数カ月の展開に影響を与えるために当局ができることはあまりない。
議長の楽観論
長年にわたってグリーンスパン議長を見守ってきた人々は、ことしに入って同議長が証言や講演で、断固として楽観論を貫いていることに驚いている。米金融当局のある元高官は、グリーンスパン議長は事態を悪くしそうなすべての要素について、可能性や重要度を控えめに言っているのだと話している。恐らく議長は、すべてがうまくいくという人々の信頼感に水を差したくないのだろう。
雇用者数が数カ月連続で力強い伸びを示せば、FOMCメンバーを含め皆の信頼感は大いに高まるところなのだが・・・。
(ジョン・ベリー氏は、ブルームバーグ・ニュースのコラムニストです。このコラムの内容は同氏自身の見解です)
原題:Fed's Sober Reality: It's Not Just Jobs, But Wages: John Berry(抜粋)
更新日時 : 2004/03/17 15:30 JST
http://www.bloomberg.co.jp/news/commentary.html