海外事業委託で雇用流出、米大統領選の主要争点に　［読売新聞］【マンキュー委員長発言の余波】あっしら

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海外事業委託で雇用流出、米大統領選の主要争点に　［読売新聞］【マンキュー委員長発言の余波】
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投稿者あっしら日時 2004 年 3 月 16 日 02:17:58:Mo7ApAlflbQ6s

　【ワシントン＝広瀬英治】アメリカで根強い雇用不安の“主犯”として、海外への事業委託（アウトソーシング）が問題になっている。人件費の節約などを目指す企業が生産・サービス拠点を国外へ移し、雇用の流出が起きているためだ。

　この問題は今秋の米大統領選挙でも主要争点の一つになる見通しだが、「国内の雇用確保」と「企業の国際競争力強化」をどう両立させるか、問題解決の糸口は容易には見つかりそうにない。

　ブッシュ米大統領は１３日のラジオ演説で雇用問題を取り上げ、「米国と外の世界に壁を築こうとする動きがある。しかし、経済孤立主義は輸出産業で働く何百万もの善良な米市民の雇用を危うくするだけだ」と、自由貿易の重要さを強調した。

　この発言の裏には、野党・民主党の大統領候補であるジョン・ケリー上院議員が、米雇用不安の原因がブッシュ政権の通商政策の失敗にあると激しく攻撃し、自由貿易の見直しを迫っている事情がある。

　ケリー氏の有力支持母体である労働組合は、北米自由貿易協定（ＮＡＦＴＡ）などの自由貿易の枠組みが米産業の海外移転を進め、国内雇用を減少させたと主張している。ブッシュ大統領はこうした動きを「経済孤立主義」と呼ぶことで、ケリー陣営の見方がいかに現実離れしているかを国民に印象づけようとしている。

　しかし、現政権の弱みは、ブッシュ大統領が就任してから国内で現実に約２８０万人もの雇用が失われていることだ。

　雇用移転論争に火を付けたのは、２月上旬に大統領経済諮問委員会（ＣＥＡ）のグレゴリー・マンキュー委員長が「海外への事業委託は長い目で見れば米経済にプラスだ」と発言したことだった。米議会では、ブッシュ政権高官が国内の雇用減少を軽視するのは許せないとして、与党・共和党からも反発の声が相次いだ。

　３月４日には米上院が、海外移転した企業と政府機関との契約を制限する法案を可決。下院でも３日、共和党議員が中心となって、国内雇用を減らしている大企業の政府補助金などを制限する法案が提出された。

　こうした「感情的」（米政府筋）な動きに対し、アラン・グリーンスパン米連邦準備制度理事会（ＦＲＢ）議長は１１日の議会証言で、「自由貿易が米経済にとって最良なことは歴史が証明しており、新たな保護主義の台頭はむしろ雇用の喪失を招く」と警告した。しかし、選挙色が強まるにつれ、議論は一段と過熱する情勢だ。

　◆アジアへの移転、研究開発や顧客業務も◆

　【ニューヨーク＝北山文裕】米産業界では、低賃金のアジア諸国に業務を移転する動きが加速している。製造拠点に加え、研究開発のほか顧客対応業務など幅広い分野で海外に移転しているのが最近の特徴だ。

　情報技術（ＩＴ）関連では、オラクル、マイクロソフトなど代表的な米企業がソフトウエアの開発・デザインなどの機能をインドや中国に移している。特に、インド人はＩＴに強く、英語ができる利点がある。また、インターネットなど高速で安価な通信が普及していることも、業務の海外委託を容易にする背景もある。

　同時テロ後の業績低迷に苦しむ米航空業界でも、デルタ航空が顧客対応のコールセンターをインドに設立し、米オンライン旅行大手トラベロシティもコールセンター機能をインドに移す方針を決めた。

　複合企業ゼネラル・エレクトリック（ＧＥ）やクレジットカード大手アメリカン・エキスプレスは、情報処理や顧客対応業務を海外に移行させている。

　米カリフォルニア大バークレー校研究グループは、米国の雇用の約１割に当たる約１４００万人が業務の海外シフトなどで賃金削減や解雇などのリスクにさらされていると試算している。

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