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経済成長の基本は、生産性の上昇と新しい需要の創造である。レーガン革命以降の米国経済の成長は、製造業の効率化から生まれる余剰労働力をサービス部門で吸収し続けることによってもたらされた。問題は、この経済のサービス化の余地がなくなってきたことである。
今回の景気回復を前回91年と比較すると、経済の拡大のスピードが同じなのに、雇用はほとんど回復していない。生産性上昇の効果もあって、製造業雇用の落ち込みが大きいことは事実だが、より重要なのは、全体の80%近いサービス部門での雇用が伸びていないことである。耐久財や非耐久財といったモノの名目消費が90年以降の平均成長率を上回るほど堅調なのに対して、サービス消費の伸びは平均の6.3%を下回る4.2%と低迷している。
経済のサービス化という形での成長モデルが行き詰まってきているのだ。問題は、ポスト・サービス化経済のモデルを誰も描いていないことである。その結果としての最もわかり易い政治の対応は、製造業の再生である。ドル安政策が浮上してくるのは当然のことだが、その標的は人民元であって、円やユーロではない。
しかし、本来このような対応で雇用がつくり出されるはずはないから、保護貿易的傾向は強まっていく。同時に、グローバライゼーションの下で、先進国の技術と途上国の低賃金を組み合わせる、という多国籍企業モデルに対する反発もまた高まる。
結局のところ、サービスの次にくる需要が見つかるまでは、効率化を抑え、雇用を分かち合う、という形で経済は長期の低迷に入っていかざるを得ない。財政も金融も、経済の下支えはできても、根本的な問題を解決することはできない。当分、模索の時代が続くであろう。
http://www.nier.co.jp/kijikanri/news/news-00525.shtml