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【コラムニスト: William Pesek Jr.】
3月15日(ブルームバーグ):アジア3位の経済大国、インドが重要な節目を迎えている。その犠牲になっているのは同2位の中国。円借款の供与先として、インドが中国向けを抜いて首位になる見通しだからだ。
中国にとっては遠回しな褒め言葉ともいえる。日本から25年間にわたり多額の援助を受けた中国の経済は、これまでよりも少ない援助で安定を維持できると評価されたことになる。日本の円借款事業を卒業した韓国やシンガポールのように、中国は自立可能と認められたわけだ。
政治的な配慮も間違いなく要因の1つだ。日本政府が景気拡大を続ける中国に円借款を供与することに対する日本国内の批判は少なくない。総額20億ドル(約2215億円)の有人宇宙飛行計画など中国の高額な軍事、社会資本プロジェクトにも不満の声が上がっている。
2003年度の中国向け円借款は967億円と、前年度に比べ5分の1減少。首位のインド向け、2位のインドネシア向けに次ぐ3位となる。インド向けは同 90億円増の1200億円だ。
日本にも恩恵
インドにとっては非常に好都合なことだ。バンガロールやムンバイ(ボンベイ)、ニューデリーには、新たな事業機会を求める国際投資家や企業幹部が商用ビザ(査証)を手に続々と訪れている。
しかしながら、現地入りした彼らを待ち受けているのは、老朽化した空港、お粗末な道路、交通まひ、そして停電だ。上海や北京など活気に満ちあふれる中国の都市に比べ、インドの社会資本整備が遅れている様子を目の当たりにすることになる。
日本政府は、円借款を利他的な精神に基づくものと説明するが、日本経済がその恩恵を受けているのは明らかだ。例えば中国。円借款が始まった1979年当時、中国の対内融資に占める日本の融資は約20%に上った。こうした融資を支えに進んだ中国の近代化が、現在の日本の景気拡大に寄与している。
日本の大手自動車メーカーは、インド国内で大量の自動車を生産、販売している。インドの自動車市場に占めるホンダ、スズキ、トヨタ自動車のシェア(占有率)は計56%(2月末現在)。整備された道路網は消費者の自動車購入意欲をかき立てる。日本は道路整備に必要な多額の費用を負担することが可能だ。
社会資本整備
中国の成功に果たした日本の役割を誇張するつもりはない。しかし、円借款が中国の社会資本整備を支え、同国経済に多大な恩恵を与えたことは確かだろう。インドが円借款の最大の供与先になる今、投資家が同国の高成長経済に目を向ける理由はさらに増えたわけだ。
社会資本整備は投資の呼び水になる。中国政府が国際投資家を魅了するのに必要としたのは上海を見せることだけだ。この都市の活気や摩天楼を突き抜けてそびえ立つ近未来的な高層ビル群は外国人の多くを夢中にさせる。アジアの各都市が世界一の高層ビルの建設を競っているのも、そんな理由からであろう。
中国の国民1人当たりの国内総生産(GDP)は1000ドルで、日本に比べるとほんのわずか。インドは500ドルで、中国の半分だ。世銀の推定によると、インドでは4億人に上る国民の生活費が1日当たり1ドルを下回っている。インドはソフトウエアの分野で高い評価を受けているが、基本的な分野にも力を入れる必要がある。例えば道路の整備に。(ウィリアム・ペセック・ジュニア)
(ペセック氏は、ブルームバーグ・ニュースのコラムニストです。このコラムの内容は同氏自身の見解です)
原題:Japan's Checkbook Shifts From China to India: William Pesek Jr
更新日時 : 2004/03/15 13:38 JST
http://www.bloomberg.co.jp/news/commentary.html