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【ロンドン福本容子】英国の大手銀行が空前の利益を相次ぎ発表し、もうけすぎ批判と歓迎論が渦巻いている。消費者団体などが「弱者を食い物にしている」と批判する一方、「英経済が世界4位なのは金融業の利益のおかげ」(BBC電子版)といった擁護論も盛んだ。銀行の利益や高給がやり玉に挙がりやすいのは万国共通のようだが、業界のリストラや家計の借金増大が注目されている時だけに、不公平感が増しているようだ。
HSBC銀行が今月発表した03年決算は、税引き前利益が前年比33%増の128億ドル(約1兆4000億円)で、英銀行として史上最高を記録。前週、ロイヤル・スコットランド銀とバークレイズ銀がそれぞれ好業績を発表した後だっただけに、「銀行のもうけ」が関心を集めた。
役員らの高額報酬も批判の火に油を注いでいる。HSBCでは、ジョン・ボンド会長の03年の報酬が215万ポンド(約4億3000万円)。報酬額トップは、投資銀行部門責任者と見られる非役員で、会長をはるかにしのぐ1270万ポンド(約25億5000万円)だった。
「英主力銀行は昨年計170億ポンド(3兆4000億円)ももうけた。毎秒約500ポンドの計算」。銀行保険消費者協会(NABIC)のウェブサイトは、銀行の利益に臨場感を与えるため「あなたがこれを読んでいる今も……」と秒刻みで利益推計額が増える仕掛けを採用している。
フィナンシャル・タイムズ(FT)紙にも「高収益そのものに怒っているのではない。広告宣伝費は惜しまないくせに、利用者には不親切でミスが多く、手数料は高い。中小企業の将来など気にかけていないのが問題だ」という不満の投書が寄せられた。
一方、英銀行協会のブライアン・ケイポン氏(広報担当)は「銀行の利益の大半は個人客部門以外から来ている。国内で100万人以上を雇用し、国の法人税収の3分の1を支えている」と貢献を強調し反論する。
FT紙は「銀行の記録的利益は祝うべきだ」とした社説で「内外の競争にさらされ、新市場を求めて活動をグローバル化した結果」と分析しているが、市民は簡単に納得しそうにない。
[毎日新聞3月13日] ( 2004-03-13-22:17 )
http://www.mainichi.co.jp/news/flash/keizai/20040314k0000m020048001c.html