現在地 HOME > 掲示板 > 国家破産34 > 200.html ★阿修羅♪ |
|
Tweet |
【コラムニスト: John M. Berry 】 3月10日(ブルームバーグ):米連邦準備制度は来週開く連邦公開市場委員会(FOMC)で、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を据え置く見通しだ。また、早期利上げの可能性をちらつかせることもないだろう。
なぜかといえば、その理由がないからだ。景気は堅調に拡大しているものの、潜在成長率にはまだ遠い。この結果、雇用は伸び悩み、インフレ圧力は事実上存在しない。多くの投資家はこの現実を認識し、利上げ時期予想を先送りしている。
しかし、一部のアナリストやエコノミストは異を唱える。ある者は、公式の数字には表れないインフレ圧力が蓄積しているとみる。ある者は、雇用増が過小評価されていると論ずる。またある者は、低金利が再び、株式・債券・不動産市場に「バブル」を生み出していると危ぐする。
このような状況のなかで、米金融当局の動向を見守る「フェド・ウォッチャー」たちは、利上げは意外に早いのではないかと顧客に警告した。彼らは、複数の金融当局者による「低金利は永久には続かない」との最近の発言は、市場に心の準備をさせるための共同作戦だと指摘する。しかし、この考えは大いに的外れだ。実は、このところの「警告」は、利回りを追及するあまり保有債券の年限を長くし過ぎるのは危険というのと同様の一般論にすぎない。
エコノミストのなかで最も強く不安を表明しているのは米大手証券モルガン・スタンレーのチーフエコノミスト、スティーブン・ローチ氏だ。同氏は2月にグリーンスパン米連邦準備制度理事会(FRB)議長にあてた「公開書簡」で、「金融市場を幾分かでも正常に戻すために」FF金利の誘導目標を直ちに3%に引き上げることを求めた。同氏は「新たなバブルのリスク」を指摘する。
シミュレーション
米大手証券リーマン・ブラザーズのチーフエコノミスト、イーサン・S.ハリス氏は、ワシントン大学のモデルを使って2ポイントの即時利上げの影響をシミュレーションしてみた。その結果は、「成長率は2%に急低下、失業率は6%超えに向かい、インフレ率は再び低下し始め、2005年には消費者物価指数(CPI)コア指数が約0.5%になる。株価の調整が起こり、循環的回復による財政赤字削減の望みはゼロとなる」というひどいものだった。
起こるか起こらないか分からない災厄に備える治療法としては、副作用が大き過ぎる。ハリス氏は、仮に不動産や株式市場が「過熱」しているとしても、利上げが始まった後に、深刻な問題を引き起こすことなく調整するかもしれないと指摘した。同氏によると、このような調整は1994年にも起こった。当局は長期にわたって金利を据え置いた後で、1994年初めに利上げを開始した。世界の債券市場は打撃を受けたが、S&P500種株価指数の下落率は8%未満だった。
雇用者数とインフレ率についての懐疑論には正当性があるのだろうか。セントルイス連銀のウィリアム・プール総裁は先週、マーケット・ニュース・インターナショナルとのインタビューで、前回の「雇用なき回復」が起こった1990 年代の初めについて、米労働統計局(BLS)は後に雇用者数を上方修正したと述べ、今回も同じことが起こるのではないかとの考えを示した。
しかし、事業所を対象とした雇用者数の調査は10年前よりもはるかに洗練されており、実際の雇用者数をかなり正確に把握しているように思われる。大幅な改定は考えにくい。
インフレ?
商品価格の上昇がインフレの予兆だという議論も、90年代初めを振り返れば正しくないことが分かるだろう。当局が金利を据え置いていた1993年には多くの商品の価格が上昇し、上昇は1994年の利上げ開始後も続いた。しかしこれは消費者物価に反映されることはなく、1993年12月に3.2%だったコア・インフレ率は1994年末までには2.6%に低下した。
(ジョン・ベリー氏は、ブルームバーグ・ニュースのコラムニストです。このコラムの内容は同氏自身の見解です)
原題:Fed's Rate Policy Makes Some Economists Uneasy: John M. Berry(抜粋)
更新日時 : 2004/03/10 15:19 JST
http://www.bloomberg.co.jp/news/commentary.html