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3月5日 05年37号 ◆ 米国牛肉輸入問題 ◆ 不可解外交の三題噺
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◆ 米国牛肉輸入問題
◆ 不可解外交の三題噺
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◇◆ 米国牛肉輸入問題 ◆◇
ここにきて米国の政治圧力が加速している。この圧力は当初から想定されていたことだ。米国の無理な要求に毅然とした反論をすることなく国民を如何に納得させるかに奔走してきた結果だ。「外務省が期待を持たせるから、よけい圧力が強まる」(3月5日朝日新聞)のである。
そもそも安全性の証明は科学的、専門的な問題であるのに、対米配慮を最優先する小泉政府が、専門家に圧力をかけて安全性を示すアリバイを作ろうとしてきた。しかしいくらアリバイを作ろうとしても肝心の米国側が、まるで安全性を高める努力をしない、科学的な証明をしようとしない。いくら日本の専門家がぎりぎりの努力をしても限度があるのだ。それでも米国は政治的圧力を強める。ブッシュ大統領との良好な関係を自慢する小泉首相が追い込まれているのだ。
それにしても米国の対日要求は無茶苦茶だ。安全保障問題の協議のための2プラス2会議(外務・防衛大臣会議)で、ライス国務長官は牛肉輸入の早期再開をものすごい剣幕で迫ったという(3月5日日刊ゲンダイ)。離日を控えたベーカー前駐日大使は、会談のたびに「我々は米国の牛肉を食べている。特に問題はないんだ」と圧力をかけていたことを、とうとう細田官房長官は4日の記者会見で明らかにした(3月5日読売新聞)。
米国は安全性を示す努力をする気は全くないらしい。日本の言うことなど聞くつもりはない。細田官房長官が「こっちは全頭検査をしている。あなた方はできないのか」と切り返してもベーカー氏は「そこまでの考えはない」と答える(同読売新聞)。米国農務省が1月に日本側に提出した安全性を示す最終報告書の内容は余りにも日本を馬鹿にしている。年間3600万頭も食肉処理される牛のわずか256頭をサンプル検査して安全だといっているのだ。これは全体の0.0005%だ。日本政府はこの報告書をもとに「米国牛肉の安全性は見分けられる」と結論したという(3月4日号週刊フライデー)。
米国上院議員らは日本がこれ以上輸入再開を遅らせるのであれば対日制裁を発動するという動きをみせている。しかもその対象品目が、日本製のタイヤであるという。タイヤの年間輸入額約12億ドルが米国産牛肉の対日輸出額にほぼ匹敵するからだという(3月3日産経新聞)。あまりにもいい加減だ。
さらに驚くべきは、「BSEの発生が少ない場合に牛肉貿易を全面的に停止できないようにする」新たな国際ルールを米国は作ろうとしているらしい(3月5日東京新聞)。米国の都合のいいルールをつくってそれを国際ルールにする、これこそ米国が急速に世界を支配しようとするやり方である。
ここまで米国に無茶苦茶なことをされても日本政府はその米国に従おうとしている。島村農水相は2月25日の衆院予算委員会で「全頭検査は世界の非常識」と発言した。また武部幹事長は3月4日の記者会見で「常識を逸脱した消費者の対応も改めていかなければならない」と語った(3月5日朝日新聞)。町村外相は2月26日の講演会で「(日本の食品安全委員会が)3-4週間に1回しか会合を開かない。非常識だ」などと述べている(3月5日朝日新聞)。国民の生命の安全から目をそらし米国にだけ顔を向け続けるこれら政治家は即刻辞めさせるべきではないのか。
米国牛肉輸入に対する小泉政権の態度は、米国の「テロとの戦い」に軍事協力するために憲法までも変えようとする対応とまったく同じ構図だ。要求がどんなに不条理であっても、何があっても、国民がどうなろうとも、米国に逆らわない。4年間の小泉政権の対米追随外交はそこまであり地獄に落ちてしまったようだ。これからの日本は本当に大変だ。
◇◆ 不可解外交の三題噺 ◆◇
落語のことではない。最近の外交についてである。毎日のように報道されている普天間基地移転問題、北朝鮮に対する経済制裁問題、中国脅威論、この三つはいずれも現下の最大の外交問題である。ところがどう考えても不思議な外交がまかり通っているのだ。そして誰もそれについて素朴な疑問を投げかけない。おかしい。疑問をぶつけてみると答えられないのだ。
3月5日の読売新聞にローレンス米国防次官補の発言が引用されていた。「(普天間基地の辺野古沖への移転がなかなか進まないことについて)・・・適切な移転先の確保が必要だ」。2月23日に訪米した額賀元防衛長官との会談で発した言葉だという。これは明らかに米国が辺野古沖以外の選択肢も検討すべきだとの考えを持っていることを示している。3月5日の朝日新聞「各党は今」というコラムに驚くべき記事が出ていた。太田昌秀参議院議員(前沖縄県知事)はこう言っている。「私が辺野古への移転に反対したのは、米グアム島に広大な基地が空いていて、グアムの知事も下院議員も『歓迎したい。3500人までなら可能』と言っていたからだ。普天間には今海兵隊は2500人しかいないから、まるごと移しても余裕がある・・・」。米軍再編になれば海兵隊はほとんど不要になることは間違いない。それで日本政府は住民の反対を押し切って辺野古沖への建設準備を進める。もし将来辺野古沖から他の場所へ代替地が移ったらその経費は無駄になる。住民との争いは不必要だったということになる。なぜ政府は米国と話し合って新たな建設地を見つけようとしないのか。
それは新たな建設地を何処に求めても住民の反対に遭遇するからだ。すでに決まったところに無理をしてでも作ったほうが楽だからだ。イチから住民との戦いを始めるよりは辺野古住民という弱者に押し付けておこうということだ。なんという官僚的発想であろうか。米軍基地を段階的に縮小、撤退させていくよう米国に迫ることしか正しい外交はない。
改正油濁損害賠償法が3月1日に施行され、船主責任(PI)保険に加入していない船は日本に入港できなくなった。なぜこのような耳慣れない法律が連日新聞をにぎわしているのか。この法律で間接的に「北朝鮮制裁」効果を狙っているからだ(3月5日産経新聞)。こんな拙劣な外交はない。小泉首相は記者会見で「この法律は特定の国の船舶を対象にしているのではない」と、経済制裁ではないことを強調して見せる。しかし北朝鮮がこれを制裁行為と受け取るのは当たり前である。毅然とした経済制裁をいつまでたっても取れない一方で、世論に押されて中途半端な形で圧力をかけ、北朝鮮との関係をいたずらに悪化させる。こんなピントはずれの外交を繰り返していては拉致不明者を救出できるはずがない。
「日米同盟の課題は、対中共同対処だ」。中国を敵視するこんな馬鹿げた発言がカート・キャンベル元米国防次官補代理(現戦略国際問題研究所上級副所長)から語られている。3月5日の産経新聞でのインタビュー記事でのことだ。彼は言う、「私がアジアでもっとも懸念しているのは、中台関係でも、北朝鮮問題でもなく、日中関係だ。アジアのもっとも重要な二カ国から問題が発生することは容易に推察でき(る)・・・」。
まさにこのような米国の意図的な日中離反政策に基づき先の2月19日の2プラス2会議で「日米共通戦略目標」なるものを日本は飲まされてきたのだ。
こんな間違った外交はない。長い歴史的、文化的関係のある隣国中国、しかも過去に侵略という誤りを犯した中国との関係を、一日も早く良好、強固なものにすることこそわが国外交の最優先課題である。こんなことは誰が考えても当たり前なことである。それをよりによって日本を意のままに動かそうとしている米国に、妨害されている。それを知ってか知らずか、小泉外交は受け入れている。こんな戦略のない外交では、日本を滅ぼすと私は確信する。
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