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山羊のBSE発見について【農業情報研究所(WAPIC)】 ― 「感染していれば肉も感染性を持つと考ねばならない」
http://www.asyura2.com/0403/gm10/msg/445.html
投稿者 シジミ 日時 2004 年 11 月 01 日 21:15:40:eWn45SEFYZ1R.
 

(回答先: フランスで山羊のBSE確認、EUレベルの専門家委員会の評価へ【農業情報研究所(WAPIC)】 投稿者 シジミ 日時 2004 年 10 月 29 日 21:42:00)

http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/bse/news/04110101.htm

04.11.1

 先日、フランスでBSE類似の山羊の伝達性海綿状脳症(TSE)が発見され、EUの基準試験所の検討に付されたと伝えたが(フランスで山羊のBSE確認、EUレベルの専門家委員会の評価へ,04.10.29)、この問題について、フランス食品衛生安全庁(AFSSA)の28日の発表(http://www.afssa.fr/ftp/afssa/27100-27101.pdf)に基づき、もう少し詳しく述べておくことにする。もしも山羊や羊のBSEが現実にあり得ると確認されれば、消費者にとっても重大問題とならざるを得ないからである。

 これは、02年に屠畜された山羊に、研究の現段階ではその特徴がBSEの株と類似の病源体の存在を認めたというもので、フランスのTSE株区分け組織網がEUのサーベイランス・プログラムの枠内で発見した。疑わしい株のハツカネズミへの接種を含む分析に2年を要し、この疑いを確認するか、覆すことを可能にする補完的結果は、今から3ヵ月待たねばならないという。

 古くから存在する小反芻動物(羊と山羊)の海綿状脳症・スクレイピーと異なり、人間にとっての病源体でもあるBSE病源体の小反芻動物への伝達の問題は、牛にこの病気が出現して以来、ずっと提起されてきた問題である。この伝達の可能性は実験的には立証されたものの、BSE株が現実に広がっているという事実は、自然状態では決して確認されなかった。

 スクレイピーとBSEに関係するプリオン蛋白質の区別は困難という事情はあるが、AFSSAによれば、この3年来、生化学的検査が、高い確度で、発見されたTSEのケースの大部分が古典的なスクレイピー病源体によるものであるとみなすことを可能にした。しかし、他の株については、その特徴づけのための長い時間を要する補完的分析が必要であり、フランスにおけるこの補完的分析は、90年から03年の間に生化学面で認められた疑わしい株について、システィマチックに行われてきたという。

 BSEと確認されても、現段階のサーベイランスでは感染の頻度や原因は分からない

 AFSSAによると、この疑いの確認は、実験的条件では可能と分かっている山羊への牛の株の伝達が現場で起きたことを証明する意義があるが、これがどの程度の頻度で起きているのか、その出現の条件はどういうものか、群のなかのたった1頭だけが感染した理由は何かなどに関する追加情報を与えるものではない。

 03年、EUの小反芻動物サーベイランスの枠内で、フランスでは11,174頭の山羊が検査され、TSE陽性は3頭だった。山羊における発生率は 1,000頭につき0.27頭ということになる。TSE株区分け組織網の枠内では、90年から03年までに4頭の山羊の標本がハツカネズミに接種された。そのうちの孤立した一例だけが、BSE株と類似の特徴を示した。このことから、現段階では山羊のTSE発生率は非常に低く、同様に、その中のBSEとの類似性をもつ株の存在の頻度も非常に低いと考えられる。

 ただし、これらの結果はEUのサーベイランスの枠内で得られたもので、山羊群全体の代表的サンプリングから得られたものではない。こういう理由で、AFSSAは、これらのデータは非常に部分的な指標を与えるにすぎず、確実性をもって感染頻度を決定するために、そのまま拡張適用はできないと言う。

 たまたまこの1頭にBSE株が発見されたことは、a)飼料を通して牛類似の方法で山羊が病源体に曝された、b)山羊群中にBSE類似の株が存在する、という二つの仮説で説明できるかもしれないが、現段階ではどちらとも結論できないと言う。

 なお、羊についても同様な問題が提起されるが、現段階では、フランスでも、他のいかなる国でも、BSE類似株は発見されていない。サーベイランス・プログラムの結果では、山羊においてより高いとはいえ、TSE発生率は低い。03年のデータでは、1,000頭に約1頭で、18頭が株の補完的分析を受けたが、BSE類似の株はまったく発見されていない。

 食品安全への影響

 羊や山羊のBSEが現実に存在するとすれば、問題は牛の場合以上に複雑になる。とくに感染性(特定危険部位)は牛以上に広がっている。AFSSAは、今回の疑いが確認された場合、肉と乳にも影響は及ぶと言う。

 肉:科学的データによると、実験的に感染させた小反芻動物の組織には、BSE感染性物質が牛以上に広く広がっている。大量の感染性物質による実験的感染では、血液やリンパ組織にも感染性の証拠が出ており、感染していれば、肉も感染性をもつ(とくに血液やリンパ節を通して)考えねばならない。消費者保護のためには、感染していないことが証明できない動物は食物連鎖から排除するのが適切だと言う。

 山羊については、各枝肉の検査が最も確実な安全確保措置となる。中期的には、このような検査を回避するための群の認証が考えられるが、そのためには、個体が識別・追跡できばければならず、またTSEのリスク・レベルに関係する群の特徴についての十分なデータが必要になる。これらの措置については、リスク・レベルの視点から、AFSSA専門家により評価されねばならないと言う。

 乳:現在までのところ、乳の感染性は証明されていない。しかし、血液中の感染性存在は、それが乳に移行する可能性を与える。牛乳の場合のように、感染動物の乳が感染性を持つ可能性を排除することはできない。AFSSAの02年2月18日の意見で、様々な組織の感染性に関する多くの仮説から、乳の感染性のリスクの理論的評価を行ったと言う。それ以来、多くの試験所で実験が行なわれており、このリスクの現実的評価に取り掛かれるように、利用可能な結果のすべてを専門家に提出するという。

 なお、結果が未確定な「この段階で何故結果を伝えるのか」という末尾の一節からは、結果が確認された場合に起こり得る保健・衛生当局や消費者の混乱を回避するのがこの発表の意図であることが伺われる。

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