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Sasayama's Weblog http://www.sasayama.or.jp/wordpress/index.php?p=58 より転載
サイトhttp://www.fsc.go.jp/senmon/prion/p-dai13/160806_dai13kai_prion_gijiroku.pdf は、8月6日に行われた食品安全委員会プリオン専門調査会の議事録なのだが、ここでは、8月4日に開かれたリスクコミュニケーションの報告もされている。
ところでびっくりしたのだが、このたたき台での日本のvCJD試算の基礎となっている『最も悲観的な数字5.000人』の基礎となる論文を、専門委員の方は、完全に読んでいない気配なのだ。
以下の部分が、その問題発言部分だ。
金子専門委員
「スミスさんは、OTMですね、30か月齢以上の牛を食べないのをやめた場合の最も悲観的な予測として5,000人と。つまり、管理措置を変えた場合、SRM除去というか、食べないのを変えた場合の最大数が5,000になるだろうと。では、それを変える前の値がこれ、読みようによっては数百から数千で、変えて5,000というふうに読めるんですね。(中略) 原文を見ていないのでわからないんですけれども」
吉川座長
「 これは、スミスさんの一番最後のスライドにありました。何か月生まれからOTMを解除したらどうなる、何年生まれからやったらどうなるといって、最大のが5,000というスライドがあったと思うんです。記憶に残っている気がします。」
村上評価課長
「もともとOTMの推計をする際に、ピーター・スミスさんがいろんな試算をしておりまして、その試算の総括がピーター・スミスさんの論文では、several thousandsという数字しか本文中には出てこないんですね。ただ、こういう試算をすると、最大何人になるというのは、表になって出ておりまして、そちらの方を見ると、万の単位になっているような試算もあるということで、ただ、論文の中の散文的に書かれてある部分の結論のところでは、several thousandsとしか書いていないということです。それで、最終的患者累計の5,000人は、ただいま座長がおっしゃいましたように、30か月以上の牛を食用に供するように、だから管理措置を変更した場合のベースになる、今後のvCJD患者数の推計の数字として、最も悲観的な数字を5,000と仮定して、その上でいろいろな管理措置の変更をした場合のリスクの増分といいますか、どれだけ増えるのかと、あるいはどういう措置をすると、それがどれだけ減るかということを解析しているということでございます。」
このやり取りを見る限り、品川委員も吉川座長も、以下に掲げる原文は読まれていないようだ。
唯一、事務方の村上評価課長のみが、目を通している気配だ。
ただし、村上評価課長が言われているような「few thousands」という表現ではなく、「several thousands」という表現であり、ここの部分を正確に訳すと、次のとおりとなる。
「われわれのモデルは、次のことを示唆している。すなわち、MM型vCJDの一次感染数は、数千は超えそうもないが、これまで発生したvCJDの一時感染数については、かなり大きな不確実性がある。数百人かそれ以上の人々が感染していたかどうかということは、公衆衛生上、とくに二次感染の危険性にとって、重要なことである。もし、二次感染が起こっていたとすれば、その潜伏期間は、一次感染の場合よりも、ずっと短いものであるだろう。無発症の感染を検査しうるテストがない場合には、何年にもわたって、何人感染しているかどうか分からない状態が続くことになる。」
こうして、原文に当たってみると、唯一原文に目を通しているらしき村上評価課長にしても、いかにも原文のいいとこ取りをして「最も悲観的な5.000人」の数字を、たたき台の試算の前提に使っていることが、よく分かる。
後のかたは、スミスさんが今年の3月3日に来日し、専門調査会で講演したときのスライド(吉川座長が言っているのは、このスライドの9ページの表を指しているのだろう。この表で、潜伏期間100.3年として、vCJD発生数は、107人から5.000人との試算である。なお、このスライドの表の前提は、危険性が高い特定の牛のくず肉(SBO)の食品への使用禁止措置が、90パーセント有効であることを前提としたもので、以下の論文の前提−80パーセント有効−とは、異なっている。この辺の前提の違いは、たたき台の試算には、書かれていない。)しか見ていないという気配だ。
ちなみに、この5.000人という試算は、vCJDの潜伏期間をいろいろ変えて試算してみて、潜伏期間100年の時の数値が、人間の寿命が尽きる数字なので、その意味で、『もっとも悲観的な試算数値』といっているのである。
こんないい加減な検証で、日本のvCJDの試算をするなんて、ちょっと乱暴すぎるのではありませんか?
日本の食品安全委員会の先生方。
なお、ここで言われている『ピーター・スミス氏の論文』というのは、ピータースミスだけでなく、ヒュイラード、コーセンス両氏も加わった三氏による共同研究である。
おそらく、専門委員の方が、ピーター・スミスだけの試算のように言われるのは、原文に当たっておられないからなのではないのだろうか。
参考 『英国におけるもっとも悲観的なvCJD発生計数の根拠となった論文の原文」
Predictability of the UK Variant Creutzfeldt-Jakob Disease Epidemic
Jerome N. Huillard dÕAignaux,* Simon N. Cousens, Peter G. Smith
http://www.dife.de/~mristow/vCJD_UK_epidemic.pdf