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http://www.mainichi-msn.co.jp/kagaku/science/news/20040731k0000m070175000c.html
遺伝子組み換え作物が国内の一般農地で栽培されるようになって3年。試験場内も含め、国内での栽培はいずれも試験段階だが、消費者の不安感は強く、今年になって幾つかの自治体が栽培規制に乗り出した。
組み換え作物は国の安全審査を経て、94年、葉がしま状に枯れる病気に強い組み換え稲の栽培が初めて認められた。以後、徐々に増え、現在では除草剤に強い大豆、害虫に強いトウモロコシ、家畜飼料に向くアミノ酸の多い稲など、52品種の栽培を国は認めている。
栽培の場所は(1)試験場内の閉鎖系温室(2)試験場内で網やフェンスのある隔離ほ場(3)試験場内でも網のない一般ほ場(4)試験場外の一般農地、に分かれる。
当初は試験場内だけで栽培されていたが、01年に転機を迎えた。生産者グループ「バイオ作物懇話会」(長友勝利代表)が、北海道や茨城県などの一般農地で除草剤に強い組み換え大豆を栽培し始めた。反対グループは「組み換え作物の花粉が飛んで他の植物と交雑する」などの理由で自治体に栽培中止を働きかけた。昨年は、茨城県で反対派が勝手に組み換え大豆を引き抜く事件まで起きた。
反対派の勢いに押され、組み換え稲を研究していた愛知県は02年12月、「反対が強すぎる」と開発を断念。昨年11月には岩手県が低温に強い組み換え稲の研究を当初の2年から1年で終わらせた。今年5月には全国農業協同組合連合会がスギ花粉症に効く組み換え稲の栽培を中止した。バイオ作物懇話会も同月、ついに栽培を断念した。
実際に栽培された場合の風評被害を恐れた自治体も、次々と規制に乗り出した。
岩手県はこのほど野外栽培の中止を要請できるガイドライン骨子をまとめた。「消費者が受け入れる状況ではない」(県農業普及技術課)が主な理由だ。
北海道は条例で試験場内の隔離ほ場での栽培も規制する構えだ。滋賀県は商業目的の野外栽培に限って自粛要請する案を検討中だ。
こうした規制を農水省は静観している。
ただ専門家の危機意識は強く、奈良先端科学技術大学院大学の小泉望助教授は「国が安全と認めている中で、消費者の不安を取り除くのが自治体の使命なのに、規制は逆に不安を増大させている」と憂慮する。
現在、国内で組み換え作物の試験栽培を行っているのは、農業生物資源研究所(茨城県つくば市)など4機関と3社だ。いずれも試験場内だ。
一般ほ場でアミノ酸の多い組み換え稲を栽培している作物研究所(つくば市)の黒田秧(しげる)所長は「栄養価の高い稲なら家畜の飼料になる」と常に情報を公開しながら研究を進めているが、状況は厳しい。
今年6月には、組み換えセイヨウナタネの種が茨城県鹿島港の周辺でこぼれ落ちて生育していることが分かった。農水省技術安全課は「こぼれ落ちて生育するのは予想の範囲内。従来の植物を駆逐することはない」と冷静だが、市民団体「遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン」(東京都新宿区)は「全国でこぼれ落ちを監視する」と、いまのところ反対派の優位が続く。
既に米国では大豆の約9割、トウモロコシの約4割が組み換え作物だ。最近は中国も参入した。日本でも輸入飼料を中心に組み換え作物への依存度は高いが、それが後退するのか、さらに前進するか、転換点にさしかかっている。
■国内で試験栽培している主な遺伝子組み換え作物■
▽糖度が高く大きいジャガイモ
▽倒れにくい稲
▽高トリプトファン含有稲
▽除草剤に強い大豆
▽除草剤に強いトウモロコシ
▽害虫に強いトウモロコシ
▽除草剤に強い綿
毎日新聞 2004年7月31日 0時38分