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http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/bse/news/04033001.htm
3月28日付のSacrament Bee紙が、飼料企業・関連会社の年々のチェックを要求する規則にもかかわらず、昨年チェックを受けたカリフォルニアの企業は半数ほどで、米国全体ではもっと少ないと報じている。今年初め、食品医薬局(FDA)は、昨年検査した飼料関連企業の99.9%が97年8月に制定された反芻動物飼料への反芻動物肉骨粉使用の禁止の規制を守っている、違反企業は5社だけだったと議会で報告した。それは、米国政府が米国にBSEはありそうもないし、あったとしてごく少数だと主張する根拠の一つをなしてきた。だが、FDAは飼料検査はしておらず、チェックも企業自身が作った報告書の書類審査だけで、この主張は信頼できるものではなかった。しかも、検査される企業が関連企業の半分ほどしかカバーしていないのでは、この主張には何の意味もなくなる。
同紙によれば、FDAの統計は、飼料を製造・輸送・使用する955のカリフォルニア企業のうち、02年末以来検査を受けたのは423(44%)だけだった。米国全体では、13,798の企業のうち、7,725(56%)が検査されていない。
FDAは、財源の制約のために、反芻動物廃物を扱うレンダリング工場やこれを飼料に配合する企業を最優先に書類審査してきたことを認めている。昨年は、これらの最優先企業について6,400の検査を行ったという。最優先企業のすべてが検査されているわけでもない。カリフォルニアでは、02年末以来、最優先企業に分類される199社中の19社(14%)が検査されていない。米国全体では2,252社中の433社(19%)が検査されていない。
議会検査院(GAO)は2000年の調査に基づき、レンダリング工場と飼料工場の20%が反芻動物飼料規制を知らなかったと報告している。28%の企業は飼料が反芻動物廃物で作られた飼料にそのむね表示していなかったし、6%の企業は販売先の名称と住所を記録していなかった。このときFDAは改善を約束したが、GAOの半年後の調査は、2−3年間検査を受けてこなかったいくつかの違反企業を発見、複数の違反を犯している企業に何の取締りもなされていないケースがあることを明らかにした。FDAはそれは過去のことと弁明したが、GAOは今月初めに再び調査すると発表、その報告は今年末に出る。
FDAの検査のズサンさは明らかで、GAOの調査を信頼するとすれば、97年8月以後も、反芻動物肉骨粉飼料が牛の飼料に使われていた可能性は極めて大きい。
先週、カナダ政府は、英国からの輸入牛にBSEが発見された際(93年)に、80年から89年にかけて英国から輸入された192頭の牛の処分を試みたが、68頭は既に屠殺されて、カナダの2工場で飼料に加工されていたために、追跡不能だったことを明らかにした。カナダ産牛に発見されたBSEは(米国で発見されたものも含め)、多分、これらの牛の肉骨粉が原因だろうと推定している。
EUのリスク評価も指摘していたことだが、英国産感染牛を起点として、カナダのBSEは、既に国内で再生産されていた可能性も否定できない。米国とカナダの飼料市場の一体性を考えれば、これは米国でも同様だ。飼料規制は97年8月以前は存在せず、それ以後の飼料規制の執行もこのようにズサンであったとすれば、米国にBSEが拡散している可能性は非常に高い。その上、飼料工場のラインは畜種ごとに専用化されておらす、決定的洗浄方法もないのだから、さらに反芻動物肉骨粉を使用した養鶏飼料は合法であり、これを含む養鶏場廃棄物が牛の飼料に配合されてきたのだから、「交差汚染」の可能性も高い。
飼料規制は99.9%遵守されているというFDAの主張が何の根拠もないことがはっきりした今、米国政府のBSEは存在しないか極めて少数だ、従って米国牛肉は安全だという主張は、根底から揺らぐ。
FDAは、現在、反芻動物製品の加工に使用される施設の他の用途での使用の禁止を考えている。また、すべてのレンダリング工場と飼料工場の検査を含む検査の強化も考えている。だが、BSE根絶には、肉骨粉全面禁止とその有効な執行以外にないことは、,ヨーロッパで経験済みだ。にもかかわらず、牛飼料への牛廃物の利用の禁止さえ、レンダリング工場の存亡にかかわると、産業は政府の「過剰規制」を批判する。BSE防止策が根本的に改められる日はきそうもない。
農業情報研究所(WAPIC)