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2004年3月7日(日)
悲劇的な臨界被ばく事故から、四年半になろうとしている。
一九九九年九月三十日、茨城県東海村の核燃料加工会社ジェー・シー・オー(JCO)東海事業所で、高濃縮ウランの精製作業中に臨界被ばく事故が起きた。
本来は機械化、自動化されるべき作業だろう。だが、この事業所では驚くべきことに、三人の作業員がステンレス製のバケツを使い、粉末のウラン酸化物を硝酸で溶かした溶液を手作業で沈殿槽に入れていたのだ。
沈殿槽のウラン投入量は二・四キロが限度なのに、誤って約十六キロも投入したため、ウランの核分裂が連鎖的に起こる臨界に達した。
日本で初めての臨界被ばく事故となり、日本の原子力開発史上例がない最悪の惨事となった。
作業員二人が急性放射線障害で死亡、同社社員や付近住民ら六百六十三人が被ばくした。
事故のあった沈殿槽を中心に半径三百五十メートル以内に避難勧告、同十キロ以内の住民約三十一万人に屋内待避要請が出た。
健康障害や「野菜が売れない」など風評被害の補償問題、事故の刑事責任を問う裁判も続いた。
前代未聞の臨界被ばく事故の教訓は、その後の原子力政策に生かされているのか。
事故当時指摘されたのは、防災対策の欠如や安全規制の不備。重傷の被ばく者を治療する医療体制の未整備など問題は多かった。
事故後、原子力災害対策特別措置法が制定された。原子力防災専門官や原子力保安検査官を新設、事故時の対処拠点となる緊急事態応急対策拠点施設(オフサイトセンター)の設置も決まった。
原子力に対する国民の不信感は根強い。プルトニウム・ウラン混合酸化物燃料のデータねつ造、東京電力の原発十三基の自主点検記録改ざん、浜岡原発の事故隠し−など業界の閉鎖体質が目に付く。
原子力災害対策特別措置法が実際に機能するのか、安全対策は万全なのか今も疑問が残る。
最近気になるのは、放射線被ばくが航空機の乗務員や医療の現場で問題になっていることだ。
地球で暮らしていると誰でも年間二・四ミリシーベルト程度の自然放射線を浴びている。空気中のラドンや宇宙線、大地の放射線、食物などからである。
ところが、独立行政法人の放射線医学総合研究所(放医研)の調べによると、高度一万メートルを超える上空を飛行する成田−ニューヨーク間往復時の被ばく量は〇・〇八−〇・一二ミリシーベルトという。
年間十回往復すると、およそ一ミリシーベルトに達する。パイロット、客室乗務員など国際線搭乗員が浴びる放射線はかなりの量になると考えられる。
また、英国のオックスフォード大学は、世界十五カ国を対象に放射線診断に伴う発がんのリスクを調査した。
その結果、日本の数値は英国の五倍で、調査対象国の中で突出して高く、日本のがんの3.2%は放射線診断による被ばくが原因、と指摘した。
背景に日本の医療現場に広く普及しているコンピューター断層撮影(CT)装置がある。通常の胸部エックス線検査の数百倍の被ばく量になるとされる。欧米では大病院にCTはあるが、日本では診療所・医院にも普及し保有台数は約八千と世界一だ。
人為的な照射量計算ミスとはいえ、昨年秋に発覚した国立弘前病院での十一年間に及んだ放射線過剰照射問題も看過できない。
対象患者は二百七十七人に及ぶ。医療機関は二度と同じミスを繰り返してはならない。
国際線航空機搭乗員の被ばく調査や、安全の指針づくりが問われる。また、病気の診断の際、CT使用にも慎重さが求められる。
http://www.toonippo.co.jp/shasetsu/sha2004/sha20040307.html