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'04/3/7
核燃料サイクル開発機構(核燃)が鳥取県東郷町方面(かたも)地区に放置したウラン残土をめぐり、地元自治会が核燃に残土の撤去を求めた訴訟の控訴審判決が先月二十七日、広島高裁松江支部であった。広田聡裁判長は一審判決を支持し、核燃側の控訴を棄却した。その判断は、住民側の主張を、一審よりもさらに踏み込んで認めた内容になっている。残土の存在が明るみに出て十五年余り。核燃は、住民と約束した残土撤去をためらうべきではない。
裁判の争点は、関係自治体の合意が残土撤去の条件となるかどうかだった。判決は、方面地区自治会と核燃との間で結ばれた残土撤去協定の「撤去は関係自治体の協力を得て着手する」という表現について、関係自治体の協力がない限り撤去義務は発生しないと考えるべきではない、との判断を明確に示した。方面地区に残されたウラン残土は約三千立方メートル。発生源者である岡山県上斎原村の核燃人形峠環境技術センターに運び込むことに岡山県が同意することは過去の経緯から難しいと指摘。そのうえで「核燃の残土撤去義務の履行時期はすでに到来している」と認めたのである。
鳥取県と岡山県にまたがる人形峠一帯でウラン残土の存在が明るみに出たのは一九八八年だった。地元自治会と核燃の前身である動力炉・核燃料開発事業団(動燃)との間で残土撤去の協定が結ばれたのが九〇年である。しかし、事態はいっこうに動かなかった。
その壁は、岡山県の姿勢にあった。当時の長野士郎知事は議会で「鳥取県が危険な放射性物質とみているものを岡山県が受け入れるわけにはいかない」と繰り返し答弁し、持ち込みを拒否した。この立場は、現在の石井正弘知事にも引き継がれている。
ここにはボタンのかけ違いがある。岡山県議会の議事録を読むと、質問議員の狙いは使用済み核燃料やそれを再処理した廃液など高レベル放射性廃棄物の処分施設を県内につくらせないことにあった。県外からの残土持ち込みを許すと、将来の高レベル廃棄物の搬入に道をつける、との不安があったからだ。ウラン残土は自然の山から掘り出したもので、高レベルの放射性物質ではない。事実、岡山県側で見つかったウラン残土は上斎原村の動燃事業所に持ち込まれて処理されている。
判決について、鳥取県の片山善博知事は「核燃にとっても、いい判決だ。岡山県の同意がなくても残土を運び込めばいいとのお墨付きをもらったのだから」と語る。一方の岡山県は「考えに変わりはない」としているが、地元の上斎原村は「残土の持ち込みに住民の強い反対があるわけではなく、話し合う気持ちがないわけではない」との立場だ。十三年前、残土撤去を住民に約束した核燃は、今が決断の時だ。
http://www.chugoku-np.co.jp/Syasetu/Sh04030702.html