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中国発デフレ論とインフレ論の論点整理―区別すべき日本の産出価格と投入価格への影響― [中国経済新論]
http://www.asyura2.com/0403/dispute18/msg/841.html
投稿者 あっしら 日時 2004 年 7 月 23 日 23:10:41:Mo7ApAlflbQ6s
 

(回答先: 「産業資本主義」の終焉:日本が「世界同時デフレ不況」をかろうじて押しとどめている:対米金融35兆円の意味 投稿者 あっしら 日時 2004 年 7 月 22 日 16:39:11)


表 中国発デフレ論とインフレ論:四つのケース

ついこの間まで、中国発デフレは日本経済の不振の元凶と見なされていた。中国発デフレが困ることであるのならば、中国発インフレは歓迎されるべきだが、中国経済の旺盛な需要を背景に、一次産品の市況が高騰するようになり、中国発インフレも日本経済の回復の足を引っ張っていると懸念されている。この矛盾を解くためには、単なる物価の絶対水準の変動だけではなく、産出の投入に対する相対価格の動向にも注目する必要がある(表)。原材料や中間財という投入の一部を海外から調達し、産出の一部を輸出する日本企業にとって、投入価格は輸入価格、産出価格は輸出価格にそれぞれ比例して動くため、中国をはじめとする海外要因は主に交易条件(輸出の輸入に対する相対価格)の変化を通じて、日本経済に影響を及ぼすのである。

日本の輸出価格が輸入価格に対して上昇すれば、日本の交易条件は改善する。日本企業にとって、これは産出価格が投入価格に比べて上昇することを意味し、それに伴う利潤の増大は生産規模の拡大をもたらす。これは日本の輸出価格が輸入価格以上に上昇する(輸入価格が一定の場合に、輸出価格が上昇する)という「良いインフレ」の場合と、日本の輸入価格が輸出物価より低下する(輸出価格が一定の場合、輸入価格が低下する)という「良いデフレ」が考えられる。具体例を挙げるなら、海運や建設機械業界に活気をもたらした「中国特需」は中国発「良いインフレ」だと言える。一方、ユニクロをはじめとする、アウトソーシングという形で中国の安い労働力を活かしている日本企業は中国発「良いデフレ」を享受していると言えよう。

逆に、日本の輸入価格が輸出価格に対して上昇すれば、日本の交易条件は悪化する。日本企業にとって、これは投入価格が産出価格に比べて上昇することを意味し、それに伴う利潤の低下は生産規模を縮小させる。これは日本の輸入価格が輸出価格以上に上昇する(輸出価格が一定の場合に、輸入価格が上昇する)という「悪いインフレ」の場合と、日本の輸出価格が輸入価格より低下する(輸入価格が一定の場合に、輸出価格が低下する)という「悪いデフレ」の場合が考えられる。例えば、中国の強い需要によって世界市場において鉄鉱石をはじめとする一部の一次産品価格が高騰し、その結果、日本の輸入価格が上昇、ひいては交易条件が悪化することは「悪いインフレ」に当たる。一方、中国の製品が生産性の上昇などにより安くなれば、中国と競合する一部の日本企業はそれに合わせて産出価格を下げると同時に、生産規模も縮小しなければならない。このような「悪いデフレ」は一時猛威を振るっていた中国脅威論の根拠にもなっていた。

中国発デフレを解消するために、日本は中国に対して人民元の切り上げを求めている。確かに、人民元が強くなれば、中国製品の価格が上昇し、中国と競争する日本企業は助かるだろう。しかし、その一方で良い中国発デフレを享受してきた企業にとって、これはまさにコストの上昇と生産規模の縮小を招く「悪いインフレ」である。日中両国の産業構造が競合的というより補完的であることを考えると、日本経済全体にとって、中国発デフレは「良いデフレ」に、人民元によるインフレは「悪いインフレ」に当たることになる。

(関連記事:2004年2月16日 「実事求是」欄掲載 「中国発デフレとインフレの同時進行」:http://www.rieti.go.jp/users/china-tr/jp/ssqs/040216ssqs.htm


2004年7月21日掲載
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★ 関志雄氏の誤解

「確かに、人民元が強くなれば、中国製品の価格が上昇し、中国と競争する日本企業は助かるだろう。しかし、その一方で良い中国発デフレを享受してきた企業にとって、これはまさにコストの上昇と生産規模の縮小を招く「悪いインフレ」である。」


人民元が切り上がったからといって輸出価格が上昇する中国製品は、労働集約型や原材料から機械設備までを中国産に依存しているものに限られ、電子機器などモダンな製品は逆に値下がりするはずである。

財のコストに占める輸入財の割合が高いほど、人民元が強くなるとコスト削減につながる。
(日本製の製造装置を使い、日本など外国製部品が70%・中国製部品が30%を仕入れて中国人労働者が組み立てるという製品であれば、人民元が高くなったほうがコスト削減になり輸出価格も下げられる。最先端製品に占める組み立て労賃の比率は10%未満と低い)

機械装置から原材料・部品まで中国産を使っている製品であれば、人民元高はそのまま輸出価格の上昇につながる。
また、輸入財を一部使っていても製品に占める人件費の割合が高いものは、人民元高のより輸出価格が上昇する。

ユニクロ的衣料品は、どこまで原材料中国依存でどれほど労働集約型かはわからないが、「悪いインフレ」になるとは言い切れないものだろう。

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