現在地 HOME > 掲示板 > 議論18 > 792.html ★阿修羅♪ |
|
Tweet |
「財政危機」が叫ばれるなか、「自助努力」や「地方分権」が声高に主張されている。
「自助努力」の中身は、消費税率引き上げ・健康保険適用治療費の“3割負担”・年金保険料の持続的な負担増と給付減などであり、予定されている消費税を主たるターゲットにした増税や社会保険のさらなる負担増である。
「地方分権」の中身は、地方自治の強化を建前とした、地方自治体を犠牲にした政府部門の“見掛けだけ”の財政改革である。
■ 「地方分権」や「三位一体財政改革」の狙い
04年度(平成16年度)予算の特長は、政府部門と地方自治体部門の歳入歳出調整とりわけ地方格差是正手法である地方交付税を一気に9千億円も減らしたことである。
「三位一体改革」とネーミングされたこの措置は、政府部門から地方自治体部門への財源移譲である程度補填されているが、地方自治体部門の歳入を実質的に3000億円ほど減少させた。
宮古島の平良市がこの措置への抗議の意思表示として法的に認められていない「赤字予算」(6億7000万円の赤字)を組んだり、収入減少に対応して自治体が8100億円もの預貯金取り崩し(前年比67%増)を迫られるという自体に陥っている。
「地方分権」の名のもとに進められている財政変更の狙いは、地方自治にしわ寄せしながらの「プライマリー・バランス」の達成である。
13年度をめどに回復させるとしている「プライマリー・バランス」は、国債費を除く歳入(税収)と歳出の均衡であり、政府の借り入れを債務履行目的の範囲内にとどめるというものである。
04年度予算は、国債費が17兆5千億円で、歳入(税収)が41兆7千億円・歳出(除く国債費)が64兆3千億円となっている。
歳出のなかには16兆5千億円の地方交付税が含まれている。この地方交付税を差し引くと、一般歳出は47兆6千億円となる。
算数の話ではないので、16兆5千億円の地方交付税をなくせば「プライマリー・バランス」に大きく近づくというものではないが、腐り切った財務省官僚が、10年近い年月をかけて、なんとか軟着陸させるかたちで地方交付税をなくせば「プライマリー・バランス」を回復できると願望していることは間違いない。
税収42兆で一般歳出47兆円であれば、税収を2兆円増やし一般歳出を3兆円減らせば、「プライマリー・バランス」は回復することになる。
まずは、そのような態勢に持っていこうというのが、今回の「三位一体財政改革」である。
もちろん、カスで無能の財務省官僚であっても、16兆円5千億円の地方交付税を一気になくせば地方を中心に国民生活が壊滅的になることはわかっているから、消費税増税と社会保険負担増で地方自治体の収入増と支出減をはかりながら徐々に地方交付税をなくしていくという算段をしている。今回は、その算段を現実化するための入り口をくぐったのである。
しかし、これも例によって財務省官僚の浅知恵でしかない。
なぜなら、国民経済を「デフレ不況」から脱却させることなく、国民負担の増加で政府部門と地方自治体部門の財政問題を解決しようという極めて虫のいい話だからである。
そうでありながらも、“好意的”に解釈すると、政府部門(財務省)は責任回避できる巧妙な政策とは言える。
なぜなら、国民負担増加のおかげで、政府部門は約束通り13年度に「プライマリー・バランス」を回復できる可能性は高いからである。
しかし、カスたちが胸を張るであろう「プライマリー・バランス」回復を支える現実は、国民経済のさらなる落ち込みとそれで生じる国民生活の疲弊と困窮である。
腐り切ったカスの財務省官僚はそのような現実を前にしてこう言うだろう。
「地方には財源も移譲したし、権限も委譲した。それでも地方自治をうまく運営できないのは、首長や議会の責任である。国はちゃんと「プライマリー・バランス」を回復しているではないか」と..
今後10年の推移を概括するなら、国民負担増加分の配分は政府部門と地方自治体部門にほぼ“均等”に配分され、国民経済の落ち込みのしわ寄せは地方自治体部門に厚く配分されるというものである。
端的には、財務省官僚のシナリオが進めば、地方自治体の独自収入は地方交付税の減額にほぼ見合うかたちで増えるが、そのために生じる国民生活の困窮を目の当たりにした地方自治体はなす術を失うことになる。
そして、なす術を失った地方自治体に対し、政府は「財源も権限も移譲した。地方自治の精神に乗っ取り、支出削減が無理なら自主的課税による収入増で打開しなさい」と言うはずである。
税収や財政と国民経済の関係は別途の書き込みで説明するつもりだが、政府部門にしろ地方自治体部門にしろ、増税は一般的に国民経済の需要総額を減少させるものである。
とりわけそれが消費税や住民課税という“庶民課税”で行われれば、増税がまるまる需要の減少となる。
需要の減少は、必然的に供給活動の減少につながり、それがさらなる需要の減少をもたらす“悪循環”に陥る。
政府(財務省)のシナリオは、この“悪循環”を半分くらいは承知の上(半分くらいはそうこうしているうちに景気が回復するかもという願望の上)で推し進められようとしているものである。
おいおいフザケルな!である。
バブル形成も、バブル崩壊後の政府債務積み上げも「長期デフレ不況」も、根源的には政府の責任である。
地方自治体の財政問題も、バブル崩壊後の不況をなんとか下支えしようとした政府に付き合わされたツケが占める割合が大きいのである。
世界最強の産業国家の政府でありながら、300兆円もの赤字財政支出を続けてなんとかしのぐだけで、抜本的な不況脱却策を採らなかったことが現在の日本の姿を生んだのである。
国家支配層が敗戦の責任を取らなかったように、政府は、戦後日本最大の災厄である「平成バブル崩壊」の責任を取らないまま、そのツケを国民に押し付けると同時に日本を瓦解させようとしているのである。
そして、国民の多くも、日々の生活に追いまくられているとは言え、国民へのツケ回しは仕方がないことだと受け容れ、それがなんら問題の解決にならないどころか、さらなる苦境に我が身を送ることだということさえ理解しようとしていない。
欧州諸国や米国なら問題を解決できないが、世界最強の産業国家である日本は、痛みに耐えることなく問題を解決できるのである。
それどころか、痛みに耐えなければならない政策は、さらなる痛みを招くだけの愚策なのである。
関連として、「所得税の“二重納付”問題」を後刻アップしたいと考えている。
★ 参照書き込み
「「産業資本主義」の終焉:インフレーションと経済成長(デフレーションと不況):インフレは産業への“賛助”である。」
http://www.asyura2.com/0403/dispute18/msg/786.html