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岩波ブックレット458
規制緩和 何をもたらすか(内橋克人,ジェーン・ケルシー,大脇雅子,中野麻美 著,1998年)より
すり替えられた規制緩和 内橋克人
規制緩和に反対すると非国民扱い
私は、ジャーナリスト生活を始めて四〇年になります。その間に、一九六〇年代半ばの資本・貿易自由化もありましたし、一九七三年秋に始まったオイルショックもありました。また、それにつづく第一次の円高が、日本経済を直撃するなど、さまざまな困難に見舞われる日本を見てまいりました。しかし、その都度、多くの人々が汗と知恵をふりしぼって、何とか、危機を乗り切ることができたと思います。
ところが、九〇年代を迎え、バブル経済が崩壊致しましてから、私たちの社会はきわめて深刻な不祝に突入しました。この不況は、一般にいわれる資本主義経済に特有の、循環型不況とは趣を異にしているということです。危機の真因は、きわめて構造的なものであり、過去、日本をして経済大国たらしめた構造そのものが、今度は、日本の行き詰まりを招いているということです(私は従来より、私たちの国は生活大国になれない道を選んだからこそ、経済大国にたり得たのだと主張してまいりましたが)。
私は、九七年より、公正取引委員会の「政府規制研」に参加してまいりました。そこで議論されていることは、再販価格維持制度の存続の是非をめぐる検討です。再販価格維持制度というのは、書店あるいは新聞販売店が、新聞杜あるいは出版杜から最終の消費者に、予め決められた値段を守って販売する制度のことです。この制度のあるお陰で、遠隔の過疎地や地方で新聞を宅配してもらう料金と、便利な都市での購読料金が同一に保たれ、戸別配達が維持されているわけです。けれども、再販廃止論者たちは、地方と都市での値段が同じであるのはけしからんと、主張します。これはつまり、私たちが、民主社会に生きて、たとえば代表としての政治家を選ぶに際してその判断を下すのに必要な情報の対価が、地方に住めば住むほど高くなってもそれはやむをえない、コストが高く付いたところで高く売るのが正当な市場原理である、という理屈です。--以下略