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(回答先: 最近の国際情勢について、思うつれづれ。 投稿者 トール 日時 2004 年 4 月 19 日 06:21:33)
日本人のイラク派兵に対する世論はやや賛成が多いものの、両論まっぷたつに分かれていると思います。
http://www.asyura2.com/0403/war53/msg/356.html
私は戦闘に参加しないという限定条件付きで自衛隊のイラク派兵には賛成であり、また現時点では直ちに撤退を宣言するべきではないが撤退の本格的検討開始するべきであるという立場に立つ者です。これはおそらくは日本の世論の多数派であり、かつ日本の指導層の方針にも比較的近いのではないかと考えています。以下に自分の主張の根拠を述べます。
インド洋やペルシャ湾の航路の安全確保は日本の安全保障にとって第一級の目標です。現在は米軍によって航海の安全が維持されていますが、現在の米国の株式・不動産バブルと膨大な経常赤字を考慮すると、近い未来の米国の恐慌と共に米軍は規模を縮小せざるを得なくなり、日本は自力で航路の安全確保を迫られます。今回のイラク派兵はその予行演習として非常に価値があるものです。イラクで活動する事ではなく、中近東の油田地帯に自衛隊が行くこと自体に意味があるのです。それは補給活動や交代部隊を派遣する事も含みます。
第二の理由は対米関係にあります。米国は東アジアにおいて大陸と海洋を分断し対立させる政策を実行しています。それ故に日本は中国と対立し、米国に依存せざるを得ない弱い立場に置かれています。米国からの自衛隊派遣の要求を断った場合は米国による偶然を装った恐ろしい報復が行われる可能性は考慮せねばなりません。
第三の理由はタイの動向です。タイは弱小国でありながら巧妙な外交により欧米による植民地化も日本による占領も受けずに独立を維持してきた稀にみる外交巧者です。タイと日本は共に立憲君主制の仏教国であり、米国の半衛星国的存在であり、かつ中東諸国を含めイスラム諸国の国民との友好関係も維持せねばならないという似通った立場にあります。そのタイが昨年9月にイラクに人道支援目的の医療・工兵を443名派遣したことは、人道支援部隊ならば比較的安全に派兵出来るという証拠であり、日本の自衛隊派遣のよい手本になりました。また、そのタイの国防省が今月に入り撤退を検討し始めたことは、人道支援部隊派遣ですら徐々に困難な状況になりつつあることのメルクマールと言えるでしょう。
http://www.mainichi.co.jp/news/flash/kokusai/20040404k0000m030021000c.html
「タイ軍:イラク主権移譲後に撤退検討」
同スポークスマンは、イラク駐留の各国部隊に対する反米武装勢力の攻撃が主権移譲後に激化することを懸念していると述べ、「他国の部隊が撤退すれば、タイ政府や軍高官は政策の見直しを迫られるだろう」と語った。 タイは現在、イラク中部カルバラに443人の人道支援部隊を派遣しており、現部隊の派遣期間は9月まで。昨年末には武装勢力の攻撃で兵士2人が死亡している。
以上、簡潔に意見を述べさせていただきました。この板の論者の傾向とは合わないかもしれませんが、反米でもなく親米でもなく日本の国益を追求するならば私の主張は政策選択の最有力候補の一つとして挙げられるものであると思います。