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イタリアにブッシュは何をしに行ったのか?(今日のぼやき)
http://www.asyura2.com/0403/bd35/msg/910.html
投稿者 エンセン 日時 2004 年 6 月 08 日 23:42:43:ieVyGVASbNhvI
 

(回答先: ビッグ・リンカー達の宴2ー最新日本政財界地図(2)【園田義明】 投稿者 へなちょこ 日時 2004 年 6 月 08 日 11:57:59)

 
「564」 イタリアにブッシュは何をしに行ったのか? 2004.06.04冒頭加筆 ナチス・ドイツという「フランケンシュタイン国家」を作った、ロックフェラー財団。ダレス兄弟。そして、戦後の優生保護法についての注目すべき証言。 2004.06.03
冒頭加筆です。副島隆彦事務所・アルルの男・ヒロシです。今日は2004年6月4日です。
現在、ジョージ・ブッシュ大統領が、イタリアのローマを訪問しています。公式にはこの訪欧は、ローマ法王、ヨハネ・パウロ2世との会談というのが目的になっております。

(貼り付け開始)

米大統領がローマ到着 欧州歴訪スタート

 【ローマ4日共同】欧州歴訪に出発したブッシュ米大統領は4日未明(日本時間同日朝)、最初の訪問国イタリアのローマに到着した。
 大統領は国連安全保障理事会のイラク新決議案採択に向け、5日にイタリアのベルルスコーニ首相やフランスのシラク大統領と首脳会談を行う。決議案をめぐる安保理常任理事国の早期合意を目指すブッシュ大統領には、イラク政策をめぐって対立が続くフランスとの和解が急務だ。
 ブッシュ大統領は4日、イタリアのチャンピ大統領、ローマ法王ヨハネ・パウロ二世とも相次いで会談する。
 ローマでは大規模な反米デモが予定されており、イタリア政府は警察官1万人を動員して警戒。ブッシュ大統領の滞在中、ローマ上空は飛行禁止となる。(共同通信)
[6月4日9時43分更新]

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040604-00000055-kyodo-int
(貼り付け終わり)

アルルです。しかし、実は、ブッシュ訪欧にはもっと大きな目的があるのです。

6月3日から6日にかけて、イタリアのストレッサという街の高級ホテルで「ビルダーバーグ会議2004」が行われています。このビルダーバーグ会議については、陰謀論(いんぼうろん)的立場からは、「世界の支配者達が集まって世界支配の陰謀を巡らせている」と言われていますが、ものは言いようで、実際には、世界情勢のための意見交換が目的であると思われます。参加者が実力者ぞろいのために、そういう陰謀論的見方も成り立ってしまうのでしょう。これに付いては、産経新聞の山口昌子記者の報告が簡潔で要を得ているので紹介します。

「産経新聞」(2003年6月22日)から転載します。
(貼り付け開始)
■秘密クラブ「ビルダーバーグ」5月にパリで会合
王侯貴族、政財官トップ集結 米欧“陰のサミット”


 米欧の王侯貴族から政財官のトップ級が集まって年に一度、米国や欧州で会合を開き、世界の主要問題を討議する秘密クラブ「ビルダーバーグ」の存在が最近、話題を集めた。今年は五月十五−十八日に、パリ郊外ベルサイユで開催され、イラクの戦後や中東問題、欧州の将来像を探る協議会、経済問題、テロなど幅広く討議したほか、イラク戦で悪化した米仏関係についても修復を試みたとの情報もある。(山口昌子)
≪1954年創設≫

 会合が開かれたベルサイユの最高級ホテル「トリアノン・パーク」には仏機動隊(CRS)などが厳重に警護する中、高級車が続々と到着した。イラク戦で米仏関係悪化のおりからドビルパン仏外相とウォルフォウィッツ米国防副長官がこの場で会談し、六月初旬の主要国首脳会議(エビアン・サミット)前に米仏関係の修復をひそかに試みたとか、イラク戦で悪化した仏・スペイン関係を心配して仏王家、ブルボン王朝出身のスペイン国王、フアン・カルロス一世が乗り出し、パウエル米国務長官が会合結果を報告するよう命じたなどの未確認情報が流れた。

 フアン・カルロス一世をはじめオランダ国王のベアトリックス女王、キッシンジャー米元国務長官、デービッド・ロックフェラー氏らは、フリージャーナリストらによる目撃証言があるが、最終日に公表された出席者リスト約百人の中にはフアン・カルロス一世やベアトリックス女王はもとよりドビルパン外相の名もなかった。

 一方で、ウォルフォウィッツ副長官の名前は確かにあり、リストの公表が一部であることや「秘密クラブ」的な一面があることをうかがわせた。

 クラブは冷戦中の一九五四年五月、米国と欧州の北大西洋条約機構(NATO)加盟国の「橋渡し」を目指して、オランダのベルナルド王子によって創設されたもので、「民主主義擁護の世界的ロビー」(仏記者)とでもいったらよいだろうか。第一回会合がオランダ・オーステルベークの「ビルダーバーグ・ホテル」で開催されたところから命名され、初代会長には後にNATO事務総長になる英国のキャリントン卿が就任した。

≪内容は公表せず≫

 討論の自由を堅持し、予期しない影響力を排除するために討議内容は公表しないことを鉄則としているが、米欧の有力者が大挙して出席するため七〇年代ごろからクラブの存在がしだいに知られるようになった。

 その結果、七〇年代に批判的記事を書いた英フィナンシャル・タイムズ紙の記者が辞職に追い込まれたとか、会場の従業員には「見聞したことはいっさい話さないように。違反したら解雇」との厳命が下されているといった“伝説”も広がったうえ、クリントン米前大統領(九一年)やブレア英首相(九三年)が就任前に招待されたこともあり、世界政治に影響力のある秘密結社的性格を指摘する声もある。

 クラブ側は出席者が個人的資格で参加する「私的クラブ」であり、性格的には「国際フォーラム」と定義するなど、クラブが秘密クラブでも圧力団体でもないことを強調する一方、この数年は出席者のリストや議題など一部を公表し、米欧の大物ジャーナリストも招待しているが、討議内容を記事にしないことは厳守されている。

 フリージャーナリストらがサイトなどで発表したところによると、昨年は五月三十日から六月二日まで米バージニア州の高級ホテルで開催され、主要議題はイラク戦争や反グローバル化運動への防衛対策だった。

 二〇〇一年は五月末にスウェーデンで開催され、テーマはNATOの将来や食料の安全、欧州連合(EU)の拡大、中露関係、仏大統領選など。二〇〇〇年は六月初旬にブリュッセル郊外で開催され、米大統領選など。一九九九年は六月初旬にポルトガルの中西部の保養地シントラで開催されたほか、同年十一月初旬に米ワシントンでも開催され、米大統領選が主要議題となっている。

 ビクトリア英女王時代(十九世紀)の宰相で文学者でもあったベンジャミン・ディスラエリ伯は、「世界は、舞台裏まで潜り込む目を持たない者が想像できない他の人物たちによって統治されている」と述べたが、「ビルダーバーグ」にこの言葉がはたして該当するかどうか−。

                  ◇

≪2003年の主要出席者≫

 【米側】

 キッシンジャー元国務長官、ウォルフォウィッツ国防副長官、ボルトン国務次官(軍備管理、国際安全保障担当)、ハース国務省政策企画局長、パール国防政策委員会委員、ルギー・ハーバード大学ビジネス政治センター所長、ソーントン・ゴールドマンサックス・グループ最高経営責任者(CEO)、ウォルフェンソン世界銀行総裁、ニューヨーク・タイムズ紙のフリードマン外交コラムニストら。

 【欧州側】

 ジスカールデスタン仏元大統領、ラスムセン・デンマーク首相、リッポネン・フィンランド前首相、ドゥランバロゾ・ポルトガル首相、コペ仏政府報道官、国際テロ対策専門のブリュギエール仏検事、キング・イングランド銀行副総裁、トリシェ仏銀行総裁、欧州委員会のラミー通商担当委員、クラースNATO元事務総長、カミュ欧州航空防衛宇宙社(EADS)CEO、仏大手保険AXAのドカストリ会長、ドモンブリアル仏国際関係研究所所長、ルルーシュ仏議員(保守政党・国民運動団体)、フィガロ紙社説担当のアドラー記者ら。

「産経新聞」(2003年6月22日)
(貼り付け終わり)

アルルです。イラクの暫定政権が発足した今、今後のイラクを西側社会でどのように管理・育成していくか、ということが今年の大きなテーマになるでしょう。私が、情報サイトを参照したところでは、今年の出席者には、毎年恒例の、デヴィッド・ロックフェラー(89歳)のほか、昨年同様、リチャード・N・パール・元米国防政策諮問委員会委員長、ヘンリー・キッシンジャー元米国務長官らの出席があるほか、ネオコンのコラムニストで、外交問題評議会のマックス・ブート、面白いところでは、民主党副大統領候補のジョン・エドワーズ上院議員、宗教右派でブッシュの選挙スタッフをしている、ラルフ・リードの出席もあるようです。情報サイトはアメ政掲示板にリンクがありますのでご覧下さい。

去年はサミットの行われた、フランスで会合が行われたわけですが、今年はフロリダのシーアイランド付近ではなく、イタリアのローマで行われています。イラク戦争で亀裂が入った「大西洋同盟」(米欧同盟)の修復が大きなテーマになっていることが伺えます。また、ゴールドマン・サックスなどの金融財界人らが多数出席しているのも大きな特徴で、「ユダヤ人たちの金融戦略会議」という側面も持っているだろう、と推測されます。ビルダーバーグ会議が終わった後、上述のマックス・ブートのような、コラムニストがどのような事を書き始めるかが今後を占うポイントになるでしょう。

当然ブッシュ大統領も呼びつけられるか、電話などで連絡を取り合うなどして、会議の進行を見守るのでしょう。


会場となるホテル

冒頭加筆終わり

=====

副島隆彦事務所・アルルの男・ヒロシです。

今日は、ネオコンカードの第3回目を載せようと思ったのですが、6月3日の『産経新聞』に、アメリカの<日本改造計画>についての恐るべき証言が載っていたので、これを紹介しないわけにはいきません。ネオコンカード(第3回)はまた別の機会に載せます。

私は、そろそろ本腰を入れて、日本の戦後の「ジャパンハンドラーたち」の動きをクロノロジカル(時系列)かつ人物ベースで描き出すという作業に取り組む必要があると考えています。今年の6月3日の『産経新聞』の政治面に掲載された記事はその中の1ページを構成するでしょう。いささか備忘録(びぼうろく)のように簡潔にまとめますが、きわめて重要な証言です。

産経新聞の記事によると、今年の 衆院憲法調査会 (4月15日開催) において、早稲田大学国際バイオエシックス・バイオ法研究所元所長の木村利人(きむらりひと)名誉教授が、次のような証言を行った。衆院憲法調査会のウェブサイトに議事録が載っていたのでこれを転載します。


(転載開始)
 そういう観点から見ますと、リーガルフィクションによる社会変革ということは、これはアメリカのニューディールの動向を見ればおわかりのように、アメリカの最高裁は、憲法の中身を変えるというよりか、条項でつけ加えていく、アメリカの場合には憲法に附帯条項がついていくわけですが、いろいろな裁判の判例を最高裁が下していくことによりまして、そして社会のイニシアチブをとっていくという方向が、アメリカの場合にははっきりと見えている。最高裁判事の任命にかなりポリティカルなエレメントが働いたということが、一九三〇年代、四〇年代にあって、ニューディールがいわば成功した。このいわばアメリカのニューディーラーたちが日本の戦後に来て、その理想主義に燃えて、そして占領政策をいろいろつくっていくことになるわけですね。

 アメリカは、いろいろなことをやりました。アメリカというのは、いろいろな人体実験を含めて、極めて人権侵害を意図的に、大胆にやってきた国の一つでありますし、そしてまた、広島、長崎という、人間が、人類が絶対起こしてはならない犯罪的戦略によって日本の人口に対するアタックをしたわけですけれども、アメリカがしたもう一つの実験の一つは、日本に優生保護法をつくったということです。

 これはもちろん、戦前に国民優生法というのがありまして、これをなくしまして、戦後に優生保護法というのをつくるわけですが、この優生保護法というのは、私たち日本人は、これの持っている国際的な意味合いを余り感じないままに法律として受け入れてきたわけですね。つまり、簡単に言いますと、刑法にあります堕胎罪の違法性を阻却して、優生保護法の適用によって人工妊娠中絶を可能にしたわけです。

 これは、アメリカ占領治下に可能になった法律でありますので、アメリカの戦後の統治の文献などを読みますと、日本にやらせてはいけないことの一つとして、人口の増加ということがあります。人口を極力抑えるということも踏まえて、そして、この優生保護法がマッカーサーの監督下にできることになるわけですが、これについては、アメリカ側から、予想外ですけれども、大変な反発が起きるんですね。

 特にバージニア州のカトリックの方々からマッカーサーに対していろいろな手紙が来ます。このような優生保護法を日本でつくったら、あなたは日本人をジェノサイドしたゼネラルと呼ばれるだろう。ジェノサイドゼネラルと呼ばれることになると。日本人の人口を集団的に、大きいスケールでいわば滅ぼしていく人工妊娠中絶をやめるようにという投書がアメリカから来るんですね。

 日本側は、論議がないんですね。日本側は、背に腹はかえられない。これはいろいろなことがございまして、戦時下の状態の中でどうしても、生活困窮、要するに、背に腹はかえられないということで、苦しい中でいろいろな決断をしなくちゃいけないということが先に立ちましたが、アメリカ側から見ると、これはジェノサイドゼネラルということで、アキューズされるんですね。

 これは、日本で比較的有名で、御存じかと思いますが、マーガレット・サンガーというファミリープランニングの専門家がおりまして、戦前に日本に来て、演説をするわけですが、軍部によって退去を命ぜられるわけです。つまり、人口増加を国是としていた国に来て産児制限を説くとは何かということになったわけですが、このマーガレット・サンガー、彼女が残したすべてのドキュメントがアメリカの国会図書館にありまして、その中で見た、マッカーサーがサインした手紙がございます。

 今、マッカーサー資料室にもありますし、日本側にも恐らくコピーが来ていると思いますが、その中には、ダグラス・マッカーサーが自分でサインした手紙、私は、日本人をジェノサイドするつもりはないと。これは当然ですよね、私は関係ありませんと。日本では御存じのように、太田典礼とかあるいは加藤シヅエとかそういう方々が、当時の衆議院議員の方々ですが、国会に出して、そしてこの法律を通した。このときの日本医師会も、これに対してはやや肯定的であったということになるわけです。

 そういう形で、いわば人工妊娠中絶を極めて世界的なレベルで、結果的にその違法性を阻却した世界で最初の国の一つに日本がなって、そして、これは非常にドラマチックに日本の人口の下降現象が起き上がったわけでございます。

 そういうことから考えると、法律というのは、日本では特に、法律があればモラルがそこにあるというふうに思っちゃうんですね。ですから、人工妊娠中絶がいいとなっちゃうんです。アメリカの場合は、これは一九七三年のロー・バーサス・ウエイドという人工妊娠中絶についての最高裁の判例がございますが、これは、女性のプライバシーの権利として認めた。

 これは、人工妊娠中絶をプライバシーの権利として認めるんですが、法律が認めようが認めまいが、やらない人は絶対にやらない、道徳的に反していると。これは、特にカトリックの方々、バージニア・カトリック、マッカーサーたちに手紙を送った方々ですけれども、そういう方々はもう絶対に反対なわけですね。

 マッカーサー司令部の中にはナチュラル・リソース・セクションというのがあって、そこにはジョンズ・ホプキンス大学のトンプソンという、これは元来人口制御論者なんですけれども、日本の人口をふやさないという論者ですが、この人がつくったドキュメントがあって、それを全部マッカーサーが回収して、我が占領軍は関係ないという形で、日本人がつくったという形になっていますが、そのことにつきましても私は論文に書いております。

 そういう人間の命の問題にかかわりを持って、どこかの国がそれをいわばジェノサイドしていくということを徹底的に避けなければいけない。つまり、私たちは、戦争という形ではなくても、いろいろな形でジェノサイドが起こりつつある、その現状を見ていかなければいけないというふうに思うわけでございます。

「衆院憲法調査会」第6号 平成16年4月15日(木曜日)
http://www.shugiin.go.jp/

(転載終わり)

アルルです。ここで、木村教授は、大東亜戦争終戦後の米軍・GHQ(連合国最高司令部)の占領政策には、人口抑制政策が関わったと証言している。この木村氏の経歴は以下の通りであり、


(引用開始)
1934年生まれ。
早稲田大学人間科学部教授。早稲田大学国際バイオエシックス・バイオ法研究所所長。専門はバイオエシックス、比較法学、人権論。
早稲田大学第一法学部卒業、早稲田大学大学院修士、博士課程修了後、タイ、ベトナム、スイス等の大学で教授を歴任。1980年より米ジョージタウン大学ケネディ倫理研究所国際バイオエシックス研究部長および同医学部客員教授。1987年より現職。
現在、内閣・司法制度改革推進本部事務局法曹制度検討会委員、厚生労働省・医師国家試験委員など多くの役職についている。

アサヒ・コム
http://www.asahi.com/ad/clients/waseda/opinion/opinion74.html
(引用終わり)


これを見れば分かるように、ジョージタウン大学で、生命倫理の研究を法律学の立場から、アプローチした経験がある。日本でも、国際交流センター(山本正系)のシンポジウムで演壇に立っている。ということは、戦後の、ロックフェラーの日本管理政策の詳しいところを、知っている人物であるということになる。

上述の産経新聞の記事では、政治部の木村正人記者が、優れたインタビューを木村教授に対して試みている。これが、戦後のニューディーラーの日本管理政策は、「優生保護法と日本の非武装化」であったということを明らかにしている。以下は、【「憲法」を問う】(1)第二部 まやかしの改憲論
人口抑制と非武装化/国のはずなのに国でなくなった(「産経新聞」2004年6月3日)の記事である。

(引用開始)
 今年四月の衆院憲法調査会で「条件付きで中絶を認めた優生保護法が占領下に施行されたが、日本の人口抑制の狙いが隠されていた」と指摘した早稲田大国際バイオエシックス・バイオ法研究所元所長の木村利人名誉教授は「憲法と優生保護法は米国が占領下の日本に施した二つの実験」との仮説を立てる。

 『人口大事典』などによれば、米国の人口学者トムソン氏は昭和初期、「世界人口の危険地域」の一つに日本を挙げた。日本の人口は明治五年の約三千三百万人から昭和五年に約六千三百七十万人と約六十年間でほぼ倍増。狭い国土、乏しい資源、しかも列強各国が自国産業保護のため関税などで外国製品の輸入を規制するため、日本は英国のような工業立国になれないと分析した。

 日本の生き残る道として、トムソン氏は(1)生活水準を下げる(2)産児制限で人口増加を防ぐ(3)朝鮮半島、台湾、樺太、北海道にもっと入植する(4)植民地にするのに適し、工業化を実現するために十分な燃料、鉄などの資源を有する新領土を獲得する−という四つの選択肢を検討。その結果、日本は東南アジアに国内過剰人口のはけ口を求める恐れが大きいと、戦争の勃発(ぼっぱつ)を予言していた。

 トムソン氏がその後、GHQの人口政策に影響力を持ったことを考えると、優生保護法の目的は人口抑制との仮説は真実味を帯びる。片や戦争放棄をうたった憲法の狙いは日本の非武装化というわけだ。

【「憲法」を問う】(1)第二部 まやかしの改憲論
人口抑制と非武装化/国のはずなのに国でなくなった(「産経新聞」2004年6月3日)
(引用終わり)


アルルです。
このトムソン氏の行動については、以下のサイト「日本の人口問題:50年前の人口爆発」(柳沢哲哉 著)が詳しい。


(引用開始)
トムソンは1947から49年にトルーマン大統領の要請でGHQの人口問題顧問として日本各地を視察し、「日本の人口増加は経済自立計画の遂行をおびやかしている。1年で150万人の割合で増加しつつある日本人を養ってゆくことは、生産の増強、貿易の促進だけでは困難であり、真の解決は受胎調節以外にない」という声明を発表した(1949年3月)。後に見るようにこの声明が、産児制限ブームの引き金となる。ここでトムソンの影響力を物語るエピソードを紹介しておきたい。1949年に産児制限の奨励に対してカトリック団体は抗議を行った。この抗議について、GHQによる正史とも言える『GHQ日本占領史』は次のように記述している。「人口顧問らが連合国最高司令官に対して行った産児制限を擁護する公の声明は、宗教家のグループの抗議を呼び起こした。その顧問たちの著名さと彼らが連合国最高司令官に所属していることのゆえに、その抗議者は、単に個人的意見として述べてきた顧問たちの見解を連合国最高司令官の政策を表明したものと誤って判断してしまったのである」(『GHQ日本占領史4人口』113頁)。ここに登場する「人口顧問」がトムソンである。(3) つまり、トムソンらの方針がGHQの方針であるかのように、国内では広範に流布していたことになる。

 もっとも、マッカーサーの意向を受けて編纂された『占領史』の記述を文字どおりに受けとめて、産児制限肯定論をトムソンの個人的見解とするのはやや問題がある。産児制限をGHQの方針として受け取ったのは、後に見るように「宗教家のグループ」だけではなく一般的な受け止め方でもあったし、トムソン以外にも例えば公衆衛生福祉局長サムスも産児制限必要論を示唆していた。また、19 48年に優生保護法が成立しているが、この時期にGHQの意向を無視して立法が行われたとは考えにくい。事実、優生保護法案の提案者の一人である日本医師会元会長谷口彌三郎議員は、GHQ天然資源局のアッカーマンの発言に言及しながら提案理由を説明しているのである。(4) それゆえ、産児制限論はGHQ内部でも一般的な見解であったということができる。

「日本の人口問題:50年前の人口爆発」(柳沢哲哉 著)
http://takamatsu.cool.ne.jp/yanagisawa/works/population.html
(引用終わり)


アルルです。
以上を踏まえて、重要な点は、このニューディーラーたちが行った、優生保護法などの政策が果たして、ニューディーラー固有のものであったのかという点である。実はそうではなく、この優生保護法の原点は、ナチスの研究した優生学であると理解されている。「ナチスといえば優生学。優生学といえばナチス」なのである。このことは、フランス映画の「クリムゾン・リバー」(ジャン・レノ主演)というホラー映画を見るとよく分かるらしい。


ところが、優生学の本当の本当の開祖はアメリカなのである。これが重要で、ドイツ・ナチスの、優生学研究を資金面で支援していたのは、アメリカのロックフェラー財団などのシンクタンクだったのである。それがナチスからさらに逆輸入されて、日本の戦時体制下に入っている。ナチス・ドイツはアメリカのロックフェラー財団によって作られた、ある種の「フランケンシュタイン国家」であるという視点は日本では殆ど持たれていないが、きわめて重要だろう。アメリカがやることは昔も今もあまり変わらない。


(貼り付け開始)
アメリカでは支配者たる人種を創り出す試みが1世紀にわたって続けられてきた──『WAR AGAINST THE WEAK』は、その事実をあばきだした衝撃の問題作である。ニューヨーク・タイムスのベストセラー『IBM AND THE HOLOCAUST』(邦題『IBMとホロコースト―ナチスと手を結んだ大企業』)の筆者で、数々の賞を受賞した調査報道を専門とするジャーナリスト、エドウィン・ブラックは、ナチスの犯罪と20世紀初頭のアメリカで盛んになった偽りの科学運動――優生学との結びつきを明らかにした。

人類の選択的繁殖という考えにもとづく優生学は、ロングアイランドの研究施設で産声を上げ、ナチスの強制収容所で終わった。最終的には、6万人以上の「不適格な」アメリカ人が強制的に不妊手術を施されたが、その3分の1は、こうした行為が人類に対する犯罪であるとニュルンベルグ裁判で宣告された後に行われたのである。

数人のアメリカ人科学者グループがこの人種にもとづく新しく野心的な運動を開始したのは、1904年のことだった。これはアメリカの社会、政治、学術界のエリートに擁護された。カーネギー研究所やロックフェラー財団など、アメリカの主要な企業の慈善団体から資金の提供を受け、全米の学校に浸透しつつ、優生学者は社会的に「望ましくない」人々を排除する方法を追求した。その方法とは、強制的な不妊手術と人類の繁殖計画、結婚の禁止、そして消極的な安楽死さえをも含んでいた。さらに衝撃的なのは、優生学が連邦最高裁に認可されていたことだ。27の州で残酷で人種差別的な法律が制定されており、優生学の支持者には、ウッドロー・ウィルソンやマーガレット・サンガー、オリバー・ウエンデル・ホームズといった進歩的な有識者もいた。

優生学の犠牲になったのは、ニューイングランドからカリフォルニアまでアメリカ全土に住む貧しい白人、ヨーロッパからやってきた移民、黒人、ユダヤ人、メキシコ人、アメリカ先住民、てんかん患者、アルコール中毒者、微罪を犯した者、精神障害者、そして優生学が賛美する金髪碧眼のゲルマン人種の理想に合致しない人々だった。国際的な学術交流を通じてアメリカの優生学は世界に輸出されていき、最終的にアドルフ・ヒトラーを魅了した。

『WAR AGAINST THE WEAK』を執筆するために、エドウィン・ブラックは、5万点にも及ぶ文書を作成した4カ国の公文書保管所数十カ所の研究者50人の協力を得た。事実をあますところなく、正確に、見事な語り口で描き出された1世紀にわたるこの物語から、読者は恐るべき真実を知ることになる。ナチスの学者たちを駆りたてた科学的な根拠を、ニューヨークのカーネギー研究所の「科学者たち」がいかにして創り出したのか。ドイツの科学者に対するロックフェラー財団の莫大な資金援助が、いかにしてアウシュビッツにおけるメンゲレの憎むべき実験につながっていったのか。第二次大戦後、優生学はいかにして人間の遺伝学として生まれ変わったのか。そして、ヒト・ゲノム計画および21世紀の遺伝工学の意味を理解するうえで、優生学の歴史に向き合うことがいかに重要であるか、その理由をも悟るはずだ。

War Against the Weak: Eugenics and America's Campaign to Create a Master Race
Edwin Black (著)

http://www.multishop.jp/1568582587.html
(転載終わり)

さらに、このブラックという人の著作については、太田述正(おおたのぶまさ)氏による日本語解説がある。太田氏のサイトから転載する。


(転載開始)
(2)米国の二つの原罪

 私は、以前(コラム#225)で、米国がアングロサクソン至上主義の人種差別の国であるとした上で、ジョージ・ワシントン等の米国建国の父と言われる人々が奴隷所有者であった話をし、米国は原罪を負っていると指摘したところです。また、「戦前」における東アジアへの米国の恣意的な介入は米国の第二の原罪である、とも指摘した(コラム#221、234、249、250、254)ところです。

 この二つの原罪をつなぐもの(missinng link)こそ、20世紀初頭に登場した米国の優生学だったのです。

 (3)優生学

 ブラックの指摘を要約すると以下の通りです。
 20世紀に入って間もなく米国に優生学が生まれ、優生学者達は、社会的価値のない人間は断種、隔離、更には安楽死の対象とすべきである、と主張し始めた(A)。これは、今にして思えば、人種差別主義者がひねり出した疑似科学に他ならなかった(C)。

 やがて優生学は、米国の著名な大学、研究所、財団で研究されるようになる。当時の米国の知性を象徴する大統領のウッドロー・ウイルソン、女性運動家のマーガレット・サンガーや最高裁判事のオリバー・ウェンデル・ホームズらもその熱心な賛同者だった。そして優生学は、米農務省、国務省を始めとする連邦各省や各州で実践に移されるようになり、連邦最高裁の判決にも影響を及ぼすに至った(例えば「オザワ判決」(コラム#254))。(C)

 優生学者の中からは、長期にわたって米優生学会会長を勤めたレオン・ホイットニーらのように、北欧人種(Nordic race)が人類の中で優生学的に最も優れた人種であり、この北欧人種がユダヤ人、黒人、スラブ人等、青い目とブロンドの髪を持たない人種との通婚によって汚染されつつあると唱える者も出てきた。(A)

 米国で優生学の考え方が登場した頃から、数多ある国々の中で、いち早くこれに注目し、最もその動向を熱心に追いかけた国がドイツだった。ミュンヘン一揆に失敗して1924年に投獄された(オーストリア出身の)ドイツ人、アドルフ・ヒットラーは、獄中で米国の優生学者の著作に読みふける。

(1930年代の初めにヒットラーはホイットニーに、熱烈なファンレターを寄せている。)ヒットラーは1927年に出版した著書「我が闘争」の中で、米国の優生学とその米国での実践状況に何度も言及している。例えば、米国のNational Origins Act(「出身国別割当移民法」、或いは「排日移民法」。1924年)(コラム#254)について、米国では優生学の考え方の下で「特定の人種を帰化の対象から除外した」ことに敬意を持って言及している。(A)
 
優生学的安楽死の手段として考え出されたものの一つがガスによる安楽死であり、この論議の副産物が、1921年にネバダ州が初めて採用し、後に多くの州に普及したガス室による死刑執行制度だった(A)。また、米国で少なくとも6万人もの人々が各地の州法に基づき強制断種手術を施された(B)。

 1933年にヒットラーが独裁権を握ると、優生学はドイツで大規模かつ徹底的に実行に移されて行く。強制断種手術は大々的に実施され、その先に待っていたのはガス室によるユダヤ人のホロコーストであり、ジプシーの抹殺であり、東欧の蹂躙だった。(B)

(以上の典拠:Edwin Black, War Against the Weak・・Eugenics and America's Campaign to Create a Master Race, Pub Group West, 2003

A:http://www.guardian.co.uk/g2/story/0,3604,1142027,00.html(2月6日アクセス)からの孫引き、
B:http://www.waragainsttheweak.com/intro.php
(2月10日アクセス。同書の序文)、C:http://www.waragainsttheweak.com/
(2月10日アクセス。著者による同書の紹介)

2004年2月12日
太田述正コラム#257(2004.2.12)
<南京事件と米国の原罪(その4)>
http://www.ohtan.net/column/200402/20040212.html
(転載終わり)


アルルです。
ドイツ・ナチスにつながっていた、アメリカの保守派ロックフェラー人脈は、ジョン・フォスター・ダレスら「ダレス兄弟」であり、これが戦後の日本の逆コースを主導したということはすでに明らかになっている。だから、単に、ニューディーラーの問題ではないのである。

「産経新聞」は、どうも、この戦後の再軍備派のダレス系、ロックフェラー系の人脈の影の部分を意図的に避けているようである。ナチスを育てたのは、この人脈である。憲法改正という政治目標に差し障るという判断だろう。木村教授は証言でそれとなく、アメリカの優生学研究の闇の部分を証言していることに注目されたい。

日本の憲法制定が<日本の弱体化>という占領政策、文明外科手術であるとするならば、日本の憲法改正という<日本の強化>も、文明外科手術ではないかという疑問を持つ必要がある。日本は、アメリカによって、断食・強制ダイエットさせられたり、突然、「筋肉増強剤」を注入されたりするようなモルモット国家にされてしまった。単純に憲法を改正すれば済むという問題ではない。国際情勢の変化も見据えなければならない。

現在事実上、日本は、軍隊を持って、再軍備を果たしている。世界の目から見れば、日本の自衛隊は、もう立派な軍隊(force)である。あとは空母があれば良いだけである。 これ以上何を足すことがあるというのか。「アメリカの戦争に日本が巻き込まれるな!」と憲法改正に抵抗した、吉田茂の戦略眼は凄かった。これだけでも尊敬に値する。このように改めて思わざるを得ない。

本日はいささか雑ではありますが、産経新聞の記事を手がかりに、ロックフェラーと優生学というテーマでまとめました。

アルルの男・ヒロシ 拝


2004/06/03(Thu) No.01

http://snsi-j.jp/boyaki/diary.cgi

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