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イラクでの外国人人質事件や米兵のイラク人虐待、パレスチナでの攻撃激化と、殺伐とした事件が続く中東の春だが、ひとつおめでたいニュース。ヨルダンのアリ王子が婚約した。
いや、それだけならたいしたニュースじゃないんだけど、なんと相手が元米CNNバグダッド特派員のリム・ブラヒミ嬢だというから、驚く。イラク戦争開戦当時、果敢にもイラクからライブリポートを送っていたリム嬢、前々からかっこいいなあ、と感心していたのだ。
しかも名前からわかるように、お父上があのブラヒミ国連事務総長特別顧問だから、もっとすごい。1950年代後半、祖国アルジェリアでフランスからの独立戦争時代に民族派として活躍し、その後社会主義路線の近代化、非同盟主義を貫く国造りを背負って、政府要職を歴任した。94年からは南アフリカ、アフガニスタンなどで国連の特別代表を務めている。
そして娘は、アメリカのトップメディアの花形リポーター。典型的な近代的アラブ知識人のなかの、セレブな超エリート親娘である。
かたやお相手のアリ王子も、半端じゃない。ヨルダンのハーシム家は、アラブ世界でも最も歴史と格式を誇る王家だが、父上が名君と名高い故フセイン国王だったのはもちろんのこと、母上は第3王妃のアーリア妃である。
アーリアといえば、アンマン国際空港の名前にもなっているくらい、故ヨルダン国王がベタぼれした王妃だ。しかしアリがわずか2歳の時に王妃はヘリの事故で亡くなった。嘆き悲しんだ国王はなんと翌年、アリ3歳の時に、当時のハッサン皇太子に次いでアリを王位第2継承者にする、と決めてしまった。
今は異母兄アブドラ国王の治世下、王位継承権は大幅に変わってしまったが、先代の寵愛(ちょうあい)を一身に受けた遺児であることには変わりがない。1歳上の姉もまた、同じ4月にドバイの皇太子に嫁いでいる。
それにしても、西に中東和平問題、東にイラクという二つの火種を抱えて生き延びてきた小国ヨルダン、その外交手腕はさすがちゃっかり、じゃなかった、しっかりしている。特にイラクとの関係は、ヨルダン経済には死活問題だ。湾岸戦争後、イラクが経済制裁にあえいでいた時、隣国の強みを生かしてヨルダンの製薬業界は、イラク向け生産で活況に沸いた。イラク産原油に全面的に依存してきたこともあって、経済制裁下でも国連のお目こぼしをもらい、イラクから格安で原油を手に入れていた。
そもそもハーシム王家は、58年に革命で打倒される前はイラクの王家でもあった。先代の国王の頭には、サダム・フセイン後のイラクにハーシム王家をもう一度というような発想があったとも言われる。実際、ハーシム家末裔(まつえい)の亡命イラク人、シャリーフ・アリは、戦前からイラクの王政復古を主張し続けている。
そう考えると、1カ月後のイラクで暫定政権作りを担わされた国連顧問の娘と、故国王の寵児(ちょうじ)のカップル、イラクの将来に影響してくるかも。「リム嬢、将来のイラク王妃?」とは言いませんが。
http://be.asahi.com/20040529/W12/0042.html