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2004年04月26日
SCIENCE : ヒポカンパスはテトリスの夢を見るか
【ScienctificAmerican】ゲームマニアならずとも誰もが一度は遊んだことがあるであろうテトリス。そのテトリスに熱中した夜、テトリスの夢 - 落下する幾何学物体の夢 - にうなされた経験はないだろうか?ハーヴァード医療学校のロバート・スティックゴールド博士率いる研究チームが行った研究によれば、27人の被験者にテトリスをプレイさせたところ、全体の60%がテトリスにまつわる夢を見たという結果が出たという。そして更に研究チームはこのテトリスの夢効果を応用して睡眠中にいかにして学習が行われるかを研究しているというのである。スティックゴールド博士は以前にも違う実験を行い、その結果、睡眠が脳の中で新しい情報を整理するのに役立っているという結論を導きだし話題を呼んだ。そして今回新たに行われた実験の結果では、テトリスをプレイした後で6時間睡眠するグループと睡眠しないグループを分けたところ、睡眠したグループの方がよりテトリスのプレイが上達したという結果が出たのである。更に博士によれば、レム睡眠、ノンレム睡眠のリズムの関係から8時間眠ったグループが最も著しい上達を見せたと話している。また博士はこの結果を受け、学習にとって必要な段階は脳における二つのステップ、整理と統合という段階が最も重要であると仮説している。
博士によれば、ノンレム睡眠の間、脳の海馬(短期的、離散的な記憶を司る領域)の中で直近の出来事がリプレイされ、脳の新皮質へ整理された情報となって送られる。この際、情報の流れは常に海馬から新皮質へと向けて一方向である。しかし、レム睡眠の段階に入ると今度は逆に新皮質から海馬へと向けて情報が送られる。そしてこのとき、海馬から送られた新しい情報が新皮質の中で整理されて既存の情報と接続され、今度は新皮質が海馬に対し、整理済みの短期情報を消去するように指令を出すのではないかと推測しているのである。
今回のこの実験では研究チームは睡眠における第三の段階、催眠段階に重点を置いて調査が進められた。催眠段階とは眠りに着き始める最初の一時間程の段階である。
実験は3日間に渡って被験者27人を使って行われ、被験者は実験初日のみ朝晩それぞれ二時間、そしてそれから2日間は朝晩各一時間テトリスをプレイした。また被験者の内12人はそれまで一切テトリスをプレイしたことのない未経験者グループで、残り10人は以前に50時間から500時間程度テトリスをプレイしたことのある経験者から成り、そして残りの5人は海馬に障害のある記憶障害者から構成された。
そして3日間の実験を終えた結果、被験者のうち凡そ17人が催眠段階の間にテトリスのイメージ、即ち落下する幾何学図形を正確な場所に落とし込む夢を見たというのである。そして更に興味深いことに、こうしたテトリスの夢を見た被験者の多くが初日の夜ではなく、2日目の夜にその夢を見たと報告したのだ。この事実は一体何を意味するのだろうか?
博士によれば、この時間差はある情報が夢に現れるまでには、ある程度の刺激の量が必要とされるということを示唆しており、つまり、脳は新たな情報に対してまず時間を置くことで、本当にそれが記憶するべきものかどうかその情報量を元に判断している、と推測している。事実、今回の実験で得られたテトリスの学習曲線(得点を元に算出されている・グラフ)に示される通り、被験者の3つのグループで全く異なる結果を示している。経験者(茶)と未経験者(黄)のグループがそれぞれ高い得点向上率を示したのに対し、記憶障害者のグループ(赤)は低い向上率を示している。また特に最初のプレイで最低レベルの得点を出し、その後高い得点向上を見せた未経験者グループのうち9人は一様にテトリスの夢を見た事を報告しているのである。つまり、この得点向上率はテトリスの夢を見たか否か、その結果に見事に対応しているという結果に至ったのだ。
また経験者グループでは10人中5人がテトリスの夢を見たと報告しているが、興味深いことにその5人のうち2人は実験中にプレイしたテトリスとは異なるバージョン、すなわち彼らが今回の実験以前にプレイしたことのあるテトリスのバージョンを夢に見たと報告している。この結果は即ち、博士が主張するところの統合プロセスで説明されるという(つまり新しいテトリスの情報が古いテトリスの情報に結びつけられたということ)。
更に最も驚くべき結果としては、記憶障害者グループの5人のうち3人が健常者グループと同じ種類の夢を見たと報告した事が挙げられる。博士らは実験前、記憶障害者のグループの被験者は短期記憶を司る領域に障害があるため、催眠段階においてはそうした夢を見ないだろうと推測していたからである。「我々は、もしも夢が、短期的な記憶と関係しているとしたら、それは催眠段階に見る夢であると考えていたわけです。そして短期的な記憶域は記憶障害者グループが欠いているものだからです。」博士は語った。
しかしまた、そうした記憶障害者グループの多くは次の日になるとゲームをプレイしたことそれ自体を全く覚えておらず、全てをまた一から説明しなければならなかったという。これは一体どういう事なのだろうか。
この結果に関して、今回研究に参加したハーヴァード大学生デヴィッド・ロデンヴェリー氏は、記憶障害者のグループのうち1人はゲームをしたこと自体をすっかり忘れていたものの、どのようにゲームを行うだけかはきちんと覚えていたという事実を指摘している。「彼女は前日にしたことをさっぱり忘れていました。それなのに、どうやるかだけは覚えていたんです。」つまり、テトリスの夢は確実に彼ら記憶障害者のグループの被験者にも影響を与えていたのである。「この結果はフロイトのいう無意識 - 情報が脳の中で具体化され、記憶となって我々の行動を導く。しかし、それは意識下の行動ではない、ということだと思います。」博士は語った。
睡眠時、そして覚醒時、この二つの間にある壁を理解する為に、研究チームは覚醒時、そして催眠段階において、テトリスのイメージを見ること、そしてテトリスについて考えること、その二つがどのように起こるか違いを比較した。すると奇妙なことに、落下する物体のイメージとは関係がなく、テトリスについて考えることは覚醒時に頻繁であるのに対し、落下する物体のイメージを見ることは睡眠中により顕著であるという報告がなされたのである。
「今回の実験で最も面白い結果は、それぞれ違う被験者から非常に似通った結果報告が寄せられたことです。」博士によれば、それはすなわち、テトリスの夢を見た被験者の全員が落下する幾何学物体 - それは時に回転し、隙間へとはめ込まれるイメージ - を見たのに対し、誰一人として物体それ自体以外のもの - スコア表やキーボードなど - を夢に見なかったというのだ。
「我々がこの実験で本当に探っているものは、長年のテーマである心と身体、すなわち、心と脳の繋がりです。我々は、自分の心は自分のものであると信じています。しかし、実際のところ、脳はそれ自体でルールを作っているわけです。我々は既に脳が皮質の記憶から情報を取捨し、我々の意識へと運んでくるというそのプロセスを知っています。そして我々が探っているのは睡眠中と覚醒時、そのサイクルの中でいかにしてそのプロセスが行われているかということなんです。」
このゲームはまだ当分終わる事はないようである。
http://x51.org/x/04/04/2606.php#more
森氏:テトリスは殺人教育ソフト
http://allabout.co.jp/game/gamenews/closeup/CU20040117A/
子どもの眠りが危ない!
http://allabout.co.jp/health/sleep/closeup/CU20040206/index3.htm
でじ端会議スペシャル
http://www.zakzak.co.jp/gamezak/dejibata/gamenoumenu.html