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http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/wadai/news/20040623k0000m070156000c.html
日本は国際的な人身売買への対応が不十分、と米国務省の04年版「人身売買報告書」でまたしても酷評された。しかも、今年はあと1段階下落すれば制裁対象となる「監視リスト」に挙げられ、主要8カ国(G8)で最低レベルと決め付けられた。不名誉なことではある。
報告書は、米国の人身売買犠牲者保護法に基づいて01年から公表されている。日本は過去3回も「基準を満たさないが努力中」という第2類と位置づけられたが、今年は第2類が上下に区分され、同じ第2類でもロシア、フィリピンと同じ「下」の監視リストに入れられた。他のG8諸国など25カ国・地域は「基準を満たす」第1類、北朝鮮、キューバなど10カ国が「基準を満たさず努力も不十分」な第3類。近隣では中国が第2類の上、韓国、台湾は第1類だ。
報告書に対しては判定基準が明確でなく、“政治的判断”が加味されているのではないか、との疑問もある。内政干渉にも似た一方的なランク付けに抵抗がないわけでもない。
しかし、相対的なクラス分けはともかく、外国人女性らの被害が大きく、組織的犯罪集団であるヤクザが関与している、との指摘には耳を傾けざるを得ない。実際に現在二十数万人いる国内の不法滞在外国人には、アジアや中南米、東欧諸国から来日して風俗営業に従事している女性が多いからだ。
また、渡航に際して日本の暴力団と通じた現地の犯罪集団が関与して前借金を負わせたり、来日後はパスポートを取り上げて行動の自由を奪い、売春行為を強いているケースが珍しくないことも摘発例で明らかだ。にもかかわらず、入管当局や警察当局が熱心に取り締まってきたとも言いがたい。
警察庁によれば、風俗営業関連の人身取引事件の検挙件数は00年から昨年までの4年間で81件にすぎない。地方都市にまで外国人女性が働く風俗営業店が林立している現状に照らし、摘発が氷山の一角であることは言うまでもない。
報告書の公表を受けて、政府が対策の強化を表明したのは当然だ。来日外国人の増加に摘発が追いつかない実情を踏まえれば、警察、入管当局による不法滞在外国人の取り締まりは人身売買が疑われる事案を優先して展開してしかるべきだろう。警察の暴力団対策にも工夫を凝らし、不法な外国人労働者のあっせん行為を一掃するためさらなる努力が必要だ。
現行法に人身売買を直接禁止する規定がないことも問題だ。法治国家としての国際的な責任を果たすためにも法整備を進め、人身売買の撲滅を期さねばならない。今後、移植を目的とする臓器の密売などの増加も予測される折、人権侵害行為は断固として処断しなければならない。
人身売買行為が横行する背景には、性道徳の退廃や売買春行為に対する伝統的な寛容さが影響している面も否めない。この際、市民としてもモラルを問い直し、違法な風俗営業を追放する機運を醸成していきたい。
毎日新聞 2004年6月23日 0時26分