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(回答先: 正統の哲学者と狂信の哲学者 正統:アレント、ポパー 狂信:デカルト、マルクス、サルトル (筑波大学教授 中川 八洋 ) 投稿者 乃依 日時 2004 年 6 月 10 日 01:33:13)
はじめまして。一連の流れを拝見してまいりましたが、どうやら議論が浅薄になりすぎているように思われます。人の著作を紹介するときには細心の注意をしなくてはならず、それを批判するときには更なる慎重さが要求される。そうした心構えがなければ、よしんばその非難がある程度的を得ていようとも、低俗な誹謗中傷の類に堕するほかない。
中川八洋氏の『正統の哲学、異端の思想』の意図のひとつはフランス革命批判である。副題の「人権』、「平等』、「民主』の禍毒は、そうしたスローガンを掲げらながら、結果としては史上稀にみる専制に堕したフランス革命の罪悪を非難したものにほかならず、翻って革命の思想を用意した「過激民主主義者」であるルソーにつながる思想の系譜を概括したのが本書である。しかして、彼が正統の哲学と呼ぶものの源泉は、「高貴ある自由」をその伝統のうちに見出したイギリスの成熟した政治文化である。フランス革命の是非を問わずして本書を批判することはできまい。
さらに言えば、「法の支配」とは何か? 「法のものと平等」とは何か? バークのいう「時効の国柄」とは何か? ハイエクのいう「自生的秩序」とは何か? トクヴィルのいう「多数者の専制」とは何か? オルテガのいう「大衆」とは何か? アレントの説くアメリカ独立革命とフランス革命との根本的相違とは何か? ベルジャーエフの批判する「進歩主義」とは何か?
これらの各事項を検討せずに本書を批判するのは、やや礼を失するものにあらずや!
以上、無礼を承知の上で言上仕りました。