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「財政危機打破のため、原子力発電所を東京に誘致する」。天馬都知事(役所広司)は緊急会議を招集して、都庁幹部に爆弾発言を行った。国からの補助金や優遇措置、用地買収費用や送電コスト削減による経済効果、効率良い熱利用と理想論を説いて説得を図る。しかし慎重派の津田副知事(段田安則)が呼んだ反対派の榎本教授(綾田俊樹)は、地震対策や使用済み核燃料処理など、原発を巡る安全宣伝のウソを次々と暴く。一方、爆弾マニアの中学生が、プルトニウムを極秘輸送中のトレーラーを乗っ取った……。反原発をテーマにすえた骨太の娯楽作。都庁会議室で戦わされる議論はスリリングで見応え十分。電力会社や政府の言い分をデータを挙げて論破していく描写に、次第に背筋が寒くなる。政治ネタを極端に嫌う昨今の日本映画界で、しかも原発という扱いにくい素材と真っ向勝負した山川元監督に拍手を送りたい。出来の決して悪くないこの作品が、ほとんど宣伝もされず、ごく小規模公開しかされない現況は情けない。1時間50分。渋谷シネマ・ソサエティなどで公開中。(勝田友巳)
(毎日新聞2004年3月19日東京夕刊から)