現在地 HOME > 掲示板 > Ψ空耳の丘Ψ34 > 621.html ★阿修羅♪ |
|
Tweet |
H16/03/25
今年一月、自衛隊がクウェート国境をわたってイラク入りし、それと同時に報道規制が始まった。一月九日、石破防衛庁長官は報道各社に報道の自粛、イラク現地取材の抑制を申し入れ、その数日後、防衛記者会見の廃止が一方的に通告された。ロサンゼルスタイムス紙によれば、日本人ジャーナリストは自衛隊員の食事といったたわいない質問しかできないというのだ。
国民の多くが自衛隊の派兵に反対であるということを考えても、情報公開、さらには言論の自由に基づく真実の報道をさえぎることは昭和十二年から敗戦まで続いた戦時報道をほうふつさせる。アメリカ軍の占領下にある「戦闘地域」に自衛隊が入ったことで形骸(がい)化された憲法第九条はここでも完全に無視されたかたちだ。
方向転換の一歩
政府はイラク派遣目的を人道復興支援活動としているが、その一方で防衛庁は“小銃やライフルなどで武装したアメリカなどの兵士を空自衛隊機で運ぶことは法的に問題ない”とし、さらに陸上自衛隊の装備には装輪装甲車や対戦車砲が含まれている。つまり政府が報道規制をしいて日本国民に隠したいのは、イラクでの自衛隊の活動における危険性から自衛隊に犠牲者がでることではなく、日本がイラクにおいて「参戦行為」にあたる活動を行うことなのではないかと思う。過去にはなかった武器の携帯という事実と、現在のイラクの危険な状況をあわせて考えればむしろそうなることは間違いない。
一九四六年、日本国憲法に第九条が付加されたのは日本が再び世界の平和をかき乱さないようにするためだった。島国日本は海の向こうの広大な土地や資源を必要とし、それが日本を戦争へ導いた。アメリカに押し付けられた戦後憲法が強い歯止めになっていたことは、過去六十年近く日本が戦場に足を踏み入れなかったことが証明している。今回のイラク派兵は一九四五年以来初めての軍事行動であり、平和主義を貫いてきた日本の方向転換を示す一歩でもある。
国際紛争の武力放棄
また、イラク派兵はアメリカ追随の公式発表でもある。島国日本は(第二次大戦でアメリカにやられたように)禁輸や封鎖を受けやすく、孤立は破滅を意味する。そこで同盟国が必要だが日本はアメリカ以外に同盟国がない。しかし世界を半周した場所にある国を同盟国と呼び、保護を頼ることが賢明な選択だとは思えない。むしろ同盟国という名のもとで米軍基地を置き、アメリカの軍事戦略に加担しているからこそ、中国や北朝鮮が日本を攻撃することが考えられるのである。
北朝鮮や中国と日本は、過去千二百年もの間にわたり一部の期間をのぞきおどろくほど緊密で平和的な関係を保ってきた。なぜ日本がそれらの国と再び友好関係を築かないのか、私には不思議でならなかったが、現在の与党自民党が二十世紀前半にアジアを侵略した支配者の後継者であることを考えれば、侵略を謝罪して同盟体制をとるより遠くのアメリカを選ぶことは不自然ではない。そしてアジアの隣国にとっては、平気で自国の憲法を軽んじる行動をとる日本がますます信頼できない相手となるのだ。
私は憲法第九条の前半部、すなわち「国権の発動たる戦争と武力による威嚇または武力の行為は国際紛争を解決する手段としては永久にこれを放棄する」という部分は絶対に維持する必要があると信じる。それと同時に日本は、国境を守るために必要な武力を持ち、行使することを宣言するべきだ。イラク派兵のように、他の国の紛争や国益のために武力を行使するのではない。国益とはきわめてあいまいな言葉だ。日本はそのようなあいまいな言葉を使うべきではない。日本国内で日本国民を守る防衛手段としては武力行使もありうるが、国外においては、日本国民を保護することも武力行使も決して行わないと憲法に明記するべきだ。そしてそれを行動で示す。つまりアメリカのために軍艦を出したり自衛隊を提供することをやめるのだ。
隣国と協調関係を
言い換えると日本はアメリカの性悪説をまねるのではなく、性善説にもとづき、相互に協調的な関係を隣国と築く道を模索すべきだ。アメリカのやり方は、相手を軍事力で抑えることだが、日本はその競争ではどう考えても勝つことは不可能だ。アメリカ、中国、ロシア、インド等すべての大国は核兵器を持ち、広大な土地がある。島国日本がいくらミサイルや核兵器を配備したところで勝ち目はない。これを覚えておくべきだ。
ファシストの自民党政治家たちは憲法第九条を今すぐ取り除きたいと思っているようである。そうすれば日本は軍事国家となって武器輸出国になることができる。しかしこれこそ、一九三〇年代に隣国に対して日本がとった行動である。日本を焦土と化したやり方を再び繰り返す愚だけはおかすべきではない。(アシスト代表取締役)
http://www.nnn.co.jp/essay/tisin/tisin0403.html#25