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(回答先: 予言どおり同時多発テロ季節の到来 No.27【2004年3月19日】(アルカイダの存在自体が、ファンタジー(創り物)) 投稿者 乃依 日時 2004 年 3 月 19 日 13:33:51)
イラク基本法の中に仕込まれたアメリカの戦略
イラク基本法が8日、曲折を経て制定された。しかし、6月末の主権返還後の受け皿である暫定政権をどうつくるかという肝心な点は先送りされ、大統領評議会の体制やクルド陣営優遇政策と受け止められる「拒否権条項」など、多数派のイスラム教シーア派には不満がくすぶる流れである。基本法は大統領評議会について、大統領1人、副大統領2人で構成するとしている。シーア派議員は、同評議会は5人で構成すべきであると主張していた。同派は人口の60%を占め、5人制となれば人口比に応じてシーア派から3人を送り込めると計算していたようである。
ところが3人制ではシーア派とスンニ派、クルド人にそれぞれ割り振られることになる。さらに大統領評議会の決定は全会一致が必要とされ、「数の論理」でシーア派が主張を通せない仕組みとなった。また恒久憲法草案は2005年10月15日までに実施される予定の国民投票で承認される、と定められた。だが、全18州のうち3つの州で反対票が3分の2を占めれば無効になるという条項が基本法にあるのだ。
湾岸戦争後、スレイマニア、アルビド、ドホークの北部3州はクルド人が旧フセイン政権の支配を離れ、実質的な自治区を形成してきた。この条項は明らかに少数のクルド人優遇措置となっている。いずれイラク国民の中に、統治評議会を通じてアメリカにいいように騙されたというような認識が芽生えれば、一気にその権威が崩壊してしまう危うさをはらんでいる。(参考記事 asahi.com3/10 )
つまりこの基本法には、アメリカによって意図的に混乱が生じるような「仕組み」が組み込まれている。その重要な基本法を作成したのは、アメリカが自ら任命した25名からなる統治評議会なのだから、アメリカの意のままの基本法がつくれるわけなのだ。だから、表向きイラク人自身による新政権が発足しても、現実としてテロや内乱が続けば、秩序を維持する軍隊が必ず必要になる。そういうことであれば、イラクに駐留しているアメリカ軍が、そのまま残留する「大儀」が生まれることになる。
イラクの政情が安定し、本当に新しいイラクの民主政権が生まれてしまったら、アメリカ軍がイラク国内に滞在する根拠がなくなってしまうことになる。もしそんなことになれば、イラクの石油も手に入らなくなるし、国連を振り切ってまではじめたイラク侵略の意味がまったく崩壊してしまうことになる。そればかりか、今後サウジアラビアやシリアをも同じように民主化して、OPECを支配下におく計画までもが水の泡に帰してしまうことになる。
もちろんそうならないために、評議会を完璧に操って、今回の基本の中に「混乱」の種としての“時限爆弾”をうまく仕込んだようである。こう言ったところが、やはりアメリカのアメリカたる所以であり、日本人の感性とは“異質”のものである。
9.11以来、アメリカは「テロとの戦争」を世界に向かって宣言して、自分勝手に世界のすべての国々を軍事的に管理する“帝国”になってしまった。ところが、OPECはイスラム国家の集団であるから、アメリカという国に今までのようにお金を預けておくと、いざという時すべてアメリカに押さえられてしまうことになる。そういった流れを恐れて、保険的な意味も含めてアラブのお金がユーロにシフトし始めたのだ。もちろんアメリカが国連を無視してまで強引にイラク侵略を決行した最大の理由も、サダム・フセインが石油決済をユーロで行ない始めたところに原因があるのだ。
アメリカのドル基軸通貨体制を守るために、サダム・フセインを引き摺り下ろしたのであり、そういう意味でアラブのお金がこのままユーロにシフトしたままに放置しておくことは、ネオコン主導のアメリカ帝国には何としても許されないことなのである。アラブ諸国のユーロにシフトしたお金を、もう一度世界通貨システムの唯一の権威である“ドル基軸通貨体制”に引き戻すために、アラブの石油産出国であるイラクはもちろんのこと、サウジやイランやシリア等で「テロによる混乱」がひっきりなしに勃発してもらわなければ困るのだ。
なんども繰り返すが、「テロによる混乱」が起きれば起きるほど、テロリストの温床といわれているサウジアラビアの立場が弱くなり、もしかしたらアメリカ軍から「ならず者国家」に指定されて、いきなり“報復”されかねない立場に追い込まれてしまう。サウジアラビアにとってそれだけは避けたい。となると、政情不安という“混乱”が中東全体に飛び火することを避けるために、OPECは、仕方なくユーロから再びドルにシフトせざるをえないことになる。つまり、そう言うことなのだ。
世界最強のカウボーイに「平和」は似合わない?
最近の世界の国々に対するアメリカの姿勢は、傲慢そのものであり、エゴイズムが極限に膨らんだ単独行動主義(ユニラテラリズム)そのものである。世界のあらゆる場所で“混乱”の火種を自ら仕組んで、その混乱を沈めることができるのは「最強国アメリカ」しかいない、と吹聴しまわっているような具合である。まさに「パックス・アメリカーナ」そのものであり、かつての包容力や洗練を、今のアメリカは惜しげもなく切り捨ててしまっている。
そんなアメリカの変身に、世界も少しずつ気づき始めたようである。アメリカの権威ある世論調査機構「PEW」の2004年3月17日の発表によると、アメリカによるイラク戦争発動後のこの1年、イスラム諸国とヨーロッパ諸国は、アメリカの反テロにおける動機に疑問を抱いている。『PEW』が世論調査を行なった結果、モロッコ、ヨルダン、パキスタンとトルコ4国の多くの国民は、「アメリカのいわゆる反テロ戦争の目的は、世界を支配し、中東地区の石油を制御することにある」と認めています。
また、フランスとドイツの多くの国民、及びイギリスとロシアの半分以上の国民も、「アメリカのテロリズム撲滅の動機は、怪しいところがある」としています。(参考記事チャイナ・ラジオ・インターナショナル2004 / 03 / 18)
最後に、ネオコンの旗手ロバート・ケーガンの著書「力と楽園について( OF PARADISE AND POWER )」の中から一部引用することで、このコラムを締めくくりたい。
「ソ連と国際共産主義の脅威があったためにアメリカは自制し、洗練された自己利益の一環として外交政策を比較的寛大なものにするよう、とくにヨーロッパに対する外交政策を寛大なものにするよう心がけてきた。冷戦が終わると、こうした自制をアメリカがする必要がなくなった。アメリカが冷戦期と同じように外交政策で気遣いを尊重するには、以前より、よほど理想主義者にならなければならないことになる」