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アラム(M. Junaid Alam)によるノーム・チョムスキーへのインタビュー
『レフト・フック』2004年2月4日
(翻訳:寺島隆吉+岩間龍男+寺島美紀子、公開2004年3月6日)
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ノーム・チョムスキーはマサチューセッツ工科大学の言語学の教授で、多くのベストセラーの政治に関する著作があり、『覇権か生存か』が一番最近の著作です。彼はここ数十年の間、米国の外交政策の痛烈な批判でよく知られています。最近、新左翼の若者向けの雑誌『レフト・フック』の共同編集者であるM・ジュナイド・アラムが、チョムスキー教授にインタビューをすることができました。インタビューの内容は、ブッシュ政権の性質、来るべき選挙における米国の左翼の戦術、継続されているイラク占領の国内外の結果、米国・イスラエルの関係の基盤についてです。
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ブッシュ政権の性質について
アラム:
チョムスキー教授、インタビューに応じていただけたことにお礼を申し上げます。
9.11の余波の中でブッシュ政権は、強引な軍国主義の外交政策を追求してきました。それは宗教的レトリックと野心的帝国的宣言を特徴としています。
この政権の社会的イデオロギー的な基礎と政策が、キリスト教右派やネオコン(新保守主義)や企業エリートのあまり良心的でない部分に根ざしている点が今までの政権と違う特色なのでしょうか。
それとも、世界で唯一の覇権国としての米国の出現によって力を得た米国のエリートの中で広まっているコンセンサスをただ愚鈍に反映しているにすぎないのでしょうか。
チョムスキー:
私たちには内部文書がありませんので、計画の詳細やその動機について私たちが言うことは推論とならざるを得ません。
しかし私はキリスト教右派の影響はあまり大きなものではないと考えています。
ブッシュが自分の信仰を新たにした経験について、そして世界から悪をどのように追い出すのかを大言壮語する時に、本心を語っていることはあり得ることです。
しかし、彼は広報担当マネージャーによって訓練された役割を果たしているだけであり、宗教的狂信的行為は主として実質的な選挙区を(ほえる犬にほんの少し肉を投げ入れ)黙らせるといった計画の一部だと私は思っています。
米国は世界で最も極端な宗教的原理主義社会のひとつですが、チェイニー、ラムズフェルド、ウオルフォイツ、パウエルなどの現実の政策立案者たちがこんなことをまじめにとらえているとは考えにくいのです。
「ネオコン」という言葉に関しては、どういう意味だと考えられているのか明らかではありませんが、事実上、それは急進的な国家統制主義的反動主義者のプログラムです。彼らは、もし必要ならば米国は力づくでも世界を支配すべきだと考えています。それは、彼らが代表する狭い一部の中央集権的私的な権力と富の利益のためです。そして彼らが作り上る強力な国家は、自分たちのためであり、大衆のためではない、と彼らは考えています。したがって大衆は脅されて服従させられていくでしょう。同時に進歩的法律や過去1世紀の大衆闘争で得られた成果は、それを支えてきた民主的文化とともに破壊されていくのです。
エリートたちの間にも、ネオコンの厚かましい傲慢さ、驚くべき無能さ、また米国へ深刻な脅威を増加させようとしていることについて、更には短期的利得のために次世代に巨額な負債を背負わせようとしていることについて、かなりの懸念があります。
例えばネオコンが起こしたイラク戦争は、外交政策のエリートの主要部分から強く反対されました。そしておそらくさらに顕著なことに、企業界からも反対されました。
しかし、その同じ部分がブッシュ一派を強く支持し続けるでしょう。それは巨大な贈り物を得るために国家権力を使うことです。彼らはその根底に潜む前提を基本的に共有しているのです。たとえ行為者の実践と分別の無さ、その生み出す危険を、彼らが懸念しているとしても、です。
来るべき選挙における米国左翼の戦術について
アラム:
『ニューヨークタイムズ』のコラムニストのポール・クルーグマンやZネットのマイケル・アルバートを含む多くの左翼や自由主義者は、ブッシュがこれまでの政権から根本的に離脱していると考えています。ニューディール政策以来の社会的な闘いを経て勝ち取られた進歩的な成果の大部分を後退させようという野望があると噂されています。社会保障、市民的自由、福祉などの大部分を後退させようというのです。
左翼の側の大多数の意見は、どんな人物でもブッシュよりはましであり、したがって民主党のもとに結集することが必要だというものです。
しかし、これに同意しない人たちもいます。
『インターナショナル・ソウシャリスト・レビュー』のランス・セルファは最近次のように主張しました。いわゆるネオコン派は1970年代初期の民主党の右派にそのルーツを持っており、民主党の候補者たちはレトリックが違っているだけで、その目標は違わない。その証拠として、イランや北朝鮮にたいする先制攻撃のための軍事力使用禁止をディーンが拒否していること、そして「スター・ウオーズ」計画を承認していることを引用しています。
その上、最近のアボガド宣言で、緑の党のピーター・カメジョは、民主党は「敗北主義」党であり、「現にあるもの以外、可能なことは何もない」というメッセージを発している、と書いていました。
このような主張や来るべき大統領選挙をめぐる状況についてのあなた自身のお考えをお聞かせ下さい。
チョムスキー:
その主張は矛盾したものではありません。いずれも基本的には正しいというのが私の意見です。政治的なスペクトル(選択範囲)は限られたものです。
選挙戦は本質的には買収されており、民主的文化は著しく侵食されています。さらに人々は概してそれに気づいてはいますが、多くの人々はどうしようもないと感じています。
それはまた、国民の多く、とりわけ男性が恐怖心に脅える国家です。それは世論調査が示しているとおりです。そのことは長い間真実でありました。
そうした恐怖心は無節操な為政者によって利用されているのです。為政者によって顔面を蹴飛ばされている人々の注意を他にそらすためにね。
ですから、恐怖心を利用して、次世代の人々に対して彼らが行いつつあることから注意をそらそうとするのは、当然のことです。
にもかかわらず、[民主党と共和党の]違いはさほど大きくはありませんが、現に違いはあります。
現在、政権の座にある人々がもしもう一度権力を握るならば、おそらく深刻で取り返しのつかない損害をもたらすかもしれません。たいへんに支持基盤の脆い支配力ですが、とても醜く危険な目的を達成するために彼らはそれを使うでしょう。
超大国では小さな違いが、国内や海外の犠牲者に本質的な影響へと変化します。これらの事実を見落とすことは、現に苦しみ、将来さらに悪いことに直面するかもしれない人々にとってよいことではありません。
ブッシュ一派を締め出すことは、鼻をつまみ悪臭をがまんして民主党に投票することを意味しますが、それで話が終わるわけではありません。
民主主義社会の基本的な文化と制度は構築されねばなりませんし、部分的には再構築されねばなりません。そして極端に危険な一派を大統領選で敗北させることは、そのほんの小さなひとつの構成要素です。
継続されているイラク占領の国内外の結果
アラム:
イラクに米国占領軍が居座り続け、敵意を持つ一般の人々が断固とした武力抵抗をしていることを考えると、米国内で人種差別や不寛容や国家的熱狂的差別主義が特にイスラム教徒や反戦勢力に向けられる、と思われますが、どうあなたはお考えになりますか。
チョムスキー:
イラク状況の判断をどう判断するかは脇に置いておくとしても、もし軍事占領の(たいへん驚くべき)失敗が続くならば、あなたが述べられた反応が起きるかもしれません。しかし、もっと健全な別の反応も出てくるでしょうし、そのことが多くの機会を提供するでしょう。
それは戦争時には一般に言えることです。第2次世界大戦中の日本人に対する人種差別は信じられないものでした。それは私がまだ10代の頃のことですが、よく覚えています。
町も愉快ではなかったことも、またよく覚えています。私の町では人種暴動のために若者たちは夜間外出禁止令の下にありました。
にもかかわらず、戦争は社会の民主的文化に強い起動力を与え、ある意味では、文化の領域を越えて、国内の重要な改善につながりました。
ベトナム戦争でもそのことは同じでした。多くの人々はリンドン・ジョンソンの次のような認識を共有していました。すなわち、もし我々がベトナムで「黄色い小人」と戦わなければ、彼らは「我々のところに押し寄せて来て、我々が持っている物すべてを奪い取ってしまうだろう」(これはだいたいの引用です)という認識です。
しかしそれはまた大衆運動に大きな刺激を与え、我が国をはるかに文明化した国にし、それは今日も生き続けています。
アラム:
イラクに米軍が居座り続け、その結果としてイラク人の反発・抵抗があることをもう一度考えてみると、中東地域への影響はどのようなものになるとお考えですか。
イランとシリアは抵抗勢力を援助するためにイラク問題に影響を与えようとするのか、あるいは自国の近くに米軍がいるので控え目な態度を取るのでしょうか。
長引く占領は中東地域の普通のアラブ人たちの間に米国に対するより大きな怒りを生み出すのでしょうか。その怒りは、ワシントンによって支援された自国の政府に挑みかかるほど大きなものになるでしょうか。
チョムスキー:
イランやシリア、あるいはさらに他のどのような国であっても、もしイラクの抵抗勢力を支持するならば、私は大変驚くことになるでしょう。とくに大部分の人はその勢力から距離を置いており、おそらくかなり敵意と恐怖心を持って彼らのことを見ているからです。
アラブ世界にどんな影響がでるかに関しては、予測は困難です。「中東地域の普通のアラブ人」自身を含め誰にもそのことは分かりません。
自分たちの残忍な政府と米国に対して多くの怒りがありますが、多くの違った形を取るでしょう。
予測がほとんど不可能だということを例証するには、1987年の12月に突然起きたインティファーダを考えてみるといいでしょう。
イスラエルは至る所に協力者をもち、非常に強力な軍隊と諜報機関をもって、その地域をたいへんに強い支配と監視の下に置いていました。
人々は長く厳しい占領の期間を通じて静まり返っていました。人々はテロ、拷問、毎日の屈辱、土地や資源の強奪に、ほとんど抵抗せず苦しんでいました。
彼らは耐えることによって抵抗をする人々「サミディン」(samidin)と言われていました。
しかし突然すべてが変わりました。イスラエルの軍民当局は何が起きているのかについての手掛かりを得られず、PLO(パレスチナ解放機構)も同様に驚きを隠せませんでした。
私はたまたまその一部を直接見ることができましたが、イスラエルの新聞やその他の情報源をしっかり読めばそのことは明らかでした。インティファーダのようなことは稀(異常)なことではありません。
米国・イスラエルの関係の基盤
アラム:
しばしば、いわゆる「対テロ戦争」は、米国の支持者によれば、文明化戦争として描かれています。未開の愚かなイスラム教の野蛮人に対して、進歩的で高潔な国家を対抗させるというものです。
この描写が興味深いのは、いつも米国との決定的な同盟国とうまく共鳴しているからです。すなわちイスラエルのことです。この努力におけるイスラエルの役割は論争の的になっていますが、多くの人にとってはよく分からないものです。
『覇権か生存か』の中で、「中東地域でイスラエル以外に、米軍基地として役立ち、米国の要求に従う国は事実上ない」とあなたは主張されています。
しかし、特にアラブ世界の他の人々は、イスラエルが自分の要求を押しつけるために、米国の親イスラエル・ロビー(圧力団体)の財政的影響力を使っていると見ています。
何人かのイスラエルの反体制派の人たちは、財政的なことでなくイデオロギー的な影響について述べています。ウイリアム・クリストル、チャールズ・クラウサマー、トーマス・フリードマンとのインタビューの要約の前置きをしながら、イスラエルの日刊紙「ハーレッツ」のアリ・シェイビットは次のように書いています。「[イラク戦争への]熱烈な信頼は、わずか25人から30人のネオコンの知識人によって広められた。彼らのほとんどはユダヤ人であり知識人であった。」
シェイビットによれば、ネオコンではないフリードマンでさえ、イラク戦争を「世界的な規模でのジェニンの再現だ」として正当化している。
こう考えることは可能でしょうか、イスラエルが米国の支援に強く依存しているというまさにその理由のために、親イスラエル知識人がアラブ世界に対する米国の軍事行動に賛成だと。
あるいは、ネオコン主義やクリストルやクラウサマーのような知識人の役割は誇張されすぎているのであり、それはもっと大きな論点のサブテキストに過ぎないということなのでしょうか。
チョムスキー:
イスラエル・ロビー(圧力団体)の影響を評価することは不可能ですが、私の意見では、それは独立した決定的な要因というよりむしろ揺れの大きな要因です。
米国世論を揺り動かしているのは、ネオコンでもなければユダヤ人でもないことを心に留めておくことは重要です。例えばフリードマンは米国の体制の中では自由主義者です。
労働組合の指導者たちは、しばしばイスラエルの犯罪の強い支持者ですが、自由主義者に近い存在であってネオコンではないのです。
自称「民主社会主義者」は、謙遜して自らを「まともな左翼」と呼んでいますが、1967年のイスラエルの大勝利以来、イスラエル政府の行動を支持するという異常な醜い記録を作ってきました。イスラエルの大勝利はさまざまな理由から左派自由主義集団の中に多くの友人を獲得したのです。
キリスト教右派は巨大な投票集団で、ユダヤ人ではないのは明確で、実際には恐ろしいほど反ユダヤ主義ですが、彼らがイスラエル政府とその支持者たちに歓迎されたのは、彼らがイスラエルの残虐行為や暴力や侵略を支持しているからなのです。ただし、この支持は彼ら独自の理由からですが。
このキリスト教右派は多様で大きな団体であり、偶然にも、知的エリートの中核部分(したがってそれはメディア・エリートということですが)をも構成しているので、もちろんイデオロギー上の影響力があります。
しかしこれらのグループは、真の権力すなわち「国家=企業」権力だと彼らが知るものから距離を置くことはめったにありません。もし米国政府の政策が変わるなら、彼らもそれに沿って変わり、権力者のかかとに噛みつく者もいるでしょうが、敢然と立ち向かう者はいないでしょう。
それはこれまでも完全に首尾一貫したもので、将来的にも同じような行動が予測できると思います。特権や報酬は権力との対決から得られることはなく、権力に奉仕することによって得られるからです。
何人かの人たちは、どうでもいい所で不平を言いますが、嘘をベラベラと喋り、正当な学説から数ミリでも逸れた人たちを中傷するのです。これは歴史的に一貫した「尊敬すべき」知識人の本源的機能です。
特に1967年の勝利以来、国家権力はイスラエルをたいへん重要な「戦略的資産」と見なし、現在のところイスラエルは事実上、海外の軍事基地であり軍事化されたハイテクのセンターなっています。そして、米国とこの地域の最大の米同盟国、特にトルコと密接つながっているのです。
その結果、イデオロギーが影響力を発揮し、真の権力を補完するすることに道を開くのです。それは短い言葉で述べることのできない複雑なものですが、私の意見では、本質的にはそのようなものです。
それは、国家権力と企業権力が親密な関係にある国家資本主義社会では、国内ロビー(圧力団体)一般に言えることです。たいへん従順な知識階級と狭い政治的スペクトル(領域)が、主として権力と特権階級の利益を反映しているのです。
アラム:
イスラエルの言動(レトリックと行動)は、[文明化とは]逆方向に入り込んでいるようにみえます。
その行動は明らかに更なる残忍性とパレスチナ人破壊の傾向を示しています。それは違法な入植地の継続的建設、パレスチナの土地を更に併合する分離壁建設、週単位で起きている罪のない人々の死を引き起こす軍事的襲撃によって証明されるとおりです。
それにもかかわらず、体制派の中でも、異議を唱えて任務拒否している空軍パイロットや特殊部隊員から、国家治安諜報機関(シンベト)前職員とイュード・オルマートのようなリクルード党高官に至るまで、占領に公然と疑問を投げかけ一方的撤退を求めているひとたちがいます。これはイスラエルの地でアラブ人がユダヤ人より数を上回るだろうという切迫した人口統計的危機に直面して、イスラエルにおける「ユダヤ人の民主的性格」を守るためのものでしょう。
ノーマン・フィンケルシュタインが『イメージと現実』の中で書いているように、シオニズムが「パレスチナでユダヤ国家を作る先取権に基づいており、その先取権は[旧約聖書によって]伝えられるところによると先住民パレスチナ人の願いに優先する権利である」とするならば、ガザと西岸からの撤退を主張する現実主義者は、いまなおと「先住パレスチナ人など、どうでもよいこと」いうふりをしたがっている人々に勝てると思いますか。イスラエル初代大統領カイム・ワイズマンも、かつて同じこと「先住パレスチナ人など、どうでもよいこと」と言っていますが。
チョムスキー:
もしも「『パートナー』という名のボス」(イスラエルの機敏な時事解説者が米国のことをこう呼んでいます)が、万一その方向を変え、「米国は30年にわたり圧倒的国際的合意を妨害し続けてきたが、いま米国政府はその合意に従う時がやって来た」とイスラエルに伝えるならば、それは起こり得ることだと思います。「人口統計的危機」はタカ派に同じ方向を強制しています。
「兵役拒否者」とイスラエル連帯グループは、勇敢で立派な人々であり、彼らこそ私たちの支持に値する人々です。彼らはイスラエルでは少数派ですが、彼らの影響力の少なさは、彼らの責任ではなく私たちの過失です。イスラエルのどのようなグループも、ボス=米国社会から強力な支持がない限り、内部では大きな信頼性を得られないのです。
アラム:
チョムスキー教授、時間を割いてお答えいただき、ありがとうございました。
http://terasima.gooside.com/interview040204bush04iraq03israel06.htm