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群馬県高崎市の重度知的障害者施設「のぞみの園(その)」の入所者を段階的に地域へ移す厚生労働省の方針に対し、テレビ朝日系列の報道番組「ニュースステーション」が反対の立場に偏った報道をしたとして、地域で生活する障害者や親などから抗議や再検証を求める声が相次いでいる。
番組は先月24日、「揺れる“終(つい)の棲家(すみか)”……重度知的障害者の『地域移行』」とのタイトルで約13分間放送された。厚労省の検討委員会は昨年8月、08年3月までに入所者約500人の3〜4割を段階的に古里のグループホームなどに移行させる方針を打ち出したが、番組はグループホームなど地域で暮らすための「受け皿」の不足を指摘し、反対する保護者の声を紹介した。入所者がパンフレットを逆さに見るなど、障害の重さを印象づけるような場面も放映した。
検討委は02年8月から1年間議論を重ね、▽のぞみの園の入所者より支援が難しい障害者が地域へ移行している▽のぞみの園には毎年約30億円の上乗せ補助金がつけられ、職員の給与は民間施設に比べ高額だが、入所者サービスの水準は低い▽地域移行を進める際は不安を抱く本人や家族の心情に配慮し、グループホームなど地域生活の基盤整備に取り組む――などを指摘した。
番組は検討委のこれらの内容には触れず、座長の岡田喜篤・川崎医療福祉大学長が「思い切って冒険してみませんか」と発言した様子を再現。最後に、久米宏キャスターが「のぞみの園に対する税金の支出は無駄遣いと思えない」「今やるのはむちゃだと思います」とコメントした。
これに対し、知的障害者の親ら約30万人で作る社会福祉法人「全日本手をつなぐ育成会」は今月10日、「番組は地域移行が強引に実行される印象を与え、地域での当たり前の生活が否定的に描かれており、知的障害者への偏見を助長しかねない」とテレビ朝日に抗議し、再検証を要請した。
「障害のある人と援助者で作る日本グループホーム学会」など3団体も「もう一度問題を正しく伝えてほしい」と求める要望書などを提出。全国の48障害者団体で作る「DPI日本会議」も協議の場を設けるよう求めている。同学会の室津滋樹代表は「国が責任を持って受け皿を作らなければならないことは確かだが、受け皿がなければ障害者を入所施設に放っておいていいということにはならない」と話している。【須山勉】
◎ことば=のぞみの園(旧・国立コロニーのぞみの園)
全国の重度知的障害者が終生生活を送る施設として71年、群馬県高崎市に開設。国が管理する唯一の知的障害者入所施設だが、政府の行政改革の一環として昨年10月に独立行政法人化された。
◆意図的な構成
岡田学長の話 テレビ朝日からいっさい取材も連絡も受けていなかった。番組を見て、とてもむなしい思いがした。入所者がのぞみの園から一方的に出されるという趣旨の解説がされていたし、私の発言を部分的に切り取り、意図的な構成になっているように感じた。「重度知的障害を持つ人は一般社会から切り離し、別の社会で生活してもらう」という政策は今日の世界的な認識から見ても明らかな誤りだ。グループホームなど地域生活ができる資源の少なさは誰もが認めている。検討委は入所者を親元に戻そうとしたわけではなく、地域生活ができる条件を整備した上で移行させる方針だったことは、取材をすれば当然分かったはずだ。
◆真摯に受け止める
テレビ朝日広報部の話 障害者が地域で自立し、「当たり前の生活」をするノーマライゼーションの理念が世界の潮流であることは理解している。番組は地域移行を否定するものではなく、厚労省の計画が地域の受け入れ態勢が十分整っていない上での、期限を区切った拙速で機械的な措置だと批判したものだ。しかし放送後、知的障害者の福祉にかかわる各団体から「障害者を一生施設に入所させておくことが本人たちの幸福につながるという誤った視点で描かれている」などの指摘を受けた。そうした意図はないが、指摘された点は真摯(しんし)に受け止め、今後の取材に当たっては十分留意し、参考にしたい。
[毎日新聞3月13日] ( 2004-03-13-15:00 )
http://www.mainichi.co.jp/news/selection/20040313k0000e040053000c.html