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このところ国会の一院制への移行や議員定数削減の声が多く聞かれる。これには色々と疑問が湧くので並べて見る(両方とも議員定数の削減に繋がるので、以下「定数減」と言う言葉で言い表わす)。
国会はいつでも民意の反映の場でなければならない(これが国会の目的そのものだ)。民意を反映するのに、どれほどの議員が居れば適当なのか、この点から検討したのだろうか。たとえば、百万人分の民意を一議員が代弁するのと、一万人分を一議員が代弁するのでは、後者の方が民意は反映し易くなるのは確かだ。
定数減は小人数に権力が集中することを意味する(これは重大な意味を持つ)。極論かも知れないが、裏取引で言わば談合のようなものは遣り易くなるだろう。これを上手くやれば、行政府の隠れた独裁すら可能となるだろう。
又、定数減で特定の業界の利益を代表するような議員を排除出来るかと言えば、それは無理だ。そのような者の絶対数は減るとしても、その定員の中での案分比は変わらないだろう。一業界が丸抱えの議員を作れないとするなら、別の業界と結託して議員を作り出せば、権力に絡む比率は変わらないことになるからだ。
それから、日本の国会は立法の府と言いながら、行政府が提出して来る法案ばかり(ごく稀に議員提出の法案があるにはあるが)の審議に終始している。その法案は官僚が書いたものである。
となれば、議員の数が減れば議員提出の法案など望むべくもなくなるだろう(尤もアメリカ連邦議会の上院議員のように数十人の政策スタッフを公金で抱えるようにするなら話しは別だか)。その結果、官僚の重みが増すことは有っても、減じることはないだろう。
効率化を求めた結果、延べ審議時間を短くすると法案提出から議決までの期間が短くなる。ということは国民がその法案を理解する時間を削られという事になる。法案に反対したくても反対の意思表示をする時間さえなくなるかもしれない。
結局のところ議員定数減は、行政府の力が増すことを意味することになるだろう。民意は軽んじられ、ただ行政府が提出する法案を次々と消化する議会となるのではないだろうか。
定数削減はいく分かの経費節約にはなるだろ。その額がどれほどのものになるのかわからないが。昨年度の国会予算は約1345億円であるから国家予算の80兆円の約0.17%に過ぎない。国家公務員の人件費約12兆円の1.12%にあたる。単に経費削減から見るならば、国家公務員の人件費を1%削減した方が経費削減に繋がる。
想いつくままに上げてみたので、この外にも問題点はあるだろう。
最後に欧米各国の下院の人口百万人に対する議員定数を記しておく(1995年のデータ)。
英:11.24人、仏:9.92人、独:8.03人、伊:11.00人、カナダ:9.96人、米:1.65人、日本:3.98人。(米国は州政府が州兵を持つような国で全く政体が違うから、比較しても無駄だろうが)
もう一つ、日本の議員定数と人口を並べてみる。普通選挙法が出来た、1925年は人口12万に対して、衆議院議員一名だった(定数466)。ということは、人口百万人に対して、8.33人となる(全人口は約5600万)。1947年の戦後初の選挙では、衆議院定数は466名(戦前と同じ)。その時の人口が約7800万人、ということは人口16.73万に対して一名の議員ということだ。これは人口百万人に対して幾らになるかと言えば、5.97人となる。
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