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http://www5d.biglobe.ne.jp/~uedam/amerockhome.htm
２００３．１．２１ 「ロスチャイルドの世界制覇の野望」物語は、ＷＡＳＰの恐怖が生み出したのではないか
ロスチャイルド一族は、さしずめ天皇家に巻き付いて繁栄した藤原一族のようなものではないか、
と私は思います。彼らはピューリタンではないし、だとしたら、彼らに資本主義を推進する動機はあり
ません。では、ロスチャイルド一族による「世界征服の野望」というような陰謀説はどこから出てきた
のか。というと、私は、ＷＡＳＰがユダヤ人の超リッチ一族に恐怖を抱いた結果ではないか、と思いま
す。あるいは、１９世紀にヨーロッパ社会を金融支配したこの一族に恐れをなしたユダヤ人以外の人
々です。
だとすると、では、どうやって彼らは富を築いたかというと、もちろん商才はあったとして、彼らがそ
の商才を発揮できる土壌がヨーロッパに広がったのではないか、と思います。
マリンズ氏のロスチャイルド視点は、後日の、ロスチャイルドが富を形成してしまってからの時点で、
こうではなかったか、と円卓会議などの話を史実の中に投射したのではないか。
ナイアル・ファーガソン氏は、新たに発掘・公開された資料を元にして、史実を丹念に再構成してい
きます。で、『ジェントルマン資本主義』（原題は、「英国帝国主義」）（名古屋大学出版会）の言う「シ
ティー（ロンドン金融街）がイギリス帝国主義を作った」という結論はロスチャイルドの場合には当ては
まらず、彼らは、イギリス人の前ではジェントルマンとして振舞ったが、ひとたび自分たちの邸宅の中
に入ると、富を喜ぶ気持ちを持ちながらも、フランクフルト時代のユダヤ人街に住んでいた当時の生活
を営んだ、と指摘しています。私も、多分、そうだろうと思います。
フランス革命が起こり、その後のナポレオン戦争によってナポレオンのフランス軍がフランクフルトを
占領したとき、ユダヤ人がはじめてゲットーから解放されました。だから、「ロスチャイルドの野望」が
資本主義を作り、世界制覇が始まったというのは、おとぎ話のたぐいになります。
しかし、１９世紀の初頭に各国の国債を国際的に取り引きする手法を開発したのがロスチャイルド一
族のようです。で、当時の世界の国債の３分の１を所有し、不動産の３分の１、貴金属の３分の１を所
有し、これを使って株式市場を操作した、というのですから、これはもう「ロスチャイルドの野望」物語が
できても、全然不思議ではありません。
しかし、それでも彼らは藤原氏でしょう。「アングロ・アメリカン経済帝国主義」が先に資本主義・産業
革命を展開しなければ、ロスチャイルド一族の才能が花開くことはなかったでしょう。で、いったん花開
いたあとは、アングロ・アメリカンとロスチャイルドは、「もちつもたれつ」の関係にはいったのではな
いか、と思います。
というのが、今の時点の私の考えです。
題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。