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★ 排外主義で言うわけではないが、将来はともかく、今は密入国者があとを絶たない現実を考えて主張すべきである。
日中は平均的な所得の格差がありすぎ、日本は中国人のある層にとってお金を稼ぐ場としての吸引力をもっているのが現状である。
団体観光客であっても、ビザの発給は慎重に増やしていくべきだ。
中国人の日本観光は、ことさら先走りしなくとも、年毎に増大し、5年後10年後にはとてつもない数になるはず。その時に起きると思われる日本人と中国人の間の軋轢のほうが心配だ(笑)
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日本のツーリズム(観光)だって馬鹿にしたものではない。たかが物見遊山というが、十返舎一九の書いた旅ものの大作「東海道中膝(ひざ)栗毛」は江戸後期の大ベストセラーだった。芭蕉が歩いた「奥の細道」は旅が文学世界で大きな役割を果たしていたことを示している。俳諧も元をただせば、弥次喜多道中と同じ「滑稽(こっけい)」につながるのである。
だがこの国のツーリズムにもし問題がありとすればそれは厳格な排外主義に毒されていることだろう。観光ビザ行政の多年の弊害である。世界2位の経済大国だが訪日外客数は世界38位。この国を真の先進国とは言いにくいだろう。
小泉純一郎首相が国会で「観光立国」宣言を行って大方の喝さいを浴びたのは昨年1月のことだった。現在日本人が海外へ行く観光客に比べ4分の1でしかない外国人旅行客を2倍以上に増やそうというのだ。建国以来の壮挙であり「開国宣言」とまで評価された。
だがそれから1年余で早くも大きな障壁にぶつかっている。それは中国人にビザ(査証)をなかなか渡さないことにある。
先日小泉首相は十数カ国の駐日大使を呼んでその観光客誘致の秘策を聞いた。その時中国大使が即座に「ビザさえ出せばいくらでも来ますよ」と言ったそうだ。
日本がいま観光の団体客を認めているのは北京など三つの大都市(地域)住民に限っている。約1億2000万人だけだ。13億人のうち約10%しか日本観光の資格はない。こういう地域制限をしているのは世界で日本のほかは一つの小国だけである。
いくら首相が「お出でください」と愛想を振りまいても、肝心のビザを出さなければ来ることは出来ない。「誘致と拒否」の二重基準(ダブルスタンダード))が日本国の観光政策なのである。嗚呼。
中国人の団体観光客の不法滞在は0.4〜0.5%程度という。かつて日本から欧米諸国へ流出した人々のことを考えればそれだけで問題にするのも何か変だ。
知の領域の達人であるドイツ人のマックス・ウエーバーがもし100年前に米国とイタリアに旅していなければ「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」はその姿が変わっていただろう。自由な旅は学問と人類の未来に関わることだってある。
いま中国との政府間交渉で4省庁の意見は対立している。これまでの3都市(地域)を拡大して1市4州(2億人)に広げたいと考えているのが国土交通省である。これに待ったをかけているのが外務・法務・警察の3省庁で直行便の行っている3都市(2000万人)に限ろうとしている。漢書のもじりではないが「多々ますます損す」という態度のようだ。
この程度の決断を小泉首相が渋っているなら最初から「観光立国」などと大段平を広げるべきではない。中国側の交渉団は恐らくこの日本政府の分裂を笑っているだろう。あと30年経ったら逆転するぞと。(論説室)
[毎日新聞3月6日] ( 2004-03-06-23:43 )
http://www.mainichi.co.jp/news/flash/keizai/20040307k0000m020072000c.html