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1月16日、陸上自衛隊の先遣隊が戦時下のイラクへ出発した。世論が賛成と反対に分かれる中での派遣だった。
その翌日の昼間のことだ。自衛隊派遣に反対する市民グループの3人が、東京都立川市の防衛庁官舎の郵便受けにビラを入れて回った。ビラには「自衛官・ご家族の皆さんへ 自衛隊のイラク派兵反対!いっしょに考え、反対の声をあげよう!」と書かれていた。
それから1カ月余り後の先月末、3人は警視庁に逮捕され、事務所や自宅が捜索された。「ビラをまいている男女がいる」という官舎の住民からの通報がきっかけだったようだ。逮捕容疑は住居侵入だった。
逮捕された3人は、立川市を中心に70年代初めから反戦運動をしてきた市民団体に所属する人たちだ。
関係者以外立ち入り禁止と表示されているのに、勝手に敷地内に入りビラをまいた。正当な理由もないのに建物に侵入する行為を刑法は禁じているではないか。警察の理屈はそんなところだろう。
勝手に敷地内に入ったことがいけないと言われれば、ビラをまいた人たちに非が全くないわけではない。自衛隊員や家族の複雑な気持ちへの配慮が足りないのではないか、という意見もあるかもしれない。
しかし、だからといって、いきなり逮捕したうえ、事務所などから手帳やパソコンを押収していくのはあまりにも乱暴だ。
ビラには、連絡先もメールアドレスも書かれている。証拠を隠したり、逃げたりする恐れがあるわけでない。逮捕すべき事件だったのか。警察はもちろんのこと、令状を出した裁判所の判断にも疑問がある。
飲食店や不動産のチラシが郵便受けに無断で入れられるのは日常茶飯事だ。今回の防衛庁官舎にも色々なチラシが入れられている。警察はそれらも一斉に摘発しようと考えているのだろうか。
そうではあるまい。自衛隊派遣に反対する内容のビラだったからこそ、逮捕に踏み切ったのだろう。
支援者らの抗議に対し、警察は「法律に基づいて正当に捜査している」と答えた。しかし、今回のような強引な摘発が続けば、市民が自分の意見を言ったり、集会を開いたりすることをためらいかねない。私たちはそのことを心配する。
自分と違った価値観を認め合い、自由に意見を交わすことができる。それが民主主義の社会であるための前提だ。
とりわけ、イラクへの自衛隊派遣は憲法の平和主義に触れかねない問題をはらみ、日本の針路を左右する重大な問題である。政治家や官僚にまかせておけばいいという話ではない。人々が自由に意見を述べ、異なる主張にも耳を傾けることが大切だ。
国際社会がイラクの国づくりに求めているのも、こうした言論の自由がある民主的な社会ではないか。